ファンも認める小栗旬が演じた『銀魂』坂田銀時キャラクタービジュアル (C)空知英秋/集英社(C)2017 映画「銀魂」製作委員会

【画像】最初は賛否あっても見事な再現度!小栗旬が演じた実写キャラ(8枚)

王子様系イケメンも、謎の生物も、作品愛で再現

 俳優の小栗旬さんは98年の『GTO』の吉川のぼる役をはじめ、昔からマンガの実写作品に多数出演しています。そんな小栗旬さんは、原作愛ゆえに「この作品を実写化するならこのキャラをやりたい」と制作陣に進言するほどの情熱を見せたことも…。今回は、そんな小栗旬さんが演じてきたキャラのなかでも、特に印象深い3人とそれにまつわるエピソードをご紹介します。

花沢類『花より男子』

 2005年10月より放送され、第2期、劇場版も制作されたドラマ『花より男子』(原作:神尾葉子)で小栗さんが演じた花沢類は、クールでマイペースかつミステリアスな雰囲気を醸し、世の女性をメロメロにしたイケメンキャラです。言葉は少なく物静かで、時折見せる笑顔にファンは胸キュンさせられますし、主人公・牧野つくしに声をかける際に彼が言った「ま~きの」は、今でもモノマネのネタになるほどの認知度を誇ります。

 当時、渋めの俳優を目指していた小栗さんは、花沢類のようなキラキラした役を演じたことはなく、オファーを引き受けるか迷っていたそうです。しかし、原作ファンの姉から「花沢類はお前じゃない!」と猛反対を受けたことにより、彼の役者魂に火がつき、研究に研究を重ねた末に花沢類を演じたというエピソードがあります。

 実の姉はもちろん、多くの『花男』ファンを納得させるという意気込みで魅力たっぷりの花沢類を生み出し、小栗さん自身も一気にブレイクしました。

坂田銀時『銀魂』

 2016年7月に人気マンガ『銀魂』の実写映画化が発表された際、小栗さんが主人公・坂田銀時役を演じることがわかり大きな話題を呼びました。

 小栗さんはインタビューで「普段はちゃらんぽらんな銀さんですが、ビシッと決める時は決める……そんな彼のスタイルが自分とよく似ている」と答えています。銀髪天然パーマが似合うビジュアルだけでなく、小栗さんと銀さんの根本的な性格が類似しているから、福田雄一監督は彼をキャスティングしたのかもしれません。

 福田監督から銀時役の話が来た時、小栗さんは「作品のファンでもあるのでぜひやりたい」と言ったものの、原作者の空知英秋先生からは「銀さん如きを小栗くんにやってもらっていいのか」という意見も出たそうです。しかし、小栗さんはかつて原作のなかで「小栗旬之助」という自身のパロディキャラが登場し、他の登場人物にいじり倒された過去を逆手に取り、「だからこそ空知先生は僕を断れないはずだ」と伝えるという、原作ファンならではの手法で銀時役を勝ち取りました。

 また、空知先生が撮影現場に「照れくさいから来ない」と聞かされると、「先生に来て頂けないなら、小栗旬之助の件で訴訟を起こしてもいい」と脅して来させたというエピソードもあります。もちろん冗談ではあるものの、相手が原作者でも物怖じしないところも、「リアル銀さん」と言えそうです。その他のキャラや作品自体の再現度も高い『銀魂』は大好評&大ヒットとなり、小栗旬さんが演じる銀さんは「小栗銀さん」という愛称で愛されています。

村長『荒川アンダーザブリッジ』

 2011年にTVドラマが放送され、2012年には劇場版が放映された実写版『荒川アンダーザブリッジ』も、小栗さんが原作ファンだった作品のひとつです。ドラマ化すると知るなり、小栗さんは「村長役をやりたい」と出版社に直談判。原作者・中村光先生にも許諾をもらい、出演が決定しました。しかも、自分を使えば友人の山田孝之さんを星役として出演させられると言い、こちらも実現化しています。

 自称・河童の「村長」のビジュアルを再現するため、冬用のウェットスーツを着用し、目と口以外は特殊メイクで塗り固められた顔で演技をするのは「地獄だった」そうです。しかし、その苦労の末に誕生した実写版・村長は非常にラフなノリで、時には意味が分からない振る舞いをしながらも、温かい人柄という、イメージ通りのキャラになっていました。

 王道イケメンも、変人も演じ分ける小栗旬さんの役に対する向き合い方はとても真摯で、作品へのリスペクトが感じられます。この先も、小栗さんがどんなキャラを演じるのか楽しみです。