「デス13」が夢のなかでジョースター一行を追い込むも負ける『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』7巻

「勝ち確」まで追い込んだ敵は他にも!単行本で振り返る (8枚)

ラスボスをギリギリまで追い込んだ暗殺チームのリーダー

『ジョジョの奇妙な冒険』には、数々の敵キャラたちが登場します。各部ラスボスはいわずもがなで強敵ですが、途中で登場する刺客たちもメインキャラを絶体絶命の危機に追い込むことが多いです。なかには、本当にあと一歩のところまで追い込んだのに敗北してしまった者も……。そこで今回は、『ジョジョ』の「勝ち確まで追いつめたのに負けてしまったキャラ」を紹介します。

夢の世界で戦う「死神(デス)13」

 第3部に登場したスタンド「デス13」は、ジョースター一行をかなりの窮地に追い込みました。大鎌を持った死神のような見た目をしたこのスタンドは変わった能力をもっていて、本体の近くで眠ったり気絶したりした者をスタンドが作り出した夢のなかに連れ込むことができます。その夢のなかに引きずり込まれた他者はスタンドを出したまま眠らない限りは夢にスタンドを持ち込めず、「デス13」に一方的に攻撃されてしまうのです。おまけに攻撃を受けた者が夢から覚めたとしても、その記憶を忘れてしまうため、自分が怪我をしていてもスタンド攻撃を受けたと認知できず、本体を探すこともできません。

 さらに厄介なのが、本体のマニッシュボーイは生後11カ月の天才赤ちゃんという点。まさか近くにいる赤ちゃんがスタンド使いとは誰も思わず、正体もバレづらいという鉄壁の守りを誇ります。

 本来なら無敵のこのスタンドにより、ジョースター一行は夢のなかで翻弄され成す術もなく殺されるところでした。ところが、花京院典明が現実世界で眠る前(気絶前)にスタンド「ハイエロファントグリーン」を出現させていたため、夢のなかにスタンドを持ち込んで打ち破ったのです。

 その前に「デス13」の夢のなかに連れ込まれた際に、抜け目なく「BABY STAND(赤ちゃんがスタンド使い)」と自分の腕に彫りこんでいた花京院。仲間から「ノイローゼ」と思われながらも、マニッシュ・ボーイを用心深く観察したこともあり、絶体絶命の状況を打開しました。

1対1ならドッピオ(ディアボロ)に勝っていた? 「メタリカ」

 第5部に登場したギャング組織「パッショーネ」の暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロは、ディアボロの別人格の少年・ドッピオをあと一歩まで追いつめました。

 リゾットのスタンド「メタリカ」は、『ムーミン』のニョロニョロのような見た目でリゾットの体内に群生し、「磁力」を操る能力を持っています。その能力によって、射程内に入った生き物の体内の鉄分でカミソリやハサミを形成し、体を内側から破壊。そして、そのように体内から鉄分を欠乏させることにより、酸素不足にして死に至らしめるのです。

 この暗殺に適した能力で、まさに虫の息までドッピオを追い込んだリゾット。が、トドメを刺そうとした直前、近くまでボス(ディアボロ)の正体の手がかりを探しに来ていたナランチャの「エアロスミス」の攻撃を受けて倒れました。

 ドッピオはその直前にリゾットを攻撃しようと自分の体から出たメスを投げつけていましたが、それは実は間近に迫ったブチャラティチームの方向に向けて飛ばしていました。攻撃を受けたと判断した「エアロスミス」は二酸化炭素(呼吸)を感知し攻撃しますが、瀕死のドッピオは呼吸が浅かったためリゾットだけが狙われてしまったのです。ドッピオ(ディアボロ)のギリギリの機転による勝利でした。

 その後、リゾットは瀕死の状態から今度は自分が「エアロスミス」を利用してディアボロに攻撃を仕掛けますが、それも「キング・クリムゾン」で回避されてしまいます。しかし、それによりディアボロをピンチに追い込んだまま死亡したため、美しい最期だったと言えるでしょう。



「ジェイル・ハウス・ロック」の効果は食事をしたことも読んだ本の内容も忘れるのでわりと深刻な被害が出る『ジョジョの奇妙な冒険 第6部』12巻(集英社)

