『ブレス オブ ザ ワイルド』の大ヒットも記憶に新しい『ゼルダの伝説』シリーズ

【画像】冒険の幕開が意外!『ゼルダの伝説』初期3作のプレイ場面を振り返る(6枚)

未プレイヤーはみんな間違う?

 1986年2月にリリースされた『ゼルダの伝説』は、小気味良いアクション性とひらめきで状況を打破するアドベンチャー性を融合させ、刺激的なプレイ体験で多くのゲームファンを魅了。その反響を受けてシリーズ化を果たし、確固たる地位を築き上げました。

 Nintendo Switchと同日に発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、累計販売本数が2655万本(2022年3月末時点)を記録するなど、今や国内外で支持される人気コンテンツになっています。

 本シリーズは、ゲームファンならば誰もが一度は耳にしたことのある有名な作品ですが、ゲーム人口はそれよりもさらに多いため、「実際に遊んだ遊んだことはない」という方も少なくありません。この問題は、どれだけ名の通った作品であっても、決して避けることは出来ないでしょう。

 そのため、直接遊べばすぐに分かることでも、未プレイゆえに思わぬ勘違いが生まれることも多々。ファンからすれば、誰もが驚くような意外な誤解──「『ゼルダの伝説』の間違いあるある」を今回お届けします。

「緑色の服を着た主人公が『ゼルダ』なんだよね?」

 タイトル名は、そのゲームを象徴する大事な要素です。そのため、作品の顔ともいえる主人公の名前が盛り込まれている場合もあります。代表的なところでは『スーパーマリオブラザーズ』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』などが世界的にも有名です。

 そうした例があるためか、本シリーズの主人公を代々務める「緑色の服を着た少年」の名前を「ゼルダ」だと思いこんでいる方が少なからずいます。経験者からすれば即座に訂正したいほどの間違いですが、修正の機会がなければ信じ続けてしまうのも無理のない話です。

 ちなみに「ゼルダ」は、いわゆるヒロインに当たる存在。ごく一部を除いて作品ごとにそれぞれ別の人物ですが、ハイラル王家の血を引いており、名前も「ゼルダ」と命名されていることがほとんど。なので「ゼルダ姫にまつわる事件や出来事に、緑色の服をまとった主人公が関わり、彼女を助ける」というゲームシリーズと受け止めれば、タイトル的にも分かりやすいかと思います。

「リンクって同じ人物なんでしょ?」

 ゲームシリーズの主人公は、同一人物が務めるケースもあり、『イース』シリーズや『メトロイド』シリーズなどが、その代表的な例といえるでしょう。

『ゼルダの伝説』の場合、主人公の見た目がデザイン的に共通しており、絵柄の違いこそあれ、同じ人物のように見えます。そのため、前述した作品のように、同一人物が主人公を続けている、と捉える方がいてもさほどおかしな話ではありません。

 本シリーズの各作品は、直接繋がっている場合もありますが、そのほとんどは長い年月で隔たれており、時には数百年も間隔があることも。とても同一人物が存在できるスケールの話ではなく、各作品に登場する主人公は(一部の例外を除き)いずれも別人です。またゼルダのように、全員が同じ一族とも明言されておらず、人気シリーズの主人公ながらやや謎めいた存在でもあります。

 ちなみに、本シリーズの主人公である「緑色の服を着た少年」は、一般的に「リンク」と呼ばれていますが、必ずしも正確な名前とはいえません。というのも、作品によってはプレイヤーが名前を任意で決めるため、常に「リンク」と呼ばれるとは限らないからです。ただし、攻略本やファン同士の会話の中では、「主人公=リンク」と便宜的に表現しており、本シリーズの主人公を象徴する名前なのは間違いありません。



記念すべき1作目『ゼルダの伝説』から全てが始まった

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あの強敵に潜む、意外な勘違い

「ボスって、『ガノンドルフ』だっけ?」

『ゼルダの伝説』シリーズのほとんどで、緑の服を着た少年が主人公となり、王家の血を引くゼルダ姫が物語の重要な役割を担います。が、先程お伝えした通り、作品ごとに別人である場合がほとんどで、各主人公に至っては繋がりもはっきりとしません。

 そんなふたりと肩を並べるくらい、本シリーズにとって欠かせない重要な人物がいます。それは、世界を我が物にせんと企む「ガノンドロフ」。ゼルダたちと違い、このガノンドロフは基本的に同じ人物で、時代を越えてたびたび世界を危機に陥れます。

 シリーズ全般における「悪の象徴」といった存在でもあるガノンドロフですが……印象深い立ち位置や振る舞いとは相反して、「ガノンドルフ」と呼び間違えられることが多々あります。

 間違えられる理由は、「~ドロフ」という呼び名に馴染みがなく、「ルドルフ」などの聞き覚えがある一般的な名前に引きずられてしまうためといった説や、同じく任天堂の『スターフォックス』シリーズのボス「アンドルフ」と混同されたのでは、といった見方などがありますが、はっきりとした理由は不明です。

 迫力満点のボスだけに、名前を間違われてしまうのは少々残念なところ。もし覚え間違えをしていた方は、これを機にこっそり記憶を修正しておきましょう。

「『ゼルダの伝説』って、1本の長いお話なんだよね?」

 シリーズ作と一口にいっても、世界観的に直接の繋がりがなく、個別の世界として描かれるケースもあります。ナンバリング間の繋がりが全体的に薄い『ファイナルファンタジー』シリーズなどが、その代表例です。反面、『バイオハザード』シリーズのように、時系列が連続する同一世界を描く場合もあり、そのスタイルはシリーズ作ごとにさまざまです。

『ゼルダの伝説』シリーズは後者に近い形ですが、大きな1本の流れのなかに各作品があるわけではなく、その形は少々入り組んでいます。まず原点はひとつで、作品の時系列において最も古いのは『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』。ここから、シリーズの歴史が展開していきます。

 しかしその歴史は、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』をきっかけに大きく変化。「勇者が敗北した時代」「勇者が勝利した子供時代(聖地を守り抜く)」「勇者が勝利した大人時代(ガノンドロフ封印)」と、この時に3つの時代へと分岐します。

 ここで分岐した世界はパラレルワールドのような扱いになり、いずれもその時間軸における歴史として紡がれました。そのため、現時点では「正史」のような扱いはなく、どれも『ゼルダの伝説』シリーズの歴史ですが、同時に独立した時間軸の物語でもあるのです。

 シリーズ展開としてはやや特殊な部類ですし、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は今のところこの流れに組み込まれていないため、今後の歴史はさらに複雑化するかもしれません。ともすればややこしくもありますが、それだけ世界に奥深さがあるともいえるでしょう。

 ちょっとした思い違いから予想外の設定まで、『ゼルダの伝説』シリーズの「勘違いあるある」は作品に負けない意外性があります。勘違いの修正も大切ですが、間違いそのものを楽しんでみるのも一興かもしれません。