ネテロとメルエムの激闘が収録されているアニメ『HUNTER×HUNTER』DVD第41巻(バップ)

【画像】勝つのはどっちだ!? 名勝負を振り返る(11枚)

圧倒的な強者と人生の全てを武に捧げた男のぶつかり合いが熱すぎる!

 バトル中心に展開される人気マンガでは、主人公以外だからこそできる、どちらが勝ってもおかしくないキャラの全力を出しつくしたバトルが存在します。そして、その戦いは、時に主人公のバトルよりも印象に残り、話題になることも珍しくありません。

『HUNTER×HUNTER』ネテロvsメルエム

『HUNTER×HUNTER』の「キメラアント編」で勃発したネテロvsキメラアントの王・メルエムの戦いは、作中屈指のバトルとして人気の高いエピソードです。

 念能力の達人だらけのハンター協会のトップに君臨するネテロと、同族を含めて全ての生物を「餌」として認識するほどの強者であるメルエムの戦いは、当初は明らかにメルエムが格上でした。しかし、その生涯を武に捧げてきたネテロの集大成である念能力「百式観音」は、メルエムでも回避不可能な速度を誇り、ネテロは何度も攻撃をぶつけます。しかし、メルエムは規格外の頑丈さで攻撃に耐え、合掌し祈りを捧げ巨大な観音菩薩を顕現させて攻撃を繰り出す「百式観音」を何度も受けるうちに、ネテロのクセを見抜いたのです。

 その後、メルエムの反撃で片手片足を失ったネテロは、全オーラを消費する切り札「零乃掌」を使いますが、ほとんどダメージを与えられず、敗北を認めました。しかし、勝負に負けたネテロは、ハンター協会会長としての責務を果たすため、体内に仕込んであった爆弾「貧者の薔薇」を起動して自爆したのです。「貧者の薔薇」でも、メルエムは即死しませんでしたが、爆弾には遅効性の毒が仕込まれており、最終的にメルエムや側近たちを死に至らしめています。

 百歳を優に超えるネテロの人生の集大成である念能力と、それをもってしても届かない王の圧倒的な力のぶつかり合いは、興奮するとともに、人間の努力の限界を見ているようで物悲しくもありました。また、そんな人間の遥か格上の生物ですら「人間の底すらない悪意」には勝てないという結末で、人類文明についても考えさせられるバトルです。

我愛羅vsロック・リー『NARUTO -ナルト-』

『NARUTO -ナルト-』の「中忍試験篇」の三次試験とその予選は、1対1形式の個人戦でした。この戦いでは、その後の展開で活躍するキャラたちが何人も登場しており、多くの名勝負が生まれています。そのなかでも、 「我愛羅vsロック・リー」は読者に強烈なインパクトを残した壮絶な戦いでした。

 忍術や幻術が使えないものの「努力の天才」と呼ばれるほどの努力家で、体術に特化したスペシャリストのリー。その身に「一尾」を宿し、敵の攻撃を自動的にガードする「砂の壁」と、体表に砂を纏って攻撃を受け止める「砂の鎧」で、「絶対防御」の異名を持つ我愛羅。全くスタイルの違うふたりの戦いは、序盤からリーが我愛羅を攻め立てます。

 しかし、リーは身につけていた重りを外しても、身体に負担がかかる「表蓮華」を使っても、我愛羅の防御を打ち破ることができませんでした。覚悟を決めたリーは、命の危険がある禁術「裏蓮華」を使い、筋肉断裂や複雑骨折などの重傷を負いながらも、圧倒的なスピードで我愛羅を追い詰めます。しかし、倒すまでには至らず、反撃を受けて敗れました。

 この戦いは、リーのカッコよさが際立った名勝負として人気です。特に、裏蓮華を発動し、我愛羅が成すすべなく追い詰められていくシーンは、体術しか使えない彼の個性と相まってとても熱い展開でした。他にも、リーと師匠のマイト・ガイの熱い師弟関係など見どころがとても多い上に、リーと我愛羅のキャラ人気も高いため、作中のベストバウトと評価する読者も多いです。



愚地独歩vs範馬勇次郎も収録された特別コミックス「ザ・ベスト・バウトオブ刃牙 範馬勇次郎編」(秋田書店)。勇次郎vs郭海皇も人気の一戦。

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地上最強の生物に膝をつかせた激闘!しかしその代償も大きかった……

範馬勇次郎vs愚地独歩『グラップラー刃牙』

「刃牙」シリーズの主人公・範馬刃牙の父・範馬勇次郎は、アメリカと個人で友好条約を結ぶほどの武力を誇る「地上最強の生物」です。そんな勇次郎は1部『グラップラー刃牙』での初登場後、東京ドーム地下闘技場で「武神」とまで言われる空手家・愚地独歩と激闘を繰り広げました。

 ふたりの戦いは、開始の合図を待たずに独歩が仕掛けた羽交い絞めから始まります。奇襲でペースをつかんだ独歩は、その後も、五段突きで勇次郎に膝をつかせるなど、優位に立って戦いを進めました。しかし、勇次郎が背中の「鬼の貌」をさらして本気を出すと、一気に形勢が逆転します。

 空手の受けが通用しない勇次郎の本気の打撃に追い詰められた独歩は、必殺の両手貫きを繰り出しますが、鬼の反射神経には届かず地に伏しました。しかし、独歩は満身創痍の身体で立ち上がり、戦う姿勢を示します。独歩の闘志に感謝した勇次郎は、全力で応えます。勇次郎は独歩の右目を奪ったあと、全力の拳を心臓に打ち込み、その鼓動を止めて戦いに終止符を打ったのです。

 戦いの後、独歩は鎬紅葉のおかげでなんとか蘇生。死を覚悟してまで、勇次郎に挑んだ独歩の姿が雄々しい戦いでした。そしてなにより、地上最強の生物である勇次郎に膝をつかせたことが衝撃的です。連載が進み、さらに強くなっていった勇次郎からは想像できない苦戦が見られます。勇次郎が使う正中線を維持し隙を生まない歩法が特徴の琉球王家秘伝の武術「うどぅんでい」、独歩が使う左右別々に目を動かし攻撃を見切る「散眼」など、この戦いでしか見られない技もあり、初期の名勝負として人気です。

 他にも、『進撃の巨人』のシガンシナ区でのリヴァイvs獣の巨人、『はじめの一歩』の鷹村守vsブライアン・ホークの世界タイトルマッチ、『ゴールデンカムイ』の土方歳三と永倉新八の新撰組コンビvs尾形百之助の攻防、『ジョジョの奇妙な冒険』5部のドッピオvsリゾットのスタンドバトルなどなど、主人公不在の名勝負は挙げ始めるとキリがありません。皆さんの印象に残っているバトルは何でしょうか。