アムロとともに一年戦争を戦い抜いたガンダムも、最終話で傷つき倒れるシーンが描かれる。画像は「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」(バンダイ)

【画像】ガンダム最後の勇姿、頭部を欠いたラストシューティング(4枚)

「ララァ、教えてくれ。どうしたらいいのだ」

 42年前の1980年1月26日、『機動戦士ガンダム』の最終話「脱出」が放送されました。ジオン軍の最終防衛ラインの一角である宇宙要塞ア・バオア・クーに対し、地球連邦軍はジオンのコロニーレーザーによる攻撃でレビル将軍とソーラー・システムを失いながらも、残存戦力で総攻撃を仕掛けます。

 対するジオン軍は隙のない指揮で連邦軍を苦しめていたギレン・ザビがキシリア・ザビに殺され、指揮に空白を生んだ致命的な失策や、学徒動員兵の練度の低さも影響し、徐々に追い込まれていくジリ貧の状況でした。

 互いに戦力を消耗していくなか、アムロのガンダムとシャアのジオングもまた、死闘を繰り広げていました。オールレンジ攻撃をかわしながら、確実にジオングにダメージを与えていくアムロ。戦いのなか、シャアは徐々にアムロの意志を感じ始め、急速にニュータイプへと覚醒していきます。しかしアムロの戦闘能力はシャアを凌駕しており、急速接近しつつジオングの左腕を破壊、モビルスーツのコクピット越しにふたりは一瞬の対面を果たします。

「ララァは戦いをする人ではなかった!」アムロの心の叫びにシャアは何も答えられません。さらに戦いは続き、ガンダムは左手とシールドを失い、ジオングは右腕を破壊されオールレンジ攻撃を封じられてしまいます。

 ガンダムに背を向け逃走するジオングのなかで、シャアは滅多に使わないヘルメットをかぶりながらララァに救いを求めますが、答えが返ってくることはありませんでした。

 一方そのころ、ア・バオア・クーに接近していたホワイトベース隊は苦境に陥ります。左エンジンを破壊され擱座(かくざ)したところにリック・ドムによる砲撃を受け、右エンジンも失ってしまいます。3か月の間、激戦に次ぐ激戦を潜り抜けた勇艦も、遂に最期の時が来たのです。

 救援にやってきたガンキャノン・ガンタンクもジオン軍の猛攻に倒され、乗員たちは生き残りをかけた白兵戦に突入します。すでに大勢は決しており、連邦兵もジオン兵も、もはや戦う意味などほとんどない状況で、殺し合わなければいけなくなったのです。



アムロたちの居場所として描かれ続けたホワイトベース。画像は「輝艦大全 機動戦士ガンダム 1/1700ペガサス級強襲揚陸艦2番艦 ホワイトベース 約155mm ABS製 塗装済み可動フィギュア」(BANDAI SPIRITS)

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「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」

 岩陰にジオングを据え、残された腹部のメガ粒子砲で戦いを続けていたシャアでしたが、不意に現れたガンダムにより本体を撃墜されてしまいます。頭部コクピットで脱出した際にガンダムの頭部を破壊することに成功したものの、アムロは「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」と戦闘を継続します。

 通常、メインカメラの破損は「たかが」で済まされるものではありませんが、完全にニュータイプへと覚醒したアムロにとっては本当に問題ではなかったのでしょう。

さらにシャアを追い詰めたアムロは、シャアが待ち伏せをかけてくることに気づき、ガンダムを自動制御にしてコクピットを離脱。そしてガンダムが放った最後の一撃はジオングの頭部をとらえますが、ジオングの放ったメガ粒子砲もガンダムに命中。連邦の白い悪魔とあだ名され、数多くの名パイロットを葬ったガンダムにも、眠りにつく時が来たのです。

 互いに剣を振るい、生身で戦うアムロとシャア。そこにGファイターを乗り捨てたセイラが飛び込み、ふたりの戦いは痛み分けで終わります。

 と、そのとき不意の爆風にさらされたアムロは吹き飛ばされ、シャアは炎に飲まれそうになるセイラを危ういところで救い出します。シャアはセイラに別れを告げてザビ家の最後のひとりであるキシリアを殺しに向かい、本懐を遂げました。

 一方アムロは運よく、あるいは運命に導かれてかガンダムにたどり着き、生き残っていたコア・ファイターを発見。ニュータイプへと覚醒しつつあったホワイトベースのクルーたちを導きながら、帰るべき場所へたどり着くのでした。

 そして宇宙世紀0080年1月1日。地球連邦政府とジオン共和国臨時政府の間に終戦協定が結ばれました。

 しかし、これはジオンの敗北を意味するのでしょうか? 否、始まりなのです。

デラーズ紛争。
グリプス戦役。
第一次ネオ・ジオン抗争。
第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)。
袖付き。

 人類圏に隠れ潜んだジオン残党軍の戦いは、ここから始まるのです。