横井翔二郎「嘘だけはつかない」料理と音楽が奏でる最高のボイスアクションショー

※編集部注:このインタビューは、長谷川芳明さん、紀ノ貴紀さん降板決定前に取材したものです。語っていただいた想いだけでも読者の皆さまへお届けできればと思い、公開しています。

オドルンパッ!企画第4弾『グルメ戦隊 クラックスW』が7月30日(土)、31日(日)に東京・MARRYGRANT AKASAKAで上演される。2.5ジゲン!!では公演に先駆けて稽古場でのインタビューを敢行した。

インタビューの前には、全員ではないが稽古に向けた初顔合わせが行われた。同席したのは、出演の五十嵐雅、大見拓土、大見洋太、長江崚行、演出の横井翔二郎、音楽のユージ・レルレ・カワグチ。

はじめにオドルンパッ!主宰の五十嵐雅が本企画の全体構造が語られる。今後も踏まえた物語の全体構造、ゲストキャストについて、音響、演出……くだけたラフな雰囲気で笑いを交えつつ、締めるところは締めるという独特の空気感の中、誰が何をするかという認識が広がっていく。一方的な説明ではなく、ささいなやりとりにもツッコミやフォローが入り、そのたびに笑いが起き、さらに各人の認識が深まっていく。

一通りの説明を終えた後、演出の横井翔二郎の言葉で締めくくられた。

「楽しくやれたらいいなと思うんですけど、嘘だけはつかないように。なんにせよ。雅さんの書いてくれた本は信頼して、信用して。おもいっきりやったら楽しんでもらえるというのは過去に俺や崚行が経験しているから、それだけは信じて。マジで皆さん力を貸してください!」

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――「オドルンパッ」という企画の概要などを教えてください。

五十嵐:特に無いですね。

横井:え、無いの?

五十嵐:あるよ。五十嵐雅がおもしろがれるもの。何より、お客さんが心躍るような、あっと驚くような、そんな時を一緒になって楽しめるエンターテインメントを作りたいという象徴です。そのために作っただけですね。キャスティングもそうなんだけど、自分自身が心躍るメンバーじゃないといけないなって思いますしね。

――キャスティングについては、どういった意図を持って集められたのですか。

五十嵐:キンプリ(KING OF PRISM by PrettyRhythm)です。

長江:(笑)。1度共演していることで仲良くもなれたので、このメンバーで、自分たちが作れるものはなんだろう? って、考えた時にこういった出会い方になったんじゃないかな……こんなことを雅さんは言いたいんだろうなって思います。

五十嵐:(拍手)はい、そのまま使ってください、カッコ五十嵐って書いて、俺の言葉にして。

長江:それで大丈夫です。

――大見拓土さんと大見洋太さんという双子のキャスティングも何か意図がありますか。

五十嵐:もちろん、2人の双子共演というのはこれまで無かったんだよね。

拓土:そうですね、イベントとかではありましたが…。

五十嵐:え、あるの? ……無かったことにできない?

拓土:黒を白に変えることは…。

横井:イベントとかじゃなくて、お芝居は?

拓土:それは初めてです。

五十嵐:……なのでね、2人がまず双子で何か作品ができないかな? って、ことでね。あとは拓土と崚行が、えっとなんて言えばいいのかな…。

長江:過去の作品で、こういうやりとりができたんじゃないかとか、こういうのを見て見たかったっていうのがあって、そういうのを自分たちでやってみようってこと……ですよね。

五十嵐:それ、全部俺が言ったことにできる?

――大見拓土さんと大見洋太さんにお聞きします。双子で共演することに対して意気込みなどはございますか。

拓土:意気込み……特には。

長江:なんでだよ、何か用意しておけよ!

横井:拓土が先にこういうお仕事を始めていたわけじゃん。その後、洋太君があとから始めているわけじゃん。一緒にやりたいとかって無かったの?

