プレイすればファミコンの楽しい思い出と、ママの激怒した顔が蘇る。画像は「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(任天堂)

【画像】「アンタいつまでやってんのよ!」ブチギレママを多発させたファミコン名作ソフトたち(7枚)

ファミコンをめぐるママとの戦い

 その昔、我が家に「ファミリーコンピュータ」がやって生きて以来、自宅での遊びが180度変わった子供たち。遊ぶ時間のほとんどをファミコンに傾けてしまったため、その姿に不安を覚えるママとのトラブルは頻繁に起こり、いさかいや怒られることが度々ありました。今回はそんなファミコンをめぐるブチギレママとの戦いや駆け引きを振り返ります。

隠密ファミコンでママブチギレ

 当初、ファミコンという得体の知れないおもちゃが我が家にやってきたということでその取扱いがザルだったママ。こちらとしても特に注意もされないので狂ったように遊んでいましたが、やがて心配になったママが「1日1時間」という家庭内法令を発しました。

 高橋名人よりも以前に1時間制を提唱したママに従うしかなかった私ですが、法の抜け穴をぬうようにママが不在の時などに勝手に取り出し脱法ファミコンをプレイ。そんな浅はかな行動はすぐばれてしまいます。おそらく片付けたファミコンの位置などで触ったことがばれたのでしょう。「そんなことならばファミコン自体禁止!」と怒り、こちらの泣き詫びなど無視してファミコンは隠されてしまいました。

「ちゃんと片付けなさい!」鬼と仏の顔を見せ、子供を洗脳……

 ママが怒る要因1位は、どの家庭でも「片付けない」ことではないでしょうか。本体を正規の箱に戻し棚にしまうのがスタンダードで、大工スキル持ちのパパが専用のラックをこしらえる家庭もありました。

 そんななか我が家はファミコン収納籠があり、本体とパッケージにしまったソフトを綺麗にしまうというルールでした。ただママが求める「しまう」というのはコントローラーやアダプタのコードをゴムでまとめてきれいに収納するレベルで、子供の私には面倒くさい。油断するとゴムまとめを忘れてそのまま籠にしまうこともあり、それが見つかると「これはしまうとは言わない!」と烈火のごとく激怒。

 何度か続くとママは問答無用でファミコンをゴミ袋に放り投げ捨てるムーブを見せます。泣いて詫びてママとゴミ袋の引っ張り合いをしたこともありました。それでも許されず、ママはファミコンを廃棄……というのはフェイクで数日後に「実は捨てなかった」とファミコンを私に見せ、優しいママを自己演出。私も「仏さんのような優しさだ……」と見事に洗脳され、逆らえない体になっていきました。



体力的に遊べない子もいた旧ファミトレ。これを見たママがのけ者にしていると激怒。画像は「ファミリートレーナー」Switch(バンダイナムコエンターテインメント)

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怒られないための「見せプレイ」という駆け引き

 友人が我が家に来た際にファミコンで遊ぶことは当然のことのようにありました。ただ、その友人のなかには、プレイをせず眺めているのが好き、後ろから指示する後方プロデューサー面が好きという友人もいました。大人になった今だから気付くことですが、おそらく上達しないことがコンプレックスでそれが露わになるのが嫌という子か、家庭の教育方針でファミコンが禁止されていて、それを敬虔に守る子だったのだと思います。

 この座組を目ざとく見つけたママは「友人に意地悪をしてプレイさせない」と思い込み、友人が帰ったあと私を怒るのです。先述のような事情は子供の当時わかるわけもなく、こちらとしては友人に言われたとおり「見ているだけでいいって言ったから」と説明したところで「あんたがガキ大将のように威圧したのだろう」と威圧的に言うので二の句が継げず。「ファミコン1週間禁止」という不条理&無慈悲な処分が下されることもありました。

新しいソフトを買ってもらうために古いソフトの「見せプレイ」

 続々と楽しいソフトが発売されたファミコン。自分でお小遣いをためて買うこともありますが、リスクなしで手に入るのが誕生日やクリスマス、そして親がご機嫌なとき。そうやって1本1本ソフトが増えていくと、古いソフトで遊ばなくなることは必然。

 それを目端で確認していたママ、そうとは知らない私はまた新作ソフトをおねだりします。するとママは「あのゲーム、全然やってないじゃない!新しいの買ったってこれも遊ばなくなるんでしょ!」とブチギレ。どうやらママとして古くなったおもちゃを放置し遊ばなくなることが理解できないらしく、新作を買ったとて同じことをするだろうと予測していたようです。

 また「ソフト=荷物」と認識しており、物が増えることの嫌悪というのもあったようです。これに対し「古くなったソフトは飽きた」と正直に言えるわけもなく、ママと「まんべんなく遊ぶ条約」を締結。自宅でファミコンをする際、わざとらしくしない所作で古いソフトでも遊んでいるところを「見せプレイ」し、ママの溜飲が下がったところで新しいソフトを買ってもらうという流れがありました。

 現在の据え置きゲームといえば、ソフトはダウンロードで場所をとらないし、ゲーム機自体はオシャレで出しっ放しでも美観を崩さず。コントローラーのコードもなくなって片付けるとうい概念が昔とくらべなくなり、今日日の子供たちはママとの戦いもきっと減ったことでしょう。それはそれでちょっと寂しいかもしれませんね。