セイラやスレッガーらが搭乗したGファイター。画像は「ROBOT魂 機動戦士ガンダム [SIDE MS] Gファイター ver. A.N.I.M.E. 塗装済み可動フィギュア」(BANDAI SPIRITS)

いろんな形が再現できた、「Gファイター」とガンダムの組み合わせ(6枚)

ガンダムの強化用に開発された重戦闘機

『機動戦士ガンダム』の主役機となった「RX-78 ガンダム」は極めて優秀な機動兵器ではありますが、単体での運用においては、ビーム兵器の採用によるエネルギー消費量の高さや移動速度などの問題点を抱えていました。この弱点を解消するために開発されたのがGファイターです。

 ガンダムの運用データ集積が開始されてから開発されたため、製造から実戦配備までわずか2か月しかなかった急造品であり、2機分のパーツが試作されホワイトベースに配備されました。機体前部をAパーツ、後部をBパーツと呼称しますが、それぞれが「ArmAment(武装)」、Bパーツは「Booster(推進力増強)」の略称とする説も存在しています。

 武装としてはAパーツ側にビームキャノンとも呼ばれるメガ粒子砲を2門搭載、威力はガンダムのビーム・ライフルを上回っており、多くの撃墜を記録しています。その他にも機首部にミサイル、Bパーツに小型のミサイルランチャーが搭載されており、活用されました。

 メインパイロットはセイラ・マスとスレッガー・ロウが務めましたが、スレッガー機はソロモン攻略戦の際にビグ・ザムと交戦し喪失、セイラ機はア・バオア・クー攻略戦の際に放棄されました。

 ガンダムとの合体形態は「Gアーマー」と呼ばれており、Gファイターの武器とガンダムのビーム・ライフルの同時運用が可能となり、発射回数も増加します。それまではガンペリーでの輸送が行われていたガンダムの高速輸送が可能になり、大きな戦術的柔軟性を獲得しました。

 また、左右にガンダムシールドが装着されており防御力の向上に貢献していますが、当初は1枚を外す必要がありました。ジャブロー到着後はアムロの要望により2枚のシールドが重ね合わされ、1枚になるよう改装が施されています。

 初登場は23話「マチルダ救出作戦」。損傷し、不時着したホワイトベースに対しレビル将軍の命令によりマチルダ・アジャン中尉がガンダムのパワーアップメカを送り届けようとしましたが、輸送中に3機のグフとドダイYSの襲撃を受け、着陸を余儀なくされました。



「ROBOT魂 機動戦士ガンダム [SIDE MS] Gファイター ver. A.N.I.M.E. 」と、「ROBOT魂 <SIDE MS> RX-78-2 ガンダム ver. A.N.I.M.E.」を組み合わせて再現した「Gブル」形態

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ガンダムの戦車形態も登場

 アムロはコア・ファイターで先行し迎撃にあたり、ガンキャノン到着後にガンダムへと空中ドッキングしますが、マチルダ中尉の危機に気が逸り、ガンダムはグフのヒートロッドにより大きなダメージを受けてしまいます。

 しかしミデアからの搬出に成功したGファイターをハヤト・コバヤシが操縦し、救援のために登場。Gファイターは、ほぼ滑走なしの状態からガンダムを乗せて上昇し、ドダイのミサイルをさらなる急上昇でかわして逆に上を取り、ガンダムの勝利に大きな貢献を果たしました。

 24話ではセイラ・マスがメインパイロットとなり、ガンダムとの合体形態である「Gアーマー」として参戦。同時に空中での分離であるボルトアウトも披露しています。25話ではオルテガのドムの攻撃により損傷したAパーツをコア・ファイターに交換した「Gスカイ・イージー」も登場し、ガンダムを乗せたまま水爆を搭載したミサイルに追いつくだけのパワーを発揮しています。

 なお、Gスカイ・イージーにガンダムのBパーツが組み込まれたパターンは「Gスカイ」と呼ばれており、31話のみに登場しました。

 26話ではガンダムのAパーツとコア・ファイター、GファイターのAパーツを組み合わせた戦車形態「Gブル」が登場し、ビームキャノンで重装甲のゴッグを一撃で撃破しました。しかしGブルはコア・ファイターのコクピット部分が敵と正対する位置にあるため、パイロットは極めて危険な状態に晒されます。Gブルはビームキャノンを地上戦で使う以外のことは一切考えない、特攻形態としての位置づけになるのかもしれません。

 コア・ファイターを取り除いた「Gブル・イージー」形態も31話で披露されていますが、このときはガンダムのAパーツの非装甲部分が前面となっており、やはり危険性は高そうです。

 第32話ではガンダムとGファイターのAパーツのみで構成されたバリエーションも登場し、ザクレロとの戦闘で使用されました。正式な名称はありませんが、現在ではガンダムMAモードと呼ばれています。宇宙空間での高速移動とモビルスーツとしての柔軟な火器運用が可能な形態ですが、動きが直線的となるため戦場や対戦相手によっては有利不利が大きく変化すると思われます。

 Gファイターをガンダムの武装強化システムとして考えた場合、そのコンセプトはGP-03デンドロビウムやGディフェンサーとして受け継がれています。果たしてこれからのガンダムにはどのような強化システムが登場するのか。楽しみしたいと思います。