洋太:……えっと。

横井:え、無いの?(笑)。

洋太:もちろん双子でやりたいなって願望はあったんですけど、今回はそれ以上にファンであるキンプリに出演されている皆さんと共演できるということの方が嬉しすぎて! 俳優業はじめる前から初演を見ているので!

――舞台本編、演出についてお聞きします。今回の作品の見どころを教えてください。

五十嵐:みんなに聞いてみたいな。

洋太:マリッジファイトですね。キラキラしたバトルがあります。自分も本を読んで心躍る部分がたくさんあったので、お客さんも一緒に楽しんでほしいなって思いました。

五十嵐:拓土はどう思う?

拓土:良い弟だなって思いました。

五十嵐:そうじゃなくて……お前、主演だろ!

拓土:はい(笑)。でも、脚本を読んで「久しぶりに」っていうのも変だけど、主人公の正彦のように生きたいって思いました。真っすぐで情熱的で正義感が強く。カッコよく輝いているように思えたので、それをちゃんと表現できるかな……って。でも、その人になれる時間を楽しみたいと思いました。

五十嵐:本作は仮面ライダーRXにインスパイアされて脚本を設定しているんですね。シャドームーンとRXを双子に、それを導くのが崚行で。崚行の作品を色々見たけど、彼の兄的な部分を見たいと思ったんですよ。俺ね、崚行を本当に信頼しているんですよ、抜群にリーダーシップを発揮するし、全体を支えてくれるし、最初に相談したのも彼なんで。

――長江さん、今の言葉を受けてどうですか。

長江:そう思ってもらえるのはとても嬉しいですね。共演した際にも、天真爛漫だけど誰よりも努力して誰よりも頑張っている雅さんを見てきたので、そんな方に一緒にやろうよって言われただけでも嬉しいです。自分ができることを全力でやりたいです。

あと今回はキャスト、スタッフをほぼ身内で構成しているので、俺も裏方をやったりすると思うんですよ。そんな自分たちだけで作る舞台に対するワクワクと、誰のせいにもできない怖さも感じているんですけど、やれることをやるだけです。…こんなんでいいかな?

五十嵐:ばっちり!

――今回は結婚式場で上演される作品ですが、どのような経緯で決まったのでしょうか。

五十嵐:キャスティングが進んでいる段階で、会場選びも進めていて。映画館という候補もあったんだけど、偶然こちらのMARRYGRANT AKASAKAさんと縁があり決まりました。ボイスアクションショーという朗読劇なのにヒーローショーを観ているような気になる作品を色々な場所でやりたいって思ったんですよね。ワクワクが増す場所で。

――脚本は先に決まっていたのですか。

五十嵐:場所が先ですね、この場所を色々と見て……結婚式だと何が起きるかな? とか、料理もおいしいよな……とか、天井がガラス張りになっていて……とか、星と料理ってロマンチックじゃないですか。それらを組み合わせて、このメンバーであれば絶対に面白いものが作れるなって!

――他の出演者のみなさんは、結婚式で朗読劇をやるということについてどう思いましたか。

拓土:物販撮影で現地に行ったんですけど、ここで朗読劇できる? って、いうのが感想なんですけど、逆に楽しみでもあるし。台本で描かれているまんまの世界観だったので、とてもいいなって思いました。ここでどうなるのか、今から楽しみです。

長江:僕は……「マジで?」って思いました(笑)。どうするんだろう……ってすごく思って。普通の結婚式場でやるってことなのでリアリティを表現することはしやすいだろうけど、物が実際にそこにあるとそこに囚われてしまわないかという不安もあります。舞台であれば机をパフォーマンスで色々なものに見せ、お客さまの想像力で補ってもらうっていう手法があるんですけど、それが今回はリアリティに持っていかれるのでどうなるのかなって。でも「マジで?」って思った後に「みんながやらないことをやりたい」って思ったので、頑張りたいですね。

洋太:あの会場に入って、綺麗だし天井が高くて、ワクワクしたんですよね。それをお客さまにも同じように感じていただきたいですね。良いところ選びましたね、雅さん!

