『Fate/Grand Order』 (C)TYPE-MOON / FGO PROJECT

【画像】全部知ってたらツウ? 有名スピンオフ作品の元ネタを見る(10枚)

「親」超えを果たした「子」作品たち

 マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する岸辺露伴を主人公とした『岸辺露伴は動かない』や、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の御坂美琴をメインキャストとした『とある科学の超電磁砲』など、ヒットした本編から生まれた派生作品のことを、通称“スピンオフ”と呼びます。

 ここでは、本編の知名度を超えてしまうほど有名になった作品を3つ、紹介します。「えっ!これって本編があったの!?」と驚いてしまうかもしれません。

スマートフォン向けゲーム『Fate/Grand Order』(2015年~)

 プレイヤーが英霊(サーヴァント)と呼ばれる過去の偉人たちを従えるマスターとなって、人類の未来を切り開くロールプレイングゲーム『Fate/Grand Order』(通称『FGO』)。競争の激しいモバイルゲーム業界において、7年目を迎えてなお、アプリ売上ランキングで上位をキープし続けていることからも、大人気ぶりがうかがえます。

『FGO』の原作となるのは、2004年に発売されたパソコン用ゲーム『Fate/stay night』です。ビジュアルノベルというテキストを読み進めながら物語を楽しむ形式で、RPG要素はありませんでした。主人公の衛宮士郎は偶然、英霊のセイバーを召喚してしまい、あらゆる願いを叶える「聖杯」をめぐる殺し合いに巻き込まれていく……といった内容です。

『FGO』に登場するセイバーや遠坂凛、間桐桜といった人気キャラクターたちの原型は、すでに『Fate/stay night』で完成されています。彼/彼女の外見や性格を元として、今でも『FGO』では新キャラクターが続々と生まれ、世界中の『Fate』ファンを熱狂させ続けているのです。なおiOS版とAndroid版にて『Fate/stay night [Realta Nua]』が配信されていますので、スマートフォンでもプレイできます。

TVアニメ『魔法少女リリカルなのは』(2004年~2018年)



初代のキャッチコピーは「魔法少女、はじめました。」 (C)なのはPROJECT

 もうひとつ、パソコン用ゲームを原作とした有名なスピンオフを紹介します。2004年に放映されたTVアニメ『魔法少女リリカルなのは』です。第1期が大ヒットして続編が作られ続けて、2018年までにTVアニメが5シリーズ、劇場版が4本公開されるほどの長寿作品になりました。

『なのは』の元ネタは、『とらいあんぐるハート』という恋愛アドベンチャーゲームです。『とらハ』に登場する「高町なのは」は、いわゆるギャルゲー的には攻略対象ではない脇役でした。そんななのはを悪ノリ(?)で、魔法少女にしたおまけシナリオが好評を博します。そして本編である『とらハ』ではなく、『リリカルなのは』の方がアニメ化した、という流れになります。

 コミックマーケットのたびに企業ブースのグッズが瞬殺されて、「なのは完売」がSNSでトレンドに上がるのもオタクの風物詩でした。それほど根強いファンに愛された『なのは』は、今年も『咲う(わらう)アルスノトリア』をはじめ、さまざまなスマホゲームのコラボイベントに登場していて、今も現役で活躍しています。

マンガ『アカギ ~闇に降り立った天才~』(1992年~2018年)



中学生にしてヤクザの代打ちを任されるアカギ。ここから「鬼神」の伝説は始まった! 『アカギ-闇に降り立った天才』第1巻(福本伸行、フクモトプロ/highstone, Inc. )

『賭博黙示録カイジ』と並んで福本伸行先生の代表作であるギャンブルマンガ『アカギ ~闇に降り立った天才~』は、これまでアニメ化や本郷奏多さん主演による実写ドラマ化など、複数のメディアミックスを果たしました。

 そんな『アカギ』の元となる作品は『天 天和通りの快男児』(1989年~2002年)にあたります。『天』に登場する赤木しげるは“伝説の天才勝負師”として、最初は主人公・天貴史(てん たかし)たちの敵として登場し、のちに頼もしい仲間になります。その赤木の少年時代から青年時代にかけて、伝説を築くストーリーが『アカギ ~闇に降り立った天才~』になります。

 そのなかでも、お金の代わりに血液を賭ける「鷲巣(わしず)麻雀」が有名です。「勝負前に輸血しておいて、致死量を遠ざける」「抜かれた血液にタバコの吸い殻を放り込んで、血液を戻す選択をやめることで退路を断つ」など、生死ギリギリの狂気の勝負が好評を得て、1992年から2018年までの超ロング連載となりました。

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『アカギ』で若い頃のアカギしか知らなかった人には、『天』に登場する老いたアカギは新鮮に映ると思います。『FGO』の女神“イシュタル”“エレシュキガル”と同じ姿をした遠坂凛を『Fate/stay night』で見るのも、目新しい気持ちになるでしょう。

 スピンオフに出てくるキャラクターの元ネタ作品をたどることで、新しい発見や新鮮味を感じることができます。「スピンオフは知っていたけど、本編は知らなかった……」という作品がありましたら、本編に触れてみると、作品世界をより深く知ることができるでしょう。