水戸部凛之助が表紙に描かれた『黒子のバスケ』3巻(集英社)

【画像】派手さと強さは関係ない?ジャンプの地味だけど凄いキャラ(7枚)

山じいの右腕はやはりかなり強い

 どんなマンガでも、名前を聞いてもすぐに思い出せず、特徴を聞いてようやく、「…そういえばそんな奴いたな」となるキャラがいます。そんな地味なキャラのなかにも、能力や少ないエピソードを冷静に振り返ると、実は凄いと思えるキャラも存在しています。

この記事では、『週刊少年ジャンプ』の作品のなかから、そんな「地味に凄いキャラ」をご紹介します。

『BLEACH』雀部長次郎忠息

 雀部長次郎忠息(ささきべ・ちょうじろう・ただおき)は、護廷十三隊・一番隊副隊長というポジションのキャラ。「洋風のものを好む」という要素でキャラづけがされているものの、いわゆる「無口キャラ」のため、ほとんどセリフがありません。出番もそこまで多いわけではないので、必然的に作中でも地味な扱いとなってしまいます。

 それでも、最強の護廷十三隊総隊長・山本元柳斎重國の右腕という地位と、ビジュアルで実力者の雰囲気は、ある程度漂っていました。しかし、「尸魂界(ソウル・ソサエティ)篇」一護に素手でやられてしまい、さらに存在感が希薄に。

 そんな彼の使用する卍解「黄煌厳霊離宮(こうこうごんりょうりきゅう)」は、天候を操り、雷を落とすことができるというかなり強力なもの。そして、若い頃には1カ月で卍解を習得、山本隊長の額に傷を入れた、などの強者エピソードも明かされます。戦闘描写に関しては不遇でしたが、間違いなく実力者であり、山本隊長に忠誠を誓い続け、隊長への昇進を断っていたかっこいい男です。

『黒子のバスケ』水戸部凛之助

 水戸部は、黒子テツヤが所属する誠凛高校バスケ部の二年生。『ジャンプ』作品のなかでも、筆頭格の「無口キャラ」といえます。彼は、なんと作中で一度もセリフを発しません。ここまで振り切っていると、「逆に存在感が増すのでは?」と思う方もいるかもしれませんが…実際読んでみると、やはり地味なものは地味です。

 そんな水戸部の持ち味のひとつとしては、まず「フックシュート(ボールを片手に乗せ、そのまま放るショット)」。鉄壁のディフェンスを誇る正邦高校との対戦など、要所要所でフックシュートを決めています。そして、地味なシーンではありますが、軽々とダンクを決める瞬間もありました。身長186cmであのダンクを決めるというのは、かなり驚異的な跳躍力。そして水戸部は洞察力も高いのです。洛山高校との戦いでは、オネエ言葉が特徴的な実渕玲央のシュートを見切り、ブロックしていました。

『黒子のバスケ』は数々の現実離れした能力が出てくるため、水戸部がかすんでしまうのも仕方がないのですが……ひとつひとつの要素を拾っていくと、かなり能力は高いと言えそうです。



ゴレイヌさんが初登場する『HUNTER×HUNTER』13巻(集英社)

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地味ながら「最強説」も浮上するゴレイヌさん

『HUNTER×HUNTER』ゴレイヌ

『HUNTER×HUNTER』の「グリードアイランド編」で初登場し、ゴンたちと共闘したゴレイヌ。ゴリラのようなキャラクターデザインをしており、「黒い賢人(ブラック・ゴレイヌ)」「白い賢人(ホワイト・ゴレイヌ)」という、2体のゴリラを具現化する念能力を持っています。さらに、「白い賢人とゴレイヌ自身」、あるいは「黒い賢人と相手」の場所を入れ替えることも可能です。

 作中では、そこそこの実力者として描かれており、ある程度の活躍もしていましたが……そこまで印象に残るほどのキャラではありません。しかし、冷静に考えれば、「分身を2体出して、入れ替えも可能」というのはかなり強い能力なのではないでしょうか? 実際、グリードアイランドという共闘必須のゲームに、途中までソロで挑んでいたのですから、相当な強さだと推測できます。作品における扱いとしては間違いなく脇役なのですが、「最強説」も存在するほどです。

 一部のファンの間では「ゴレイヌさん」と呼ばれ、半ばネタキャラのような扱いでニッチな人気も獲得しています。

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』アキーム

 アキームは、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のベンガーナ王国で戦車隊隊長を務めていたキャラ。登場の割合としては間違いなく脇役で、言われるまで思い出せない人もいるかもしれません。

 しかし、勝ち目がなくても先陣を切るなど武人としての誇りを見せ、クロコダインに「なかなかの武人よ!死なせたくはないっ!!」と認められるなど、地味にカッコいいキャラでもあります。

 さらに、リーダーらしい力強い顔立ちながら、実はアキームは24歳。この若さで、最強の軍事国と言われるベンガーナ王国の戦車隊トップを任されている時点で、相当すごいキャラなはずです。そして戦車隊所属ではありますが、最終決戦の際には剣をふるって魔物たちと戦っており、剣術も達者だと思われます。地味ではあるものの、漢気もあり実力もある……実に良い味を出しているキャラクターです。

 ほかにも、陸上部からの助っ人ながらクリスマスボウルまで泥門デビルバッツの一員として戦い抜いた『アイシールド21』の石丸哲生や、豊玉戦で流れを引き戻すプレーを見せた『SLAM DUNK』のヤスこと安田靖春、『トリコ』の国宝・節乃の弟子で、大量の食材を凍らせて保存し食糧難の危機を救った料理人・ののなど、セリフも出番も多くないながら、要所でしっかり活躍しているジャンプキャラはまだまだいます。このように、後から思い返すと「あの人凄くないか」と感じるキャラも、マンガの魅力のひとつです。