筆者の自宅に積み上がった「ガンプラ」たち。忙しい社会人は、「買う」ことはできても「作る」のには決心が必要で……(以下すべて筆者撮影)

【画像】「積みガンプラ」を崩すのに最適だった1機 組み上げの一部始終(6枚)

「いつか作ろう」と積み上がっていき…

『機動戦士ガンダム』シリーズのプラモデル、通称「ガンプラ」を見かけたら、つい買ってしまう方は多いでしょう。筆者も初代『機動戦士ガンダム』から連なる宇宙世紀シリーズのモビルスーツが大好きで、「いつか作ろう……いつか作ろう……」と思いながらチマチマと買い続けていました。

 特にここ数年はガンプラの転売問題が顕在化したこともあり、たまに棚にあるのを見つけた時には「転売屋に買われるくらいなら自分が買う」という気持ちになってしまい、気づけばけっこうな数がたまってしまいました。

 いつか作ろう……そんな気持ちのままではガンプラが積み上がる一方です。というわけで今回、思い切って1機組んでみることにしました。さて何を組もうかと思案した結果、選んだのは「1/200 RX-78F00ガンダム」。動く巨大ガンダムを展示する「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に入場者特典としてプレゼントされたモデルです。なぜこれにしたのかというと、組み立てが簡単そうだったのと、箱ではなくビニールパッケージのモデルなので詰みにくく、何かの拍子に壊してしまうかもしれないからです。

 というわけで、やると決めたら一気に動きます。工具としてニッパーとデザインナイフ、各種ヤスリ、キムワイプを用意してからパッケージを開け、組み立てマニュアルとランナーを取り出します。ランナーは1枚のみですが、白・青・赤・黄色の4色で構成されているので色の境目を確認したところ、別々に作られた小さなランナーを組み合わせて1枚に構成していることがわかりました。

 パーツ数は全部で32。近年のモデルとしては非常に少ないため、ごく短時間で組めそうです。いざ作業を始めると、各パーツの組み合わせも簡単で、気持ちよく「パチン パチン」とはめ込むことができました。どこから作るのかは自由に決められますが、筆者はまず頭から手を付けて、次に胴体、両脚、両腕の順番で組み上げることに決めました。



ランナーについたパーツがすでに色分けされているのも、現在では当たり前だが子供時代からすれば大きな進化?

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組み上げは非常に簡単、出来上がりに満足感も

 パーツがついたままのランナーも、またひとつの芸術のようなたたずまいを醸し出しておりこれはこれで良いものですが、一度作ると決めたからには迷うことなくニッパーを握りしめ、パーツを切り出していきます。パーツにランナーが残ってしまった部分をデザインナイフで処理し、少しずつ組み立てていきます。

 当初はパーツの合わせ目を消そうと考えて準備はしていたのですが、組み上げていくうちに合わせ目のラインがデザインそのものに組み込まれていることに気づいたので止めました。美しいモデルを簡単に組めるような工夫がデザイン段階から考えられているのは、さすがバンダイです。40年以上も蓄積されてきたガンプラの技術は伊達ではありません。

 所要時間は1時間ほど。ガンプラを組むのは久しぶりですが、思ったより早く仕上げることができました。塗装も合わせ目消しも一切何もしていない素組みの状態でも、きちんと見栄えのする状態になっているのは、時間がない社会人にとっては非常にありがたいものです。

「1/200 RX-78F00ガンダム」の駆動部分は足首と両腕、両脚の付け根のみで、自由な姿勢を取れるというわけではありませんが、かつて昭和時代に1/144の旧モデルを組んだ身としては、簡単に自立させられるだけで「40年の間にガンプラがどれだけ進歩したのか」をうかがい知ることができます。しかもこのモデル、簡易型とはいえベースも付属しており、ある程度ではありますが見栄えにもこだわることも可能です。

 目のデカールと武器がないのは少々残念ではありますが、デカールの貼り付けは失敗しやすい行程ですし、武器は尖っている部分が多く危ないため、低年齢層用のエントリーモデルとしては省くのもアリかもしれません。

 しかし、こうしてガンプラを作って軽く「ブンドド」して遊んでいると、子供のころを思い出します。あのころはプラモを買ってもらうのもひと苦労で、工具も塗料も自由には入手できませんでしたが、それでもプラモづくりは日常生活でのちょっとしたイベントとしてとても楽しいものでした。大人になった今、あの頃よりも時間はありませんがお金はあるので、ちょっとだけ上の世界を目指したい。そんな気持ちが湧いてきた気がします。