アレクサンダー大王やディルムッドなど、神話や歴史の偉人たちが派手な戦闘を繰り広げる『Fate/Zero』、なかにはジル・ド・レェのように汚名を後世に残した人物も召喚される (C)Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC

【画像】視聴注意! 「エグい」拷問シーンの出てくるアニメ(10枚)

残酷すぎて直視できない! エグい拷問3パターン

 暴力で相手の肉体や精神を痛めつける、非人道的な行い=拷問。もちろん現実では国際条約でも禁止されているタブー行為です。しかし空想だからこそ、エンタメとして“拷問”さえも消費できます。悲鳴と怒号が飛び交う、拷問シーンの出てくるアニメを3つご紹介します。



不死身の新生物「亜人」と、亜人を恐れ捕獲しようとする人間の、日本を巻き込んだ戦いを描く『亜人』 (C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

『亜人』(2016年)

 男子高校生の永井圭(ながい・けい)は、車に衝突されても死なない新生物“亜人”であることが判明───同じ亜人のメンバーに裏切られて、政府に捕まってしまい、キツめの拷問を受けることになります。アニメ5話で眠らされた圭が目覚めると、そこは実験室の中。といっても顔面中を包帯で巻かれていて、声を出すこともできず手術台に固定されています。

 医師らしき3人が手始めに、電動丸のこで材木のように片腕を斬り落とすところからスタート。「んッ!んッ!」悲鳴をあげることもできず、身体をよじることしかできません。医師の「よし、もっと痛みを与えてみよう」という指示のもと、切り刻まれていく圭の心に、痛みとともに絶望感が押し寄せてきます。

「酷い……どうして僕が……こんな目に……」ぐるぐる巻きの包帯から、恨めしそうな目だけが覗くのです。そのあとも痛みを与えるためだけにドリルを歯に押し当てるなど、次々と非人道的な行為が続くのです。人体を切り刻む行為を、研究者たちは少しも躊躇せず、通常業務として淡々と行っていることにも恐怖を感じます。この異常なシチュエーションを描くことで、“圭がすでに人間ではない”事実を視聴者にも突きつけている、見事な演出として機能しているのです。



最愛の人を失って、復讐の鬼と化す双子の妹・園崎詩音。村の重鎮たちや沙都子たちに凄惨な仕打ちを与える (C)2007竜騎士07/雛見沢御三家

『ひぐらしのなく頃に』(2006年~2007年)

 過疎化が進む田舎の村を舞台にした連作式のミステリー『ひぐらしのなく頃に』。村の権力をにぎる園崎家の次女・園崎詩音(そのざき・しおん)は、クラスメイトの北条悟史(ほうじょう・さとし)が好きでした。ですが園崎家に恨まれている北条家は迫害を受けていて、詩音と悟史の交際を許しません。そこで詩音は仲を認めてもらうために、ケジメとして自らの爪を剥がします。園崎家の地下に代々受け継がれた、禍々しい拷問器具を使用して───。

 その拷問器具は、爪に金具をひっかけて、柄の部分をテコの原理で叩きます。すると金具が上がって、爪が剥がれるというエグい装置。ガコン! 詩音の爪がまず1枚身体から離れて、痛みのあまり姉に哀願します「ねぇ、魅音!? あのね、あのね、これ本当に痛いの!」「ヤダヤダヤダ! ほんとに痛いのよ!」3枚の爪を剥がされることになったこのシーンは、当時の視聴者たちにトラウマを植え付けました。

 ところがケジメをつけたにもかかわらず、悟史が失踪したことで詩音の恨みが暴走。村の重鎮たちを殺害して、悟史の妹の沙都子(さとこ)まで、包丁でグサグサと刺し続ける拷問を加えるのです。沙都子の「ぐあああぁ~~!」という悲鳴と、魅音の「私はどうなってもいいから!沙都子を許してあげて!」という懇願が止まりません。沙都子を肉体的に痛めつける一方、それを魅音に見せつけて精神的にいびるという残酷さが際立っています。愛で人はここまで狂気に堕ちるという業を描いた、後世に残る伝説のシーンでしょう。



『化物語』などで有名な渡辺明夫さんをキャラクターデザインに起用して、完全新作として制作された『ひぐらしのなく頃に業』と『ひぐらしのなく頃に卒』 (C)2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

 なお新アニメ『ひぐらしのなく頃に卒』(2021年)でも爪剥ぎシーンは健在です。第6話で園崎魅音(そのざき・みおん)が村長を椅子に縛りつけて、爪剥ぎをはじめ拷問で殺し切るのです。返り血を浴びた魅音の向かいには、村長の死体と、足元に片耳がポトリと落ちているスプラッター描写が秀逸です。美少女が引き起こす凄惨な光景───そのギャップに見入ってしまう事、間違いありません。

『Fate/Zero』(2011年~2012年)

 手に入れればどんな願いも叶えてくれるという「聖杯」を求め、7人のマスター(魔術師)がサーヴァント(英霊)を召喚して殺し合う『Fate/stay night』。その10年前を描いたスピンオフ作品『Fate/Zero』には、最悪のコンビと言われるマスターとサーヴァントがいました。

 猟奇殺人鬼の雨生龍之介(うりゅう・りゅうのすけ)のサーヴァントである青髯(ジル・ド・レェ)。ジルは生け贄として子供を与えられると、満面の笑みを浮かべて解放します。子供は殺戮現場の部屋から解放されて、歓喜した瞬間、背後から無数の触手が子供を引き寄せて、蹂躙します。ここでポイントなのは、瞬時に殺害するのではなく、子供の悲鳴が何秒にも渡って続いていたことです。死までの数秒間は子供にとって、肉体的にはもちろん、精神的にも最大級の拷問といえるでしょう。

「恐怖というものには鮮度があります。怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。真の意味での恐怖とは、静的な状態ではなく変化の動態――希望から絶望へと切り替わる、その瞬間のことをいう。如何でしたか? 瑞々しく新鮮な恐怖と死の味は……」これこそが恐怖を糧とする魔術師なのです。その後も子供を何人も連れ去り、自分の拠点工房で非道の限りを尽くします。なかでも、柱に何本もの太い釘で子供が磔にされ、それをアートと称するシーンは、視聴者にやるせなさを感じさせるシーンでした。



The Final Season完結編は、NHK総合にて2023年放送予定 『「進撃の巨人」The Final Season Part 2』(NHK総合)(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

『進撃の巨人』Season 3(2018年~2019年)

 視覚から伝わる痛覚に、思わず身体を震わせてしまう拷問シーンを振り返りました。ですが、なかには痛いけど笑っちゃう拷問シーンも存在します。アニメ『進撃の巨人 season 3』第2話では、リヴァイとハンジがサネスという憲兵団員に拷問します。サネス自身も数多くの無実の人たちを拷問、抹殺してきた黒い人物なので自業自得なのですが、原作コミックでは、このシーンが、よりユーモラスに描かれているのです。

「こっちは人間の拷問なんか初めてなんだよ!」と前のめりでペンチを指にセットするハンジ。サネスが焦りながら「拷問ならせめて何か聞け!! 何も聞かずに爪を剥がす奴があるか!!」と敵に説教するも、「黙ってろ!! 爪を剥がしてからが本番だ!」とハンジが力を入れると……「あ!」爪を剥がすのに失敗して、指ごと折ってしまうという、バラエティのコントになっているのです。陰惨な拷問が、一転してギャグに昇華してしまう会話劇の上手さに感服。拷問の奥深さをチラッと垣間見た気分です。