岡崎律子さんや月村了衛氏が活躍

円盤皇女ワるきゅーレ



アニメ「円盤皇女ワるきゅーレDVD-BOX」(メディアファクトリー)

【画像】今も印象に残ってる? 2002年7月アニメの「バトル作品」(5枚)

 TVアニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』(ゆーふぉーぷりんせすわるきゅーれ)は、介錯先生が「月刊少年ガンガン」に連載したマンガを原作とした、ドタバタコメディ作品です。地球で宇宙人の存在が珍しくなくなってから数年が経ったある日、主人公・時野和人はUFOの墜落事故に巻き込まれ、死亡してしまいます。

 UFOに乗っていたヴァルハラ星の皇女、ワルキューレに魂の半分を分け与えられ、和人は無事に蘇りましたが、代償としてワルキューレは幼児化してしまい、和人が経営する銭湯「時乃湯(原作では時の湯)」で一緒に暮らすことになったのでした。

 まだ原作に忠実なアニメ製作が主流となる前の時代だったこともあり、ストーリーは原作から少し離れたオリジナル展開となりましたが、のちに「機龍警察」シリーズで数々の賞に輝く月村了衛氏が4話以外の脚本を担当しており、アニメとして良質な面白さが保たれています。

 また『円盤皇女ワるきゅーレ』で決して忘れてはならないのが、オープニングテーマ「愛しいかけら」の美しい歌声と旋律です。ボーカルは2004年に病気で急逝された不世出の天才、故・岡崎律子さんが日向めぐみさんと結成したユニット「メロキュア」が担当。作詞・作曲も岡崎さんが手掛けており、純度の高い岡崎律子さんを堪能することができる名曲です。『円盤皇女ワるきゅーレ』を見たことがない方は、ぜひその目と耳で、堪能してみてはいかがでしょうか。

朝霧の巫女



アニメ『朝霧の巫女』DVD5巻(キングレコード)

 TVアニメ『朝霧の巫女』は、宇河弘樹先生が「ヤングキングアワーズ」に連載した原作をもとにアレンジを加えた作品です。全26話。TVアニメとしては珍しい15分枠で製作されており、テレビ東京のアニメ番組枠「熱血電波倶楽部」で赤松健先生原作の『陸上防衛隊まおちゃん』とともに放送されました。

 原作では代々「審神者(さにわ)」の能力を受け継ぐ主人公・天津忠尋が次々と襲い来る化け物に襲われるなか、従妹の稗田三姉妹とともに窮地をしのぎ続ける日々が描かれていましたが、アニメ化された際には原作がまだ単行本3巻分しかなかったこともあり、設定・ストーリーの面で大きな変更が行われています。

 ストーリーを完結させるために明確な敵として禍津日神「ヤガレナ」が設定され、その配下として「朝霧の巫女」に対する存在として「黄昏の巫女」も登場しています。ヒロインである稗田柚子の友人などで結成された「巫女委員会」の活躍が強調されるなど、アニメ映えするような改変が行われました。脚本を統括するシリーズ構成の役職は『円盤皇女ワるきゅーレ』と同じく月村了衛氏が担当しており、当時の氏の多忙ぶりがうかがえます。

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高橋しん先生の原作を濃厚な13話に凝縮

最終兵器彼女



アニメ「最終兵器彼女 Vol.3 DVD」(東北新社)

 TVアニメ『最終兵器彼女』は、高橋しん先生が「ビッグコミックスピリッツ」に連載した原作をもとにした作品です。全13話。2005年には続編となるOVA『最終兵器彼女 Another love song』が全2話で製作されています。
 ある北海道の街で暮らす普通の高校生シュウジは、以前から好意を寄せられていた「ちせ」に告白され、付き合うことに。交換日記から始まった交際は徐々に深まり、ふたりは静かに愛を育んでいきます。

 しかしある日、謎の敵に空襲を受け逃げ惑っていたシュウジは、ちせが「最終兵器」として敵と戦う姿を目撃してしまいます。激化する戦いのなか、ちせは暴走を始めてしまい、心と体は人間からかけ離れた存在になってしまうのです。
 原作で描写されていなかった部分として、ちせの幼少時は病弱で東京の病院に何か月も通っていた……という設定がアニメで明かされています。このときに「最終兵器」がちせの体に馴染む体質を持っていたことが明らかになったようで、後に改造を受ける遠因となっています。

 ストーリーは原作に準拠した形となっていますが、登場人物が迎える結末は変更されることも多く、原作では曖昧だったシュウジの両親などは明確に死亡シーンが描かれています。

 オリジナルのキャラクターも数多く登場しますが、壮絶な最期や理不尽な死を迎える描写もしばしば見られます。間違いなく名作なのですが凄惨な描写も多いため、精神に余裕があるときにご覧になることをお勧めします。