全ての鬼が恐れる王・鬼舞辻無惨が表紙の『鬼滅の刃』22巻(集英社)

【画像】もはや清々しい……人気暴君キャラたち(5枚)

アメリカと友好条約を結ぶ最強生物

 マンガ作品のなかで帝王のように振る舞う、とんでもない「暴君」キャラ。徹底的に不遜(ふそん)に振舞ったかと思いきや、時おり優しさや意外な配慮を見せる者、ひたすら最悪な存在に徹する者もいました。今回は、清々しいくらいの横暴ぶりを発揮した「暴君」たちを振り返ります。

『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨

 近年最も注目され、読者に愛されている悪役といえば、やはり『鬼滅の刃』の「鬼の王」こと鬼舞辻無惨でしょう。元祖にして最強の鬼であるのはもちろん、部下の鬼たちへの横暴なふるまい、それでいて「臆病さ」も感じさせる徹底管理ぶりも特徴です。

 部下たちが自分の名前を口にしたら即抹殺、自分の分けた血が多い側近であればあるほど思考も色濃く読み取れ、勝手な行動は許さない、何かあったらすぐ呼び出すなど、ブラック気質満載な無惨様。アニメ化されている範囲では、やはり伝説の「パワハラ会議」の場面が語り草になっています。最初から下弦の鬼たちを皆殺しにするつもりで呼びつけているのに、相手の言葉尻をとらえてじわじわと心を折っていくドSぶり、まさに「暴君」としか言いようがありません。

「刃牙」シリーズの範馬勇次郎

 人気格闘マンガ「刃牙」シリーズで30年にわたり頂点に君臨し続けている、「地上最強生物」範馬勇次郎。戦場を渡り歩き、素手で敵を倒し続けるうちに、背中のヒッティングマッスルが異常に発達して鬼の顔に見えるため、「オーガ」と呼ばれ恐れられています。かつては全格闘家が戦いたがった戦士でしたが、「広大な宇宙が、光の速さでさらに膨張を続けるよう」に強くなり続けた結果、もはや誰も戦いを挑まない「孤高」過ぎる男になってしまいました。

 その強さは、秘密裏に大国アメリカと個人で「友好条約」を結ぶほどに圧倒的。首相官邸も一瞬で制圧でき、各国の首脳陣をまとめて恫喝するほどの影響力を持っていました。自分が地面を殴ったタイミングで地震が止まれば「自分が止めた」と確信できるほど己の強さに自信を持っており、あらゆる格闘技に精通しつつもそれは「自分以外の全ての弱者が使うもの」として我流で戦います。

 初期は強さにのみこだわる「暴君」のようでしたが、だんだんと自分より弱くても認める人物には彼なりの礼儀を示したり、息子・刃牙にまっとうな言葉をかけたり、完璧なテーブルマナーを見せたりと、人間力の面でも底知れなさを発揮しています。

 ちなみに、生まれた瞬間から助産婦さんや母親に、「命令」するほどの最強ぶりを見せていました。



1部から悪の帝王としてカリスマを発揮してきたDIOが表紙の『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』8巻(集英社)

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スピンオフではちょっとかわいい帝愛の「暴君」

『ジョジョの奇妙な冒険』のディオ・ブランドー(3部では「DIO」)

 人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の第1部と第3部のラスボスで、ジョースター家の永遠の宿敵であるディオ・ブランドーは、その圧倒的な強さと悪のカリスマぶりで読者を魅了した名悪役です。スピードワゴンから「生まれついての悪」とまで言われた彼は、人間時代から才能に溢れ、とくに狡猾さと人を利用する才能は頭抜けていました。吸血鬼になってからは「ゾンビ」たちを手下にし、3部では「肉の芽」を使って人を操っています。しかし、洗脳されずともディオに心底惚れこんで仕えている悪役も何人もいました。

 DIOのスタンド「ザ・ワールド」も、「時を止めて自分だけが動ける」という強力かつ横暴すぎる力を持っており、まさに彼らしい能力です。のちの6部ではプッチ神父の回想で紳士的で友好的な一面も見せていましたが、3部の最終決戦ではエジプトの街で「ザ・ワールド」を駆使してすさまじい「暴君」ぶりを見せました。

 特にDIOの犠牲になったウィルソン・フィリップス上院議員と、議員が運転する車に轢かれた歩道の人びとはあまりにも気の毒です。「関係ない 行け」のコマのDIOの表情は「悪の帝王」そのものでした。

「カイジ」シリーズの兵頭和尊会長

 ギャンブルマンガの金字塔「カイジ」シリーズで、主人公・カイジの宿敵「帝愛グループ」の頂点に君臨するのが会長・兵頭和尊です。莫大な資産を持ちつつも全く飽き足らず、世界中の富を欲する男で、老いてなお表情はとんでもなくギラついています。カイジも一度落とされた「地下」は、まさに彼の「王国」を作るために存在するなど、とんでもない権力と財力を有している「帝王」です。

 弱者をいたぶり苦しませるのが大好きなだけでなく、長年帝愛に尽くしてきた利根川に容赦なく「焼き土下座」をさせたり、一条を「1050年地下送り」にしたりと、真正の「ドS暴君」ぶりを発揮しています。カイジとの勝負でも天才的頭脳で圧倒、またどんなものでも手づかみという、食事シーンですら強烈な怪物的悪役です。

 しかし、スピンオフの『中間管理録トネガワ』では、その暴君ぶりは相変わらずながらも、寝る前に怪談を始めたり、風呂上りにパックをしていたりと、ちょっとかわいい一面も見せています。利根川の部下の女性黒服・西口からは「女子」に例えられたこともあり、その気まぐれぶりも少し愛着が持てるキャラに変わってきました。本編でのカイジとの決着も、楽しみなところです。

『漂流教室』の関谷久作

 楳図かずお先生の伝説的サバイバルホラーマンガ『漂流教室』に登場した悪役、関谷久作。大和小学校が校舎ごと未来世界へ飛ばされる前は、パン屋兼学校給食の納入業者をしており、子供たちから優しい人物と認識されていたようですが、漂流後の彼はとんでもない「暴君」へと変貌を遂げます。

 極限状態でだんだんと異常になっていく……というわけではなく、異常事態が起きた直後から「自分だけが生き残る!」と給食室を占拠、説得しに来た教師たちに一斉に火をつけたり、パンと牛乳がひとつずつなくなっただけで各教室を回って子供たちを拷問して殺害したりと、暴虐の限りを尽くしていました。

「いつも給食のおっさん、給食のおっさんと馬鹿にしくさって!!」と、普段からうっぷんを抱えていたらしい暴力的人物ですが、形勢逆転されると下手に出て命乞いをする小悪党でもあります。

 途中からは唯一の大人になった関谷は、一度幼児退行する場面もありましたが、支配者として再度君臨。子供たちを洗脳して未来生物と無理やり戦わせたり、挙句はひとりで食料を持って逃げ出したりと、徹頭徹尾どうしようもないクズっぷりが描かれました。