「純なのにコワい」美しいサイコキャラを演じぬく役者魂

 アニメに登場する女性キャラのなかには、美しい外見に反して歪んだ欲望や性格を抱えるキャラもいます。男性キャラを誘惑しておいて裏切ったり、味方をまるで下僕のように扱ったり……。非道なキャラだと分かっていながら、その美貌や麗しい声に、とりことなってしまう方もいるのでは。この記事では、まがまがしくも美しいキャラを演じた声優を3人、ご紹介します。SNSでも「夢に出てきたんだけど洗脳されてるのかな」「最高のヤンデレ」と評判です。

【画像】甘い声に心がどうかしてしまう…ヤンデレキャラたち(7枚)

『バビロン』曲世愛役・ゆきのさつき



『バビロン』 (C)野崎まど・講談社/ツインエンジン

 主人公である正崎善(せいざき・ぜん/CV:中村悠一)は、東京地検特捜部の検事として、製薬会社の不正事件を追っていました。部下の文緒厚彦(ふみお・あつひこ/CV:小野賢章)と捜査を続けていたある日、善は一枚のおかしな書類を見つけます。

 その書類は、毛髪や爪のようなものが付着しているうえ、「F」という文字で真っ黒に埋め尽くされていました。捜査の結果、参考人として浮かび上がった医師を訪ねることにしたふたり。彼らはそこで、驚きの光景を目にして――?

『バビロン』は、同名小説(著:野崎まど、イラスト:ざいん/講談社)を原作としたアニメです。「読む劇薬」と銘打たれた原作をアニメ化した本作。各話の最後に「番組はフィクションであり~」との注意書きが入る点も、内容の過激さを匂わせています。

 本作に出てくる謎の女・曲世愛(まがせ・あい)は、とても美しい女性です。しかし彼女は中学生の頃から、周りの人物をおかしくしてしまう能力を持っていました。特に恐ろしいのは、たったひと言聞かせるだけで相手を操り、自殺に追い込む能力。魅惑的でありながらどこか吸い込まれてしまいそうな曲世の声を、ゆきのさつきさんが好演しました。

 殺人の是非や善悪の違いなど、哲学的な話題を正崎に淡々と問いかける曲世。「純粋な悪人」と呼ばれることもある彼女は、時に非常な残虐行為を行いながら、こうした問答を変わらぬトーンで語ります。『ひぐらしのなく頃に』の園崎詩音役とはまた違う、ゆきのさんの狂気の演技に注目です。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などで見ることができます。

『SSSS.GRIDMAN』新条アカネ役・上田麗奈



『SSSS.GRIDMAN』 (C)円谷プロ (C)2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

 ある日目が覚めると、記憶喪失になっていた高校1年生の響裕太(ひびき・ゆうた/CV:広瀬裕也)。そして、他の人には聞こえない「グリッドマン」(CV:緑川光)の声が、古いパソコンから聞こえるように。グリッドマンは、「使命を果たせ」と裕太に語りかけます。

 もろもろの出来事に戸惑いつつも、同級生の宝多六花(たからだ・りっか/CV:宮本侑芽)や内海将(うつみ・しょう/CV:斉藤壮馬)たちとなんとか日々を送る裕太。しかしある日、突如街に怪獣が現れます。グリッドマンに呼ばれた裕太は、「覚醒」するべく、古いパソコンに取り込まれて――?

『SSSS.GRIDMAN』は、特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』(制作:円谷プロダクション)を原作とした、新作アニメーションです。「ウルトラマン」シリーズをほうふつとさせつつ、高校生たちの日常もあわせて描く本作。上田さん演じる新条アカネ(しんじょう・あかね)は、裕太たちのクラスメイトです。

 表向きは、彩色兼備でクラスのアイドル的存在であるアカネ。しかし気に入らないことがあると、家でカッターの刃を出したり、PCを足で蹴り倒したりと、かなり怒りっぽい性格です。そして、アカネの気に入らない人物が、なぜか次々と裕太たちの街から消えていきます。

 普段は明るくかわいらしく話すアカネですが、気に入らない相手を追い詰めている時の楽しそうな様子や、怪獣が勝って心から喜ぶ様子など、かなりサイコパスな一面も。そんなアカネを、伊藤計劃氏原作のアニメ映画『ハーモニー』で御冷ミァハも演じた上田さんがとても自然に演じています。

 明るい声ではあるものの、少しその冷酷さがにじみ出ており、アカネの声を聴いているとじわじわと怖さを感じるほどです。その声の変化を、徐々に明らかになるアカネの本性とあわせてお楽しみください。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などで見ることができます。

『ハッピーシュガーライフ』松坂さとう役・花澤香菜



『ハッピーシュガーライフ』 (C)鍵空とみやき/SQUARE ENIX・ハッピーシュガーライフ製作委員会

 人を愛したことがなく、男遊びを繰り返していた女子高生・松坂さとう(まつざか・さとう/CV:花澤香菜)。しかしある日「好きな人とふたり暮らしを始めた」と、さとうはあっさり男遊びをやめます。さとうの「好きな人」とは、謎の少女・神戸しお(こうべ・しお/CV:久野美咲)でした。

 しおとの生活に、幸せと「愛」を感じるさとう。生活費をまかなうためアルバイトを増やしたさとうでしたが、新しいバイト先でさっそく同僚の三星太陽(みつぼし・たいよう/CV:花江夏樹)に告白されてしまいます。告白を断ったさとうでしたが、それから店長やバイト仲間の様子がおかしくなりーー?

『ハッピーシュガーライフ』は、同名マンガ(作:鍵空とみやき/スクウェア・エニックス)を原作としたアニメで、原作のキャッチフレーズは「戦慄の純愛サイコホラー」です。花澤香菜さん演じるさとうは、しおとの暮らしを通して愛を知りますが、ふたりの生活を守るためには手段を選ばず、罪を重ねていきます。

 ふだんのさとうは一見、男子にモテて女友達もいる、ごく普通の女の子です。しかし、しおへの愛があふれるあまり、ふたりで結婚式ごっこをしたり、「世界で一番大好きな人って誰?」と、少し洗脳めいた問いかけをしたりします。しおと話すときのさとうの声は、とても優しく甘い声です。

 その一方で、しおとの生活を守るためには、先生でも友達でも容赦なく切り捨てるさとう。その時の声は低く冷たく、しおと話す時と同一人物とは思えないほどです。実はかなりのヤンデレであるさとうの二面性が、徐々にあらわになっていきます。

『東京喰種 トーキョーグール』で神代利世役も演じている花澤さん。かわいらしい作画に似つかわしくないほど怖いさとうの二面性を、見事に表現しています。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「U-NEXT」などで見ることができます。

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 美しくもまがまがしいキャラは、その個性の強さゆえに、実力派声優が担当する傾向にありそうです。上記3作品ではどのキャラも物語のキーパーソンとなっており、彼女たち抜きでは作品を語れないほどです。一度見たら忘れられないほど、強烈なインパクトを残す彼女たち。パンチの強いキャラや作品が好きな方は、ぜひご覧ください。

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