活発な元気少女の美樹さやかだが、物語の中盤からは残酷な運命に翻弄されて、悲しい表情が増えていく (C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion

【画像】まだまだいるぞ、フラれちゃった青髪ヒロインたち(10枚)

「告白できずに諦めた」青髪ヒロインの失恋3パターン

「青」をイメージカラーとするキャラクターは、「冷静沈着」「クール」といった役どころを担うことが多いです。しかし、一方で青髪の女の子は恋愛的に負けてしまう=失恋フラグが立ってしまうというジンクスも存在します。

 それが恋愛を主軸としたアニメだけでなく、バトル系アニメやファンタジーアニメでも、同じくフラれてしまうから驚きです。ここでは、そんな幸の薄い青髪ヒロインを3人紹介します。

美樹さやか『魔法少女まどか☆マギカ』

 中学2年生の鹿目(かなめ)まどかが、謎の小動物“キュゥべえ”に誘われるように、魔法少女となる『魔法少女まどか☆マギカ』。そんなまどかの親友であり、失恋してしまう青髪ヒロインが・美樹(みき)さやかです。

 さやかは、同じく親友の志筑仁美(しづき・ひとみ)と楽しい学校生活を送っていました。しかし、さやかが片想いしている上条恭介(かみじょう・きょうすけ)は、事故でヴァイオリニストとしての道を絶たれてしまいます。さやかは、恭介のケガを治すことを願って魔法少女へ変身することに。

 ところがキュゥべえは“魔法少女は人間でない”という、衝撃の事実を突きつけます。さらに追い打ちを掛けるように、親友の仁美が恭介に告白するとさやかに宣言します。「仁美に恭介を取られちゃうよ。でもあたし、何もできない。だってあたしもう死んでるんだもん。ゾンビだもん。こんな身体で抱きしめてなんか言えない。キスしてなんて言えないよ……」

 もう人間でなくなってしまった自分への諦め、自分から願った想いの先に訪れたやるせなさから、絶望へと追い込まれていきます。そして「あたしって、ほんとバカ」とつぶやき、さやかは“人魚の魔女”へと変貌してしまうのです……。

 美樹さやかにかぎらず、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のイチゴ、『あの夏で待ってる』の谷川柑菜など、青い髪の失恋ヒロインには“幼なじみ”が多い傾向にあります。長年片想いしてきたのに、途中から出てきた女の子に取られてしまうのは、さすがに同情してしまいます。



逢坂大河と口ケンカが絶えない川嶋亜美。そんな子どもっぽさを指摘されて、亜美の心は竜児に傾いていく (C) 竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス/「とらドラ!」製作委員会

川嶋亜美『とらドラ!』

 不良だと勘違いされている男子高校生・高須竜児(たかす・りゅうじ)と、美少女ながら怒りっぽい背の低い女の子・逢坂大河(あいさか・たいが)。ふたりはお互いの恋愛を応援するうちに、相手の優しさに気づいてしまう……『とらドラ!』は、そんなラブコメ作品です。

 大河たちのクラスに転入してくる川嶋亜美(かわしま・あみ)は、モデルをしている超美少女です。その美貌を自慢することもなく、周囲を立てる気立てのいい性格……は表の姿で、毒舌キャラのヒロイン。くしくも美樹さやかと同じく、川嶋亜美も喜多村英梨(きたむら・えり)さんが声を演じてらっしゃいます。

 亜美は大河としょっちゅう口ゲンカしたり、竜児をセクシーにからかったり、性格が悪いと思われがちです。ですが竜児に絡むのは、かまってもらいたい本心の現れ。その証拠に、竜児が想い人である櫛枝実乃梨(くしえだ・みのり) に向いているとき、亜美は決まって寂しそうな表情を浮かべるのですから。

 海水浴の洞窟で竜児と亜美が、ふたりきりになります。そこで「(実乃梨よりも)対等になれるのは、私みたいな……」と、遠回しな告白をしかけるんですけど、恋心が竜児に届くことはありませんでした。

 亜美はクラスメイトよりも社会経験が豊富で、精神年齢が大人です。大河と竜児が大切に想いあっていることを察したとき、大人の対応で空気を読んでしまい、結果的に身を引いてしまいました。まだ竜児が大河への気持ちに気がつく前に、告白していれば、あるいは……そんな“もしも”の川嶋亜美ルートを考えてしまいます。



一度は何もかも投げ捨てて、レムと一緒に逃げ出そうとしたスバル。あの選択にレムがOKしていれば、こんな未来があったかも? (C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活1製作委員会

レム『Re:ゼロから始める異世界生活』

 少年・ナツキ・スバルがハーフエルフの美少女・エミリアを救い、守るために奮闘する異世界転移ファンタジー『Re:ゼロから始める異世界生活』。そんなスバルへ、絶大な信頼と親愛を向けているのがメイドの少女・レムです。

 第三章では、スバルがエミリアとすれ違いを起こして、孤立無援のピンチにおちいってしまいます。ところがレムだけはスバルを見捨てません。「俺は俺が……大嫌いだよ」自己嫌悪で自分を卑下するスバルの顔を優しく両手で包み、「レムは、スバルくんを……愛しています」と慰めるのです。

 レムからの絶対的な愛情と献身を受けて、スバルの折れた心は立ち直ります。このまま結ばれる雰囲気がぷんぷんしますけど……「俺はエミリアが好きだ」と、バッサリ振ってしまいます。立ち直って決意を新たにしたスバルの胸の内で、レムは号泣します。それは、自分が憧れた“カッコいいスバルくん”が戻ってきた喜びと、失恋した悲しみ、両方の涙なのでしょう。

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「主人公が振るなら、俺が/私が、幸せにしてやるぜ!」と抱きしめたくなるくらい、魅力的な青髪ヒロインを紹介しました。アニメでは髪の色にかかわらず、いろんなヒロインが失恋しているのに、とくに失恋”のイメージが強い青髪ヒロイン。

 なお、『とらドラ!』川嶋亜美のほかにも、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の鶴見知利子、『あの夏で待ってる』の谷川柑菜、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のイチゴといった、田中将賀さんがキャラクターデザインを務めるアニメでは、高確率で青髪ヒロインが失恋するハメになっているのも興味深いです。