五十嵐:ありがとー。

――演出に関して、音楽などについても教えて頂けますか。

五十嵐:僕がボイスアクションショーを立ち上げた時に、効果音・音楽が大事な要素なので、そこをより生き物として存在させることができればもっと面白くなるのになって、思っていたんですよ。そこで横井翔二郎君と親交の深い、ユージさんを紹介してもらったんです。役者とのセッションを大事にしてくださる方なので。

――セッションというと、具体的にはどのような形でしょうか。

横井:劇伴じゃなくて奏でる人がいて、それに導かれる我々がいて。

ユージ:感情に対して音楽を乗せることで空気感を作っていく。これまでの文脈に合わせて作り上げていく。感情を表現することもできるし、感情を促すこともできる。

五十嵐:音を出すだけではなく、ユージさんが朗読の流れ、役者の空気を読んで適切な音を出してくれる。出演者の1人として出てくれるというだけで心強いんですよね。

ユージ:1月も横井君と一緒にやってきたんですよ。嬉しいですね呼んでくれて。

横井:ユージさん、元はストリートで音楽をやっていたんですよ。

ユージ:1番最初はね。自分のパフォーマンスは曲を流しながらドラムを鳴らすってことを続けてきたんだけど、BGMはどうしても決まったものが出るから、そこに対して、フロアの空気を読んで音を鳴らします。

五十嵐:応援上演のようなことをするわけですけど、お客さんとステージをつないで盛り上げて頂きます。楽しいしかないですね!

横井:俳優と楽器のセッションを味わったことない人は想像がつきにくいですよね、未知な部分……未知な体験って絶対に面白いと思います。

ユージ:結婚式場って初めてだから楽しみですね。天井高くて音が抜けるんで……どうやろうかなって。音楽をやる人間としてもとても楽しみな場所ですね。

――いまの話を聞いて出演者の皆さんはどう思いますか。

長江:僕らとしても初めての経験なので、お客さまも含めて全員で感動できると良いな。

横井:こっちのエキサイトが伝われば良いよね。

拓土:元々、よっこい(横井)から色々とお話は聞いていて。ユージさんと一緒に芝居をした際に、芝居のグルーヴを初めて感じられたとも言っていたので、色々なワクワクがたまっていました。さらにそれを盛り上げる人も入って来たので、何か掴めることを自分に期待しています。

洋太:皆さんの話を聞いていて、この座組への頼もしさが倍増しました。きっとお客様も楽しめるだろうし、僕自身もユージさんのパーカッションに乗せられてグルーヴを感じたいです。

――今回の公演ではコラボレストランがありますね。

五十嵐:今回脚本に出てくる料理を、MARRYGRANT AKASAKAの料理長が真剣に向き合って作ってくれたんです。脚本もちゃんと読んで……リーズナブルな価格でハイクオリティな料理なんです。

拓土:愛があるね、料理長が脚本読んでくれたんだ。

横井:朗読の70ページって相当だよ。

五十嵐:事前に予約できるので、ぜひ行って欲しいですね。朗読劇を見る前でも見た後でもいいので!

――最後に一言お願いします。

五十嵐:コロナ禍においても公演を打てることが奇跡だと思いますので、最後までお客さまと楽しい時間を過ごしたいです。来て頂いた皆さまには最高の「ご馳走様」を提供しますので、ぜひよろしくお願いします。

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インタビュー道中、キャストのツッコミや外的要因により、話題は右往左往していたが、その和気あいあいぶりがカンパニーとしての良い雰囲気を感じさせてくれた。お互いを信頼し合っている彼らのパフォーマンスをぜひご覧頂きたい。

取材・文:木皿儀隼一/撮影:ケイヒカル