『遊郭編』には、元忍の宇髄天元の魅力が詰まっています。TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

【動画】可愛いけど過酷な経験を持つ優秀な「くのいち」天元の妻3人のPV

柱随一のコミュニケーション能力

 TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』は、音柱・宇髄天元のいい男ぶりやキレキレの筋肉も見どころのひとつ。流れる血、苦悩の表情ですらステキです。

 そんな天元は、言わずと知れた元忍。上弦の陸・堕姫には、「忍なんて江戸の頃には絶えてるでしょ 嘘つくんじゃないわよ」とまで言われてしまっていますが、この記事では、ストーリーのそこここに見られる、天元と雛鶴(ひなつる)、まきを、須磨(すま)の3人の妻が元忍であることに納得する6つのポイントをご紹介します。

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

コミュニケーション能力の高さ

 他人とのコミュニケーションが苦手な水柱・冨岡義勇や霞柱・時透無一郎、普段でもとにかく圧が強い岩柱・悲鳴嶼行冥や風柱・不死川実弥など、個性派ぞろいの鬼殺隊の柱たち。そんななかで、天元はごく自然に社会に溶け込むことができますし、コミュニケーション能力も極めて高いと言えるでしょう。

 もともと情報収集は忍の大切な任務であり、そのためには他人との自然なコミュニケーションは欠かせません。トンデモ女装で変装した炭治郎たちも目星を付けていた遊女屋にきっちり売り込めたのは、女将たちややり手をポーッとさせる彼の美貌だけではなく、そのベースにコミュニケーション能力と交渉力があったからです。

 そして、花魁道中を見た時の会話にも忍の情報収集力を感じることができます。天元はチラリと見ただけで、それが「ときと屋」の鯉夏花魁(こいなつおいらん)であると、伊之助や善逸に教えていました。これも番付の情報をはじめ、遊女らに関する情報もしっかり頭に入っているからこそで、忍時代に培った能力なのでしょう。

音もなく現れ、音もなく去る……

 遊郭まで駆け出した時はもちろん、屋根の上でしゃべる炭治郎と伊之助の側に現れ、また消えた時、荻本屋の主人の背後に現れた時、そして、暴れる禰豆子を抱えて悪戦苦闘する炭治郎の目の前に現れた時も、天元は現れるまで気配も感じさせませんでした。

 身長198cm、体重95kgのたくましい体格にもかかわらず、気配を消し去ることができるのは、元忍ならではの俊敏さや隠密性に優れた身のこなしゆえです。

的確な分析力

 忍はただやみくもに突撃する戦闘員ではありません。情報を自陣に持ち帰ることが任務ですから、適格な分析力ととっさの状況判断力が必要です。

 天元は、戦いながらも「ふたりで一体」の上弦の陸を倒す方法を探り、周囲に一般人がまだ残っているかどうかを把握しながら、もっとも効果的な攻撃を探るという、ひとりでいくつもの判断を瞬時にしています。これは相当な分析力です。

 さらに彼は自身の実力についても冷静に分析しており、悲鳴嶼行冥や時透無一郎には及ばないこと、そして、無限列車での戦いで200人の乗客全員を守りきった炎柱・煉獄杏寿郎のような戦い方ができないことも自覚しています。

 そしてその分析力が集約されるのが、「譜面」と呼ばれる「宇髄天元独自の戦闘計算式」です。天元は優れた聴覚を用いて、「敵の攻撃動作の律動を読み 音に変換する」ことで、相手の攻撃の癖や死角を見つけ、「唄に合いの手を入れるが如く音の隙間を攻撃」するための「譜面」を作り上げます。



天元の3人の妻も要所で大活躍。TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』ビジュアル(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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妻たちも優秀な元くのいち

毒への耐性がある

 上弦の陸・妓夫太郎の血鬼術「血鎌(ちがま)」は、妓夫太郎の血肉でつくられた猛毒の鎌による攻撃です。研ぎ澄まされた感覚を持つ伊之助がこの血鎌を見て、「掠っただけでも死ぬってのを肌でビンビン感じるぜ」と言うほどでした。

 しかし、そんな血鎌の毒は忍の訓練で毒への耐性をつけていた天元には、なかなか効きませんでした。「いいや全然効いてないね 踊ってやろうか」「絶好調で天丼百杯食えるわ 派手にな!!」と言って、毒を喰らった体でなお堕姫の頸を斬り落とし、妓夫太郎の頸にも迫る動きを見せています。

 ただ、戦闘後はさすがの天元も毒でひん死の状態。妻たちが与えた解毒剤も効かず、彼の命も風前の灯火と思われましたが……。ここであるキャラの意外な能力が役に立つのです。

化学を用いた戦い

 天元は鬼殺隊の柱たちのなかで唯一、戦闘に火薬を使います。忍は煙幕や松明など化学反応を用いた道具を自分たちで作り、使うこともありました。忍にとって化学は身近なものだと言えます。そういった背景もあり、元忍である天元も火薬の扱いには慣れていたのでしょう。上弦の陸たちとの戦闘のなかでも、攻撃力を高めるために火薬を使っています。

 火薬や前述の解毒剤以外にも、マムシや虫を避けるために藍染めの衣類を着たり、現代で言う携帯食の兵糧丸を持ち歩いたりなど、忍はさまざまな薬の扱いに長けていたと言われています。薬売りに変身して諸国を渡り歩き、情報を集めていたという説もあるほどです。

妻たちの戦い

 天元が「元忍」であるように、3人の妻たちは「元くのいち」として、「命を賭けるなんて最低限の努力」という教育を受けてきました。まきをは天元に「自分の命のことだけ考えろ」「死ぬな」と言われても、納得するまでに時間がかかったようですし、3人の妻たちも壮絶な人生を送ってきたのでしょう。

 そもそも鬼について情報収集するために遊女として遊郭にもぐりこむこと自体、そうとうの覚悟がいることですし、堕姫にひどい目にあわされてもいます。それでも情報収集を最優先させるのは、彼女たちが元くのいちだったからでしょう。努力や忍耐の限界値が、一般人とは大きく異なります……。上弦の陸との戦いのさなかには周囲の人々を避難させ、雛鶴に至っては命を顧みず妓夫太郎に攻撃を仕掛けたばかりか、その目を盗んで炭治郎に武器を渡すといった機転をきかせた行動で貢献しました。こういったとっさの行動も、元くのいちだからできたことでしょう。

 元忍であるがゆえの苦悩や葛藤は天元を苦しめていましたが、忍ならではのスキル、そして何よりも雛鶴、まきを、須磨の3人の妻は彼にとってかけがえのないものになっています。