高い判断力を持つ軍師・河了貂が表紙に描かれている『キングダム』23巻(集英社)

【画像】『キングダム』の実在しないけど魅力的なキャラを見る(5枚)

なじみ深い主要キャラクターも、実はオリジナル……!?

『キングダム』は、秦の始皇帝による中華統一をテーマにした人気マンガ作品です。主人公・信(しん)は実在した武将「李信」であり、史実を元に組み立てられたストーリーのなかで彼が成長していく様子が描かれています。その他、個性あふれるキャラクターが登場することも魅力ですが、史実では存在しなかったキャラクターもいることをご存じでしょうか。今回は、ネット上で話題になっている「『キングダム』に登場するオリジナルキャラクター」について紹介します。

 まず、物語の初期から信と行動をともにする河了貂(かりょうてん)は、『キングダム』の読者にはなじみ深いキャラクターといえるでしょう。「飛信隊」のなかでは、高い判断力を持つ軍師として能力を発揮しています。しかし実は史実には全く登場せず、マンガオリジナルのキャラクターです。「好きなキャラクターだったのでショック……」という声も見られました。

 信が少年であった頃に同じ夢を見た相棒・漂(ひょう)も忘れてはいけません。お互いに戦災孤児でありながら、いつかは天下の大将軍になることを目指し、鍛錬を積んでいました。信に最も影響を与えた重要な人物ですが、こちらもオリジナルキャラクター。舞台となった時代は今から2000年以上も前のため、当時の記録も多くはありません。実在した「李信」は奴隷の出ではないようですが、本当はどのようにして将軍を目指すようになったのかも気になりますね。

 その他、信が統率する部隊「飛信隊(ひしんたい)」で副長を務める羌カイ(きょうかい)は容姿端麗な美少女として描かれ、読者からも高い人気を持つキャラです。2020年に「週刊ヤングジャンプ」でおこなわれた「第一回キングダム総選挙」にて、第1位を獲得していました。美しい容姿からは想像もつかない戦闘力や参謀としての知力も大きな魅力ですが、史実によると羌カイという名前の将軍は実在するものの、女性であったかどうかは不明とされています。同じく人気キャラで、山の民を率いる美しき王・楊端和(ようたんわ)も、実在はしたものの女性かどうかは定かではありません。

 他にも、秦軍相手に強敵として立ちはだかった廉頗四天王(介子坊・姜燕・輪虎・玄峰)や、楚の見た目も器も大きい女傑・カ燐(かりん)将軍、桓騎軍(桓騎将軍は実在)の凶悪な面々などなどオリジナルキャラは多数います。紀元前の記録が少ない時代が舞台ゆえに、史実をなぞりつつも数々のロマンあふれる展開と個性的すぎるキャラが登場できる余地があるのが『キングダム』の魅力かもしれません。