「恐竜戦隊ジュウレンジャー VOL.1」DVD(東映ビデオ)

【画像】悪っぽい…でもそれがイイッ!「戦隊シリーズ」のダークヒーローを振り返る(4枚)

復讐に駆られたヒーローたち

 特撮作品では、追加で登場したヒーローが当初は敵対していたが、物語が進むにつれ仲間になっていた…というのは超あるある展開です。しかし、そこに至るまでに何がきっかけとなっていったのか、有名キャラクターの事例をご紹介します。

ドラゴンレンジャー『恐竜戦隊ジュウレンジャー』

 戦隊シリーズで初の6人目の戦士として有名なブライ/ドラゴンレンジャーは憎悪に駆られた復讐の鬼でした。17話で初登場した彼は、ジュウレンジャーに襲い掛かり、圧倒的な強さを見せる強者。しかし、その正体はゲキ/ティラノレンジャーの実兄であり、幼い頃に生き別れた存在でした。父親をヤマト王に殺されており、その王の継承者となるべく生き別れたティラノレンジャーに怒りの矛先を向けることになります。

 改心のきっかけとなったのは弟・ゲキとのタイマン勝負。ゲキもはじめは兄と戦うことをためらっていましたが、覚悟を決め勝負に出ます。激闘の兄弟対決に敗れたブライは自らの過ちに気づき、正義の心を取り戻すことになったのです。

ブルブラック『星獣戦隊ギンガマン』

 1998年放送『星獣戦隊ギンガマン』に登場したブルブラックも復讐が理由で、悪に走ってしまった存在です。かつては誇り高き戦士でしたが、宇宙海賊バルバンに故郷を滅ぼされ、弟のクランツも殺されてしまった過去を持ちます。その復讐の鍵となる「ギンガの光」を巡って、ギンガマンたちとも対立する存在となります。

 改心のきっかけとなったのは、弟・クランツの呼びかけによるものでした。地球を爆発させてでもバルバンへの復讐を果たそうとしたところにクランツの幻影が現れます。クランツが「兄さん戦って、星を守って」と呼びかけたとこで、最後は戦士としての誇りを取り戻し、自らを犠牲にして地球の爆発を食い止めました。結果、命を落とすことになりましたが、ブルブラックの意志を、別人が引き継いでギンガマンの仲間となります。この展開には「あれだけのことをしたのに、しれっと仲間になったことに違和感がない」とファンには好評のエピソードでもあります。

アバレキラー『爆竜戦隊アバレンジャー』

 2003年放送『爆竜戦隊アバレンジャー』に登場したアバレキラーは、純粋な悪役を貫きながら、最終的には共闘するというシリーズでも異色の存在です。アバレキラーの悪役っぷりは有名で、ヒーローの“変身名乗り中”に攻撃を行うという、特撮番組におけるタブーを犯したことも…。数々の悪行を重ね、果ては敵組織のトップにも上り詰めるなど、物語終盤まで仲間になる気配すらない追加戦士でした。

 そんな極悪アバレキラーとアバレンジャーが共闘するきっかけとなったのは、かなり現実的な「利害の一致」。本作のラスボス・デズモゾーリャの復活に、自身も駒として利用されていたことを知ると、強大な敵に立ち向かうためにアバレンジャーとの共闘を受け入れます。

 追加戦士たちが敵対していた理由には「復讐」が多いですが、その背景には物語のキーとなる要素が設けられていることも。彼らが過ちに気づき仲間となる時には、視聴者も涙なしに見られない神回が多く、要注目なのです。