『機動戦士ガンダムSEED』における「ガンダムチーム」の4人、イザーク&アスラン&ニコル&ディアッカが描かれた「『機動戦士ガンダムSEED』Original Soundtrack 1」ジャケット(ビクターエンタテインメント)

「ガンダムチーム」で思い浮かべるMSは? 名機を振り返る (5枚)

宇宙世紀以外でも活躍したガンダムチーム

「ガンダム」といえば『ガンダムシリーズ』の主役機体。劇中では圧倒的な能力を持つ強力なMS(モビルスーツ)です。しかし、作品によっては1機だけではなく、複数登場すること、そしてチームを組むこともありました。

 いわゆる「ガンダムチーム」という言葉が劇中に登場したのは、『機動戦士ガンダムZZ』でのこと。エゥーゴの強襲巡洋艦アーガマにZガンダム、ZZガンダム、ガンダムMk-II、百式の4機のガンダムタイプが配備されたのがきっかけでした。

 さかのぼれば前作『機動戦士Zガンダム』でもZガンダム、ガンダムMk-II、百式の共闘は見られたわけですが、チームという感じでの連携はしていなかったことと、『ZZ』の持つ明るい作風が生んだ言葉だったと思います。

 1機でも強いガンダムがチームを組んで戦うのですから強くて当然。劇中の描写も相まって、ハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍の主戦力のすべてはガンダムチームに敗れたように見えます。実質的な「第一次ネオ・ジオン抗争」終結の立役者だと言えるでしょう。

 しかし、この強過ぎた実績が地球連邦軍の上層部に不安感を募らせ、「ガンダムは核兵器と同等の危険なもの」という認識に至らせます。この直後の「第二次ネオ・ジオン抗争」にアムロ・レイが乗機にガンダムタイプを希望したのに却下されたのは、皮肉にもジュドー・アーシタたちがニュータイプとガンダムのポテンシャルの高さを見せつけたからでした。

 宇宙世紀ではこの後、ガンダムが複数配備されることはほとんどなくなります。しかし、「ザンスカール戦争」のおりに、レジスタンス運動組織「リガ・ミリティア」が量産したガンダムタイプのMS「ヴィクトリーガンダム」が登場し、それを運用したことでガンダムチームの名前も復活していました。

 宇宙世紀以外のガンダム世界でもガンダムチームに類するものは多くあります。『機動武闘伝Gガンダム』での「シャッフル同盟(どちらかと言うと機体でなく人の呼称ですが)」、組織名になりますが『機動戦士ガンダム00』の「ソレスタルビーイング」、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の「鉄華団」などです。

 なかでも『新機動戦記ガンダムW』ではサブタイトルで「Gチーム」と呼称しているので、実質的にはガンダムチームと呼んでいいのかもしれません。

 このようにガンダムチームといえば主人公側で向かうところ敵なしというイメージがありますが、とある世界では逆に敵側のやられ役になっている作品もありました。



『機動戦士ガンダムZZ』で元祖「ガンダムチーム」誕生! 画像は「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 『機動戦士ガンダムZZ』 I」(バンダイナムコアーツ)

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ガンダムチームなのに負け続き、その原因は…

 ガンダムチームにマイナスなイメージのある世界。それは『機動戦士ガンダムSEED』の世界、コズミック・イラ(C.E.)です。

 この世界の主役ガンダムであるストライクと戦うことになるのが、デュエル、バスター、ブリッツ、イージスの4機のガンダムでした。この5機はもともと地球連合軍の所属国家である大西洋連邦が、オーブ連合首長国のモルゲンレーテ社との共同で開発した新型試作MSでしたが、ストライク以外の4機をザフトに奪取され、敵味方に分かれて戦うことになります。

 こういった経緯からストライク1機で、敵側のガンダムチーム4機と戦う不利な状況が前半の見どころのひとつでした。しかし、逆を言えばガンダムが4機いてもストライク1機に手こずる展開になります。この点を振り返ってみると敵側ということもありますが、それまでのガンダムチームにあったオールスター感はありません。

 それまでにも敵側のガンダムはいましたが、チーム編成ははじめてだったので敗戦が一層際立っていたかもしれません。ちなみに『機動新世紀ガンダムX』のフロスト兄弟は2機のコンビというイメージなので、筆者としてはチームではないかな?と思っています。

 後半では劇中の変化した戦況に合わせて、主人公側はフリーダム、ジャスティス、ストライク、バスター、遅れてストライクルージュというガンダムチームを結成しました。これにより敵側のカラミティ、フォビドゥン、レイダーと相対する、史上初のガンダムチーム同士の戦いになります。

 もっともラスボスであるプロヴィデンスは単機でありながら、チーム編成のガンダムたちを圧倒するという展開を見せました。もちろんパイロット能力もありますが、C.E.でのガンダムチームは不遇だったと思わせてしまいます。

 このC.E.独自のジンクスは続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でも同様でした。アビス、カオス、ガイアの敵側ガンダムチームは連戦連敗という不名誉なパターンから抜けられていません。

 最終決戦ではデスティニー、レジェンド、インパルスと、ストライクフリーダム、インフィニットジャスティス、アカツキというガンダムチーム同士の戦いとなります。これにより、どちらが負けてもガンダムチームの敗北で最終回を迎える展開になりました。

 このようにC.E.の世界では不遇ばかりのガンダムチーム。要因のひとつは劇中に登場する強力なMSがすべてガンダムだったからかもしれません。