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どんなものでも具現化できるがゆえに敗北

二進法のアイディアがなければ一生籠の鳥「ジェイル・ハウス・ロック」

 第6部に登場したG.D.st刑務所のミューミュー看守のスタンド「ジェイル・ハウス・ロック」は、攻撃力はほとんどないですが、スタンドに触れた者に「新しい記憶が3つの物事までしか覚えていられなくなる」というデバフ攻撃を仕掛けます。これにより徐倫を目的の「脱獄」から遠ざけていきました。何かしようとしても、4つ目の物事を認識した時点でひとつ目の記憶が消えているので、これではどうしようもありません。

 ミューミューの目的は徐倫らを「刑務所に閉じ込めること」なので、殺さずとも勝ち確でしたが、同じ攻撃を食らっていたエンポリオが敵であるミューミューの似顔絵を二進法で伝え、それを徐倫が「ストーン・フリー」の糸で描画し敵を認識するという方法で勝利。二進法のアイディアがなければ徐倫は死んでいたか、ずっと閉じ込められたままだったでしょう。

ゴッホがニューヒーローを生み出し敗北「ボヘミアン・ラプソディー」

 第6部に登場した人生に絶望していたDIOの息子・ウンガロのスタンド「ボヘミアン・ラプソディー」。この世のすべての絵本や絵画、アニメ・マンガのキャラを具現化し、相手の魂を肉体と分離させ攻撃します。さらにそのキャラが登場するストーリーに沿った結末を迎えさせるという能力をもっています。

 射程範囲は全世界で、逃げ場はありません。アナスイは七匹の子やぎたちとその母、ウェザーは肖像画のゴッホに襲われ、万事休すとなりましたが、ウェザーが機転を利かせ、ゴッホにすべてのキャラを元に戻す新ヒーローを描かせて事態を収束させました。そして、このヒーローが生まれたことで、自分のスタンド能力がもう使えないことを悟ったウンガロは再び絶望し、再起不能に……。「どんなキャラも具現化させる」という無敵で無差別な能力の穴を突かれた敗北でした。

自分の「捨てた物」をおっかぶせることに固執し負けたアクセル・ROの「シビル・ウォー」

 第7部に登場した刺客、アクセル・ROのスタンド「シビル・ウォー」は、相手が人生で「捨てた物」の幻影を見せて襲い掛からせ、窒息させるという能力です。過去に自分が見殺しにした相手なども、「捨てた物」に含まれます。

 この戦いでジョニィらは過去に「捨てた物」に襲われ苦戦しますが、爪弾でアクセル本体を仕留めました。ところがこれはあえて殺させることで、アクセルが背負っていた「捨てた物」をジョニィにおっかぶせるという罠で、これにより清められたアクセルは復活。

 ジョニィはアクセルの「捨てた物」(かつて彼が軍にいた時に見張りの任務を怠り、結果的に死なせてしまった中隊の仲間や町の人々)の幻影に襲われることになり、勝ちを確信したアクセルはジョニィから「聖人の遺体」を回収しました。ところが、ジョニィのスタンド「タスク」が「ACT3」に進化して遺体の再奪取を試み、これに取り乱したアクセルはジョニィを殺害。おっかぶせたはずの「捨てた物」が再びアクセルに迫り、ジョニィは復活します。そして、アクセルは最後にはヴァレンタイン大統領に利用され、死亡しました。

 アクセルは自身の「捨てた物」をおっかぶせるために、清められたいために本体を晒したのが大きな敗因なのではないでしょうか。彼の罪深い過去があってこそ生まれたスタンドではありますが、結局はそのせいで悲惨な最期を遂げる羽目になりました。そもそも仕える相手を間違えたのが大きいですが。

 どれだけ凄いスタンドが相手でも、頭脳と精神力で打倒してきた『ジョジョ』キャラたち。ほかにも多数の「勝ち確まで追い込んだ敵」がいましたが、そうなってからがスタンド使いたちの本領の見せ場であり、『ジョジョ』の面白い部分と言えるでしょう。