『鬼滅の刃』原作コミックスの人気投票第2回で堂々の1位となった我妻善逸。画像はTVアニメ『鬼滅の刃』に登場する善逸 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

【画像】主役を食うほどの人気キャラを単行本表紙で見る(4枚)

ジャンプの歴史を変えた「飛影&蔵馬」コンビ

 少年誌の人気バトルマンガでは、出ずっぱりの主人公よりもおいしい場面をさらっていくサブキャラの方が人気になるパターンが珍しくありません。今回は「週刊少年ジャンプ」の4作品から、「主役の人気を超えたサブキャラ」を紹介します。

『鬼滅の刃』の我妻善逸

 近年の主役を超えた人気キャラの代表格と言えば、間違いなく我妻善逸でしょう。『鬼滅の刃』のなかでいちばんギャーギャー叫んでいるキャラですが、きつすぎる修行を嫌がったり、鬼におびえたり、可愛い女の子にテンションが上がったりと、最も普通の人間に近いメインキャラとも言えます。常に前向きで精神的には初期段階でもう完成されている主人公・炭治郎と違い、気絶したら急に強くなるという情けない状態からどんどん鬼殺隊の剣士として成長していくギャップも、人気の一因でしょう。

 また、2017年5月の第1回人気投票では炭治郎に次いで2位だった善逸は、連載終了後の2020年10月に発表された第2回人気投票でぶっちぎりの1位(4位に後退した炭治郎と比較するとほとんどダブルスコアの票数)に輝いています。この躍進には、2019年から始まったアニメでの必殺技「霹靂一閃」の演出のかっこよさ、善逸の声を担当した下野紘さんの名演も大きく寄与したのではないでしょうか。

『幽☆遊☆白書』の飛影と蔵馬

 90年代ジャンプ黄金期を支えた人気マンガ『幽☆遊☆白書』の飛影と蔵馬の人気は、凄まじいものがありました。同作をきっかけにジャンプに女性読者が増えたともいわれており、その台風の目となったのがこのふたりです。

 それぞれ単行本7巻、12巻に収録されている2回の人気投票では飛影が連続1位、蔵馬は1回目が主人公・幽助に次ぐ3位で、2回目で幽助を退けて2位に輝いています。もとは高名な魔界の盗賊で、クールな性格に圧倒的戦闘力を持ちながら見た目はかわいらしい子供の飛影と、魔界で恐れられた妖狐でありながら圧倒的にビジュアルが美しい蔵馬。ふたりは深い絆で結ばれており、蔵馬が苦戦(なぜか血まみれになることが多い)していると、飛影がフォローするかのように彼を高く評価する発言をする場面もありました。

「飛影派?蔵馬派?」という論争が起きるほどの人気キャラ同士ですが、このふたりの関係性が好きという人も多く、相乗効果で圧倒的人気を獲得した例といえるでしょう。



泥門デビルバッツの司令塔・蛭魔妖一が表紙の『アイシールド21』第7巻(集英社)

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主人公ボーボボの人気が低い?

蛭魔妖一『アイシールド21』

 アメフトを題材にした人気スポーツマンガ『アイシールド21』で、主人公の小早川セナを超える人気となったのが、泥門デビルバッツの創設者にして、要のクオーターバックである蛭魔妖一でした。

 全体的に顔のパーツがとがった悪魔のような見た目で、最初は他の生徒を「脅迫手帳」で脅して無理やり助っ人に呼ぶなど、周囲から恐れられているキャラとして登場します。しかし、話が進むにつれてそのアメフト愛と仲間思いで努力家な一面が描かれ、蛭魔は「裏主人公」のような扱いでどんどん人気になっていきました。

 第1回の人気投票では1位セナとわずか27票差の2位につけ、その後の第2回、第3回では圧倒的1位に輝いています。トップ選手には届かない身体能力を頭脳で補い、チームを鼓舞して戦いつつ、ギャグパートでも大暴れ。おまけに小学生時代の過去編や、出生の秘密に迫る描写、ケガをして離脱する際の絶望感あふれる演出などが描かれており、読者からの人気以上に、原作者・稲垣理一郎先生のお気に入りぶりもうかがえるキャラでした。

首領パッチ『ボボボーボ・ボーボボ』

 圧倒的シュールギャグのつるべ打ちで伝説となっているマンガ『ボボボーボ・ボーボボ』では、続編の『真説 ボボボーボ・ボーボボ』も含めて計4回の人気投票が行われています。そのいずれでも1位に輝いたのが、金平糖のような謎の生物にして作中屈指のハジケリスト、首領パッチです。

 主人公ボーボボと対等に戦えるキャラで、潜在能力では上回っていると思われる描写が多々ありました。基本的にずっとボケ担当で、特定の「真拳」を持たないために攻撃のバリエーションも予測不可能、トレードマークのトゲもさまざまな用途で使われるなど、徹底的に目立ちまくっていたので納得の1位です。自分の過去に対して怒ると変身できる「怒んパッチ」も人気でした。

 そんな首領パッチの圧倒的人気よりも悪目立ちしていたのが、ボーボボの人気の振るわなさで、3位→4位→6位→3位と2位以内にすら入れずに終わっています。しかし、連載3回目の奥義3「ハジケ祭り」では「ランクインキャラが全員ボボボーボ・ボーボボ」という自由過ぎる人気投票風ネタが掲載されており、そこでは当然ボーボボが1位でした。