海賊王・ロジャーが「置いてきた」財宝とは一体……『ONE PIECE Log Collection  “ROCKET MAN”』DVD(エイベックス・ピクチャーズ)

【画像】「ワンピース」の正体を知っているのは誰?(6枚)

「仲間との絆」は? 作者自身が「嫌いなんです」

 ついに最終章に突入した『ONE PIECE』は、物語が佳境に差しかかっています。なかでもストーリーの核となる「ひとつなぎの大秘宝=ワンピース」に注目する読者が多く、ネット上では数々の考察や、「正体がこれだったら叩かれそう」と、大喜利のような話題も盛り上がっています。

「ワンピース」とは、「偉大なる航路」の最終地点の島「ラフテル」にあるとされる宝のことです。富・名声・力すべてを手に入れた海賊王ゴール・D・ロジャーが、死に際に「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ…… 探してみろ この世のすべてをそこに置いてきた」という言葉を残し、「ワンピース」の存在を世界にとどろかせます。またロジャーの台詞から、空白の100年に実在したとされる「ジョイボーイ」が、ワンピースをラフテルに残していたことが示唆されていました。

 また、967話の「ロジャーの冒険」で、ロジャー海賊団がついに「ワンピース」を発見し、みんなでその正体に関して「大笑い」し、最後の島に「ラフテル(笑い話)」と名づけたことが語られていたため、何十年も冒険した大海賊たちが爆笑してしまうようなもの(ばかばかしいものではなく、純粋に面白いもの?)であることが考えられます。

 その他、白ひげもマリンフォードでの死に際に、「『ひとつなぎの大秘宝』は実在する」「あの宝を誰かが見つけた時、世界はひっくり返る」と語っており、実在することは間違いないようです。ただ、968話「おでんの帰還」で、「世間はロジャーが手に入れた全ての物を総称し 『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』と呼んだ」というナレーションがあったため、「実際に何かしらが「ひとつなぎ」になっている状態の宝ではない」、という可能性も考えられます。

 いろいろな示唆はありながらも、「ワンピース」の正体は不明のまま。ちなみに、昔からネットで言われがちだった「これまでルフィたちが培ってきた絆そのものが『ワンピース』」という説は作者の尾田栄一郎先生自身が否定しています。2019年1月に放送された『ホンマでっか!? TV SP』で明石家さんまさんが「ワンピースという大秘宝は『家族の絆』ではないか?」と聞くと、尾田先生は「違います。そういうの嫌いなんです」と否定。

 さらに嫌いな理由について、子供の頃に見た『オズの魔法使い』のラストにあると語っています。「これまで冒険してきたすべてが宝だ」というオチに不満を抱いた尾田先生は、「ちゃんと冒険してきたんだから『モノ』をくれと思った」と発言していました。

 また、2014年に発売された、さくらももこ先生のデビュー30周年ムック本『おめでとう』でさくら先生と対談した際も、尾田先生は「あれだけ頑張って冒険したんだから、キチンとご褒美はあげないと」と、ルフィたちの冒険に見合った「物」が待ち受けていることを示唆しています。

 いまだ謎に包まれた「ワンピース」に関して、ネット上では「本当にただの金銀財宝だったりして……」「結局これまで関わってきた仲間たちとの絆に落ち着きそう」といった意見もまだあります。一方で「コミックス全巻じゃないかな」「マジで、服のワンピースかもしれない」と、ネタに走る声も飛び交っていました。

 真面目な話に戻ると、「ロジャーが『この世のすべて』って言ってるし、形あるものだとしてもただの金銀財宝なわけがない」「ロジャーたちは『早すぎた』って言ってたし、当時はなくてルフィたちの代にあるもので、ついに『ワンピース』が見つかるんでしょ」「古代兵器+「ワンピース」の力で、レッドラインを破壊して世界の海を「ひとつなぎ」にするんだと思う」と、いろんな予想、期待の声があがっています。マンガ史上、かつてないほどにハードルが上がってしまってはいますが、前述のさんまさんとの対談で尾田先生は「どういう風な道を通っても絶対おもしろくなるラストは考えてある」と語っているので、楽しみに待ちましょう。