『ONE PIECE FILM RED』ポスタービジュアル (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

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原点との競演!劇場版『ONE PIECE』の「新時代」幕開け

 2022年8月6日、ついに『ONE PIECE FILM RED』が公開されました。事前情報から、主人公・ルフィに麦わら帽子を託した男・赤髪のシャンクスが登場するということで、ファンのボルテージは最高潮に高まっていたと思います。そして公開された本編は、そんな期待を裏切らない、まさに劇場版の「新時代」を思わせる物語でした。
 

原点にして頂点の男・シャンクスとルフィの競演

 ちょうど映画が公開された8月6日、前作にあたる『ONE PIECE STAMPEDE』が地上波で初放送されました。海賊王ゴールド・ロジャーの元船員で、圧倒的な武力を誇る男、ダグラス・バレットとの死闘を描いた今作は、まさに「『ONE PIECE』オールスター」。本編では絶対に観られない、キャラクターたちの超豪華なやり取りがとにかく楽しめました。

『ONE PIECE FILM RED』でも、意外なキャラクターにスポットライトをあてた展開が楽しめます。しかし、今作の見どころは、物語の原点といえる「ルフィとシャンクスの競演」です。最強のカードを切ってきた総合プロデューサーの尾田栄一郎先生のアイデアに、「そう来たかあ!!」という驚きと喜びを禁じえません。

 ルフィの冒険に、シャンクスが深く関わる。こんなの面白くないわけがないでしょう!そんな期待を裏切らず、クライマックス、ついにシャンクスが出てきた時の感動は、最高潮に高まりました。

Adoさん&名塚佳織さんが見せるのウタの千変万化

 今回、ルフィとシャンクスの橋渡しとなる存在が、シャンクスの娘・ウタです。ルフィたちと同世代で、その歌声で「新時代」を切り開こうとするひとりの女性。彼女に命を吹き込んだのが、Adoさんと名塚佳織さんです。

 Adoさんは今作で、7つの楽曲でウタのさまざまな心情を乗せ歌い上げています。時に明るく、時に激しく、時に妖しく、時に哀しげに。普段のAdoさんとは違う声、そこに込めたウタの想いに、すっかり酔いしれました……。

 そして、名塚佳織さんの声を通じて、ウタの想いや暗い過去が語られます。歌声のインパクトに負けない、語りかけるようなセリフ。ふたりが命を吹き込んだウタという女性は、歴戦の猛者(とにかく強いおじいちゃんたち)が幅を利かせていた劇場版において、まさに新機軸なキャラクターでした。

戦闘シーン以外で魅せる「ルフィの成長」

『ONE PIECE』の魅力といえば、やはり躍動感ある戦闘シーンです。今作も、クライマックスに向かうほど、戦闘描写への興奮度は高まっていきます。しかし、『ONE PIECE FILM RED』の見どころはそこだけではありません。

 劇場版『ONE PIECE』には、劇中世界の暗い部分に焦点をあてた作品が多くあります。『ONE PIECE FILM Z』や、『ONE PIECE FILM GOLD』などがまさにそうです。今作も、これらの作品の系譜に連なるように、海賊時代の闇が描かれます。

 そんな『ONE PIECE FILM RED』で躍動するのは、世界トップクラスの海賊にも引けを取らない実力を手にしたルフィではありません。同作で描かれるのは、根っこの性格はそのままに、いくつもの苦難を乗り越え精神的に成長したルフィです。拳のふるう先がない戦いにおいて、彼が選んだ決断によるクライマックスこそ、筆者にとって今作での一番の感動ポイントでした。

『ONE PIECE FILM RED』は、歌とストーリーで興奮や感動、悲しみや喜びといったさまざまな感情を引き出してくれる作品です。フィナーレをむかえた後の余韻は、過去の劇場版で一番でした。この感動を、ぜひ映画館で一緒に味わいましょう。