女声ならではのイケメンボイスも

 男性の多くが中学生時代に経験し、声が低くなる「声変わり」。男性アニメキャラを女性声優が担当する場合は、声変わり前の少年役であることもしばしばです。しかし、高校生や大学生など、声変わり後と思われる青年役を、女性声優が担当することもあります。キャスト発表時は違和感をおぼえても、実際のアニメ映像を見て、ちゃんとキャラが憑依していることに視聴者が驚くことも。この記事では、女性声優が演じている「青年キャラ」を、3作品からご紹介します。SNSでも「男性声優より合ってる」「素敵な声を本当にありがとう」と評判です。

【たまらない】女性声優のイケボに惚れる! 男の子キャラ(6枚)

『劇場版 呪術廻戦 0』乙骨憂太(高校1年生)



『劇場版 呪術廻戦 0』 (C)2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 (C)芥見下々/集英社

「僕は呪術高専で、里香ちゃんの呪いを解きます」――。乙骨憂太(おっこつ・ゆうた/CV:緒方恵美)は、幼少の頃、幼なじみの祈本里香(おりもと・りか/CV:花澤香菜)と将来結婚する約束をしていました。しかしある日里香は、乙骨の目の前で交通事故にあい、亡くなってしまいます。

 その後、里香は特級過呪怨霊(とっきゅうかじゅおんりょう)となり、乙骨を苦しめる存在を攻撃するように。この里香の呪いによって、乙骨は次第に孤立し、死を望むようになります。しかし、呪術師・五条悟(ごじょう・さとる/CV:中村悠一)や呪術高専の仲間達と出会い、徐々に立ち直る乙骨。ついに、里香の呪いを解くことを決意しましたが――?

『劇場版 呪術廻戦 0』は、マンガ『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』(作:芥見下々/集英社)を原作としたアニメです。原作は、人気を博したアニメ『呪術廻戦』の前日譚であり、制作会社は『呪術廻戦』と同じ「MAPPA」です。呪術高等専門学校の生徒であり、主人公である乙骨憂太を、緒方恵美さんが演じました。

 里香を心から愛し、それゆえに自ら死を望むほど追い詰められてしまった乙骨。里香にとりつかれた乙骨は、周囲の人間を傷つけてしまうことから孤立し、心を閉ざします。そんな繊細で傷ついた乙骨の声を、緒方さんは丁寧に演じています。少年時代の無邪気な声や、呪術高専に入ってから段々明るくなる声、敵と対決する時の絞り出すような声など、少年~青年時代の乙骨の変化を見事に表現しました。

『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役で有名な緒方さんですが、14歳のシンジよりも少し年上の乙骨らしく、大人っぽく覚悟を感じさせる声色が印象的です。怨霊となった里香に「愛してるよ、里香」と優しく語りかける乙骨の声は、視聴者の涙を誘いました。この作品は、9月21日にBlu-ray&DVDが発売。同日より「TSUTAYA DISCAS」でレンタルも開始予定となっています。

『東京喰種トーキョーグール』鈴屋什造(19歳)



『東京喰種 トーキョーグール』 (C)石田スイ/集英社・東京喰種製作委員会

 人間と同じ容姿をしていながら人間を狩り、その死肉を喰らう「喰種(グール)」。人間たちは喰種の襲撃におびえつつ、警察や、喰種せん滅を目指す機関・CGC(喰種対策局)に守られて生きていました。

 読書が好きな大学生・金木研(かねき・けん/CV:花江夏樹)は、行きつけの喫茶店「あんていく」で出会った女性・神代利世(かみしろ・りぜ/CV:花澤香菜)とデートすることに。しかし金木はとある事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負ってしまいます。手術で一命をとりとめた金木でしたが、「何を食べてもおいしくない」体に異変を感じていて――?

『東京喰種 トーキョーグール』は、同名マンガ(著:石田スイ/集英社)を原作としたアニメです。原作は全世界でシリーズ累計4700万部を突破している人気作品で、現在第4期(第3期+最終章)まで制作されています。特例でCGCに入った二等捜査官・鈴屋什造(すずや・じゅうぞう)を演じるのは、釘宮理恵さんです。

 整った顔立ちに高い戦闘力を持ち合わせているものの、狂気を感じさせる言動の多い什造。その好奇心の強さや無邪気さは残酷さと隣り合わせでもあります。そんな什造の少年性や狂気を、釘宮さんはたくみに演じています。残虐なセリフを口走ったり、楽しそうに喰種をいたぶったり……。中性的かつ得体の知れない什造の性格に、釘宮さんの少し高めの声がとてもよくなじんでいます。

「ゼロの使い魔」シリーズのルイズや『とらドラ!』の逢坂大河など、ツンデレ系女子の役に定評のある釘宮さんですが、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』でアルフォンス・エルリック役を演じるなど、少年役もお手のもの。

 19歳でありながら少年らしさを残し、時に狂気を見せる什造を演じられるのは、幅広い役柄を演じてきた釘宮さんだからこそかもできることなのかもしれません。この作品は、「dアニメストア」「Netflix」「U-NEXT」などで見ることができます。

『海月姫』鯉淵蔵之介(大学生・20歳)



原作マンガ『海月姫』第1巻(著:東村アキコ/講談社)

 レトロなアパート・天水館に住む倉下月海(くらした・つきみ/CV:花澤香菜)は、イラストレーターを目指して上京してきた、クラゲ好きなオタク女子。天水館には他にも、三国志や鉄道、和物やおじさまなど、それぞれ違うものを愛するオタク女子たちが一緒に暮らしていました。その名も「尼~ず」。

 ある日、熱帯魚ショップのショーウィンドウでクラゲを見ていた月海は、その飼育方法に重大な間違いがあることに気づきます。しかし、ショップ店員は天敵である「おしゃれ男子」。でも、指摘しなければクラゲが死んでしまう……。そんな月海のピンチを助けたのは、またもや天敵であるはずの「おしゃれ女子」で――?

『海月姫』は、同名マンガ(作:東村アキコ/講談社)を原作としたアニメです。原作は累計発行部数440万部を超え、「第34回講談社漫画賞少女部門」を受賞している人気作品。月海のピンチを助けるおしゃれ女子は、実は女装男子・鯉渕蔵之介(こいぶち・くらのすけ/CV:斎賀みつき)です。

 蔵之介は、政治家一族の御曹司でありながらちょくちょく女装をしており、「蔵子」と名乗っています。そんな「女装をしている男子」の声を、斎賀さんは見事に演じています。「尼~ず」の前で女性を演る蔵之介の作り声と、女装を解きイケメン御曹司として話す時の声にも変化が。特に女装時の声は、まさに「女を演じている男の声」で、斎賀さんの確かな実力が発揮されています。

 その低くハンサムな声質から、『ドリフターズ』那須与一役や『天元突破グレンラガン』ロシウ・アダイ役など、青年を演じることの多い斎賀さん。ネット上には、その斎賀さんが女性役ということで「珍しい! ……と思ったら男性役だった」と驚く声もあがりました。

 蔵之介は、斎賀さんの女声と男声が両方味わえる、貴重な役と言えそうです。なお、斎賀さんは『もやしもん』でも、結城蛍(ゆうき・けい)というゴスロリ女装男子を演じています。この作品は、「dアニメストア」「FOD」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

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 それぞれの青年役を誰が演じているか、あなたはいくつ気が付きましたか? 少年役にはない大人っぽさや男性らしさも、見事に演じている女性声優たち。未見の役があった方はぜひ試聴して、その演技力を確かめてみてください。

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