『Zガンダム』でアムロの乗機となったディジェを再現した、「RE/100 MSK-008 ディジェ (機動戦士Zガンダム)」(BANDAI SPIRITS)

【画像】「ガバッ」と大火力を見せつける、アムロの乗機「ディジェ」(4枚)

ジオン系のデザインで、華麗に登場

「MSK-008 ディジェ」は、『機動戦士Zガンダム』に登場したモビルスーツです。エゥーゴがジャブロー攻略のために地球へと降下し、その後宇宙に上がる際に残していった「RMS-099 リック・ディアス」をカラバが譲り受けて改装し、アムロ・レイが搭乗しました。

 35話「キリマンジャロの嵐」に登場したディジェを初めて見たときの衝撃をどう表現すればいいのでしょうか。

 宇宙世紀0087年11月2日、カラバはティターンズの要衝であるキリマンジャロ基地の攻略作戦を実行しました。エゥーゴも衛星軌道上からアーガマによる攻撃を行う形で協力することになりましたが、ヤザン・ゲーブル率いるハンブラビ隊による攻撃を受け、クワトロ・バジーナ大尉の百式が重力圏に捕らわれてしまいます。

 即座にカミーユ・ビダンのZガンダムがウェイブライダー形態となり救出に向かい、ともに地球上へと降下、なし崩し的にカラバと合流してキリマンジャロ攻略に参戦することとなりました。

 カミーユとクワトロは基地に生身で侵入し、紆余曲折の末にフォウ・ムラサメが搭乗するサイコ・ガンダムを見送る羽目になります。この次のシーンでサブフライトシステムに乗り、砲台らしきものを華麗に撃破した機体が、アムロ・レイが操縦するディジェだったのです。

 最初に見た瞬間「え!? この機体にアムロが乗ってるの!?」と大きな衝撃を受けました。ガンダムをはじめとする地球連邦系のデザインからはほど遠い、ジオン系のデザインの機体にアムロが乗っているというのは、当時の少年が持つ常識からはかけ離れた出来事だったのです。

 アムロはリック・ディアスに乗って戦ったこともありますが、これはアムロ専用機を用意する余裕がなく、借り物の機体を使っていたという理由がはっきりしていました。初代ガンダムにおいてもアムロはガンキャノンやガンタンクに搭乗しており、味方の機体を借りること自体に違和感は無かったのです。

 事実、デザインを手掛けた藤田一己氏はディジェをアクシズ用の機体としてデザインしており、アムロの機体として登場した際には驚いたことを明かし、アムロ用の機体であれば別のデザインにしていたとコメントしています。しかし今にして思えばZガンダムでのアムロは脇役であり、主役機然とした機体には乗せづらいのは当然といえるかもしれません。

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スゴ腕パイロットの象徴? 高性能とピーキーな操作

 そんなディジェですが、機体の性能自体は良好です。全環境対応型であるリック・ディアスを地上戦用へと設計変更しており、機体の軽量化や廃部バインダーに放熱用大型フィンを備え冷却機能の強化が行われ、スラスターの一部には空気燃焼型の熱核ジェットエンジンを採用するなど地上用へ調整されています。

 開発には旧ジオン系の技術者が参加しているため、フォルムはゲルググに近いものとなっていますが、ドム同様に脚部の熱核ジェットを用いたホバー走行も可能となっています。射撃武装としては地球連邦軍製の頭部60mmバルカン砲に百式と同型のBR-M-87 ビーム・ライフル、口径300mmのクレイ・バズーカを装備し、十分な火力を備えています。

 近接武装としてはゲルググのようなビーム・ナギナタを装備。盾は右肩に固定式となっており、連邦系の色も見えますが、やはりかなりジオン寄りの構成となっているのが見て取れます。アムロが搭乗した試作1号機以外にも量産されていますが、操作性がピーキーであり、熟練パイロット以外には扱えないため生産数は少数にとどまりました。

『Zガンダム』から10年が経過した設定の『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』では、かつてエゥーゴやカラバのスポンサーを務めたルオ商会が運用しており、最新鋭量産機であるグスタフカールを圧倒する活躍を見せ、基礎性能の高さを証明しています。

 マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、宇宙用の改装を受けた試験機が登場してネオ・ジオン軍の指導者となったシャア・アズナブルが運用し、ディジェはリック・ディアスと同様に、アムロとシャアの両者が使用した機体となりました。

 このとき使用された機体は資金力がない新生ネオ・ジオンにスポンサーから寄付された機体であり、開発されたばかりのサイコフレームを実装、名だたるエースパイロットたちをただ1機で翻弄し、シャアとサイコフレーム、そしてディジェの潜在能力を見せつける結果となりました。

 初登場こそ唐突ではありましたが評価は高く、ガンダム世界のなかでもトップ中のトップたるパイロットたちが使用したディジェは、さまざまな媒体で新たな改装型が登場し続けており、これからも新たなディジェを見かける機会がありそうです。