映画『ミュージアム』ポスタービジュアル (C)巴亮介/講談社 (C)2016 映画「ミュージアム」製作委員会

【画像】実写になると余計怖い!? 衝撃シーンを再現した映画を振り返る(9枚)

実写化でカラーになると余計強烈?

 マンガのグロ、ゴア、エロ描写は、実写化の際にはカットされたり、マイルドに改変されることも珍しくありません。一方で、原作ファンでさえ「あのシーンはどうするの?」「さすがにやらないだろ」と思ってしまうようなシーンを再現した実写作品は、多くの人の印象に残るのも確かです。今回は、そんな原作に忠実な3つの衝撃シーンをご紹介します。

『ミュージアム』

 猟奇殺人犯「カエル男」を追う刑事の姿を描いた『ミュージアム』(原作:巴亮介)は、異常な猟奇殺人や、繊細で生々しい心理描写が魅力の作品です。いわゆる「胸クソ悪い」気分になるショッキングなシーンが多く、実写化が発表された際には「どこまで再現できるのか」という原作ファンからの心配の声もありましたが、いざ映像になってみると、ほぼ原作に忠実に描かれていました。

 残虐な殺人シーンも数多く存在するなか、特に衝撃的だったのは主人公の刑事の妻子の生首が映し出されるカットです。実際には精巧なレプリカなのですが、この前のシーンで犯人にまずいハンバーガーを食べさせられた主人公からしてみれば、自分の妻子を食べてしまったかもしれないとミスリードさせられる残酷な場面でした。殺害されていないにもかかわらずリアリティと絶望が与えられるシーンに、思わず目を背けたくなった人もいるのではないでしょうか。

 ちなみに、『ミュージアム』はここまで過激な内容にもかかわらず、R指定どころかPG12指定にもなっていません。同作を撮った大友啓史監督は、インタビューで「死体があったとしても、そこに至るまでが直接描かれていなかったり、裸が無ければOKらしい」「映倫の基準っていうのは興味深い」と語っています。近年の邦画のなかでも、特異な例と言えるでしょう。

『ミスミソウ』

 壮絶ないじめが驚愕の復讐劇に発展する『ミスミソウ』(原作:押切蓮介)では、物語序盤からトラウマ級の暴力表現が繰り広げられます。除雪車に巻き込まれる女教師、カメラ越しにボウガンを目に撃ち込まれるなど、忠実な残虐シーンに驚かされますが、特にショッキングなのは、いじめを受けていた主人公が復讐をしようと決意するきっかけになった、自宅への放火事件です。予告編でも印象的に使用されているこのシーンでは、家族が燃やされる様がありありと描かれています。家が燃える映像だけでも相当なインパクトだったと思いますが、人が燃える様子をまじまじと描写するところに原作へのリスペクトが感じられました。

 実写化されたことで色がつき、雪の白と血の赤の対比が視覚を刺激してくる同作では、普通の中学生に見える少年少女たちの表の顔、裏の顔という対比が見られる点も魅力のひとつになっています。凄惨なスプラッター描写もなんのその、何度も観たくなるというコアなファンが集まるのも納得です。

『アイアムアヒーロー』

 謎のウイルスに感染した人々がゾンビ化するようになった世界を描く『アイアムアヒーロー』(原作:花沢健吾)でも、序盤からトラウマ級の衝撃シーンが登場します。それは、主人公の恋人がゾンビと化すシーンです。全編を通して原作通り恐ろしく再現されているゾンビ(ZQN)の姿ですが、主人公にとって身近な人間が変貌し襲い掛かってくるこの場面は、物語が一気に非日常へと突入していく重要なポイントになっています。

 原作の演出を的確に再現した、郵便受け越しにゾンビの異常な動きを見せるカットもさることながら、恋人・徹子役の片瀬那奈さんも特殊メイクに負けないくらい忠実にゾンビを演じており、とてつもない恐怖を与えてくれました。白く濁った目と狂気の表情、人間的ではない動きは見事です。

 思い切ったグロ、ゴア表現で原作の世界観を守り、パニックホラーやサバイバルものとしても楽しめる構成になっている同作は、国内外でも高く評価されました。

 今後も、ディズニープラスで『ガンニバル』がドラマ化されたり、『ゴールデンカムイ』が映画化されたりと、衝撃シーンの多い作品の実写化が控えていますが、果たしてどれくらい原作に近づけてくるのか、注目が集まっています。