村を救いたいナミの想いを踏みにじる

 尾田栄一郎先生の国民的人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』。コミックスは100巻を超え、テレビアニメはついに1000話に到達するなど、ますます盛り上がりを見せています。

【動画】ナミを苦しめた悪、アーロンの敗北シーン

 そんな『ワンピース』には主人公のモンキー・D・ルフィが船長を務める「麦わら海賊団」をはじめ、個性豊かなキャラクターが多く登場し、高い人気を集めています。そして、対立する海賊や海軍のキャラクターまで、いつのまにかファンになってしまうくらい魅力的に描かれているところも特徴的です。

 一方で、どうしても許すことのできない敵キャラも多々登場してきました。この記事では、そんな絶対的悪役3人を、最低すぎるエピソードとあわせて紹介します。

ナミとの約束を軽々と破ったアーロン



アーロン一味が表紙に描かれる『ONE PIECE』第10巻(集英社)

 まずは「麦わら海賊団」の航海師・ナミの人生に大きな影響を与えた絶対的悪役で、「東の海(イーストブルー)最強」の呼び声高い、魚人海賊団船長のアーロンを紹介します。

 アーロンはコミックス第8巻から第11巻で描かれた、ナミの故郷・ココヤシ村でのエピソードに登場しました。さかのぼること8年前、幼いナミは血のつながりのない育て親のベルメールと姉のノジコと楽しく暮らしていましたが、突如アーロン一味が村へやってきてイーストブルーを支配する拠点、アーロンパークを構えます。

 そして、紆余曲折を経てアーロンはベルメールを銃殺し、村人を襲い始めるのです。これ以上犠牲者を出したくなかったナミは、アーロンから1億ベリーで村を買う約束をし、アーロン一味の一員として海図を描いて生きる道を選びます。左腕にアーロン一味の証となるタトゥーまで入れてしまいました。

 その後、海賊専門の泥棒として、はたまた「麦わら海賊団」の航海師としてお金を貯め続け、ココヤシ村に隠していた貯金が1億ベリーまであと700万ベリーまできたところで、アーロンと結託する海軍大佐・ネズミにその貯金を没収されてしまうのです。

 1億ベリーで村を買う約束を信じて、命の危険を冒しながらお金を貯めてきたナミですが「ナミほど優れた測量士をミスミス逃す手があるか」とアーロンに裏切られてしまいました。

 そんな、ナミの育て親を殺し約束を裏切った極悪人、アーロンを倒そうとルフィ、ゾロ、ウソップ、サンジがアーロンパークへ乗り込むシーンはカッコよくて鳥肌モノ。見事一味を壊滅させたシーンには、胸がスカッとします。

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心優しきヤブ医者をだました、最低最悪な国王とは?

チョッパーの恩師を罠にはめたワポル



「最低の国王」ワポルが表紙に描かれる『ONE PIECE』第17巻(集英社)

「麦わら海賊団」の船医を務める人気キャラ・チョッパーと深い因縁のある、絶対的悪役・ワポル。毎日雪が降るドラム王国で、悪政を働いていた最低最悪の国王です。

 チョッパーは、悪魔の実「ヒトヒトの実」を食べたことで人語をしゃべるようになり、群れから追われたところを、心優しきヤブ医者のドクター・ヒルルクに助けられます。チョッパーは彼に名前と帽子を与えられ、医学や生きる喜びを教えてもらい、楽しい日々を過ごしていました。

 そんなとき、国内の医師を城に囲い込み、支配力を強めようとしていたワポルは、勝手に患者を治療して回るヒルルクの命を狙います。なんと、「城内の医師が病気で全滅」といううわさを流し、ヒルルクをおびき出すのです。

 そして、ヒルルクは医師たちを助けようとワポルの待つ城へいき、罠だと分かった後に銃を持つ兵に囲まれ自害します。その死の間際にヒルルクは「もうすぐここにバケモノがやってくる。俺の息子だ。手を出すな」「まったく! いい人生だった!」など数々の名言を残しますが、部下のドルトンが泣いている一方で、ワポルは何にも響いた様子もなく、爆笑していました。

 その後も、黒ひげ海賊団に襲撃された際には国を捨てて逃げ出すなど、終始「許せない」最低なキャラクターでした。

エースを殺したサカズキ(赤犬)



行き過ぎた「正義」を掲げる赤犬が表紙に描かれた『ONE PIECE』第58巻(集英社)

 最後は背中に「正義」を掲げる海軍から、元大将で現元帥の「赤犬」ことサカズキを紹介します。彼を「許せない」と感じている『ワンピース』ファンは多いのではないでしょうか。

 なんといってもサカズキは、マリンフォード頂上戦争で、ルフィの兄・エースを殺害しています。極論ですが、サカズキさえいなければ、エースは生きていたはずなのです。

 ほかにも、「最強」の海賊白ひげに致命傷を与えたことや、「正しくもない兵は海軍にゃいらん」とルフィの友達であるコビーも殺そうとしたことなど、挙げたらキリがないほど印象が悪いキャラクター。海軍のトップとして言っていることは間違いなく正論ですが、やりすぎなのです。

 また、筆者の脳裏に焼き付いているサカズキの「許せない」シーンは、ニコ・ロビンの故郷で、考古学の聖地「オハラ」での「バスターコール」の場面です。海軍の砲撃により島は焼き尽くされ、学者ではない島民たちは避難船で逃げ出すのですが、当時中将だったサカズキは「やるんなら徹底的にだ!」と、その船まで攻撃して沈めてしまうのです。

「罪のない人々までなんて奴だ……」と思ったものの、避難船に乗っていたのは悪魔の実の能力者とはいえ子供だったニコ・ロビンを冷遇し、「バケモノ」や「妖怪」呼ばわりしていた人びとだっただけに、この正義の鉄槌に関しては、サカズキに賛同するファンも少なくないようです。

 今回取り上げた3人以外にも、黒ひげや黒炭オロチ、ヴィンスモーク・ジャッジなど、まだまだ紹介したい絶対的悪役はたくさんいます。

 皆さんの心に残っている『ワンピース』の許せないキャラクターは誰ですか?