不死川実弥が表紙に描かれる 著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第17巻(集英社)

【画像】柱になる前の不死川実弥を知るエピソード

ギャップ萌えで女性人気の高い不死川実弥

『鬼滅の刃』の風柱・不死川実弥は、その傷だらけの見た目どおり気性は荒々しく好戦的で、鬼に対して人一倍強い憎悪を抱いています。それと同時に、大切に思っている人を守るためであれば、自分が矢面に立って、命すら投げ出し、すべてを背負いこむ覚悟と優しさも持ち合わせています。さらに、こっそり甘党であるなど、実弥の二面性やギャップにシンパシーを感じる人は多く、女性人気も高いようです。

 この記事では、実弥のギャップにハートをわしづかみにされてしまう、ときめきシーンを5つご紹介します。

※この記事には、まだアニメ化されていないシーンについての記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

狂気を帯びた登場シーンの印象が変わる

 風柱・不死川実弥の初登場は衝撃的です。目をぎらつかせ、傷だらけの顔と体を見せつけながら柱合裁判の場に現れた実弥の手には、禰豆子の入っている箱がありました。そんな実弥を見て恋柱・甘露寺蜜璃は、「不死川さん、また傷が増えて素敵だわ」とキュンとしますが、それは蜜璃ならではのとても珍しい感性です。多くの人は、この実弥の姿に狂気じみたものを感じたのではないでしょうか?

 その狂気を証明するかのように、実弥は突然、日輪刀を抜くと、箱ごと禰豆子を刺したのです。それを炭治郎が許すはずがありません。実弥に襲い掛かり、頭突きをさく裂させました。あわや大乱闘……というところ、お館様・産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)の登場で一応、場は鎮まりましたが、鬼である禰豆子のことと彼女を連れた炭治郎のことを容認して欲しいというお館様の言葉に、実弥は血を流すほど歯を喰いしばって異を唱えるのです。そして、実弥は禰豆子が人を襲う鬼であることを証明しようとします……。

 この時にはまだ明かされていませんが、実弥は弟たちを守るため鬼化した母を自らの手で殺した過去があります。働き者だった母は、父親の暴力から身をていして子供たちを守る強く優しい人でもありました。ところが鬼化した母は、自分の子供を手にかけ、7人のうち実弥と玄弥以外の5人を殺したのです。強く、優しかった母ですら、そんな残酷な鬼になり果てたのを見ている実弥は、禰豆子が人を襲わないと言われても、にわかには信じられるはずもありません。また仮にそうだったとしても、弟や妹を殺し、自分に母を殺させた鬼の存在を許せなかったのです。そんな彼の過去を知ってから、お館様の前で血を流すほど歯を喰いしばりながら異を唱える実弥の姿を見返すと、ただの猛々しい怖い人という印象が変わります。

作品内最高峰のギャップ萌えシーン!?

 鬼の始祖・鬼舞辻無惨との最終決戦を前に、鬼殺隊では各柱に稽古をつけてもらう「柱稽古」が行われていました。水柱・冨岡義勇のもとを訪ねた炭治郎は、義勇と不死川実弥の打ち合いを見て、ふたりがケンカしているのだと思い慌てます。(実際には、柱稽古の一環として、柱同士も手合わせをして技を高め合っていたのです)

 そしてあろうことか、炭治郎は「おはぎの取り合いですか?」と言い出すと、「不死川さんちで稽古をつけてもらっていた時、ずっとほのかに餅米とあんこの匂いしてたし」と、バラしてしまうのです。

 武闘派の実弥がどんな顔をしておはぎを食べているのか、作品中では見ることができませんが、想像、妄想は膨らみ、作品内で最高峰ともいえるギャップ萌えシーンになっています。



実弥を含め、個性派ぞろいの鬼殺隊の柱たち『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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涙を誘う、実弥の二面性

大切な人との出会い・匡近

 実弥は、お館様が柱合裁判の場に登場した際には、丁寧なあいさつを述べ、炭治郎と禰豆子についての説明を求めています。発する言葉は、その風貌に似合わず、非常に丁寧でしっかりしており、それを聞いた炭治郎が「知性も理性も全く無さそうだったのに すごいきちんと喋り出したぞ」と驚くほどでした。年齢の差もありますが、柱相手でも「KY発言」の多い炭治郎よりは、よっぽど礼節をわきまえている印象です。

 しかし実弥は、初めからお館様に対して、敬う態度を取っていたわけではありません。そこに至るには、実弥が出会った、ひとりの青年の存在がありました。

 母を殺してしまった後、日輪刀も持たず、自力で鬼と戦っていた実弥は、粂野匡近(くめの・まさちか)という鬼殺隊士と出会います。匡近に育手を紹介してもらい、その後、ともに当時の下弦の壱を倒したのです。しかし、匡近はその戦いで命を落としたため、実弥だけが柱になりましたが、初めて参加した柱合会議で、「いい御身分だなァ おい テメェ 産屋敷様よォ」と毒づき、悪態をつく始末。他の柱たちがとがめても構わない実弥でしたが、お館様の言葉に優しかった母を思い出し、渡された匡近の遺書の「大切な人が笑顔で天寿を全うするその日まで幸せに暮らせるよう 決してその命が理不尽に脅かされることがないよう願う」という文を読んで、自分の大切な弟・玄弥を思い出していました。

立ち尽くし、目に涙をためる実弥の姿は、粗暴な態度の裏にある彼の純粋さを思わせ、読者の胸を熱くさせます……。 

大切な弟・玄弥

 産屋敷邸に現れ、お館様の命を奪った無惨に、実弥は怒りをあらわに、「テメェかァアア お館様にィイ 何しやがったァアー!!!」と、狂犬ぶり最大出力で叫びます。その後、鬼殺隊士たちが移された無限城で実弥が登場するのは弟・玄弥が上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)に殺されようとしているピンチの時でした。

 それまで、徹底的に玄弥に冷たく接し、自分に弟はいないと言い続けていた実弥でしたが、それは、危険のない一般社会で妻や子に囲まれて幸せに暮らして欲しいと願う愛情の裏返しだったのです。玄弥が鬼喰いまでしていることを知るや、ためらいなく目をつぶして再起不能にしようとするといった容赦ない対応だったのも、愛情ゆえのこと。そんな実弥が、「…テメェは本当にどうしようもねぇ弟だぜぇ」と弟をかばう姿には、優しさと強さ、そして悲しみも感じられ、いい男ぶりにゾクゾクします。

 原作マンガで読んでいると、この後に第167話の扉が来るのですが、これは反則的に、すさまじくハートをわしづかみにしてきます。薄く微笑みながら、野良であろう犬に自分の食事を分け与えてやっている実弥の姿が描かれており、何度見ても、ほっこりしつつ、鼻の奥がツーンとしてしまいます。

 上弦の壱との戦いで意識を失ってなお戦い続けた実弥が正気を取り戻した時、信じがたい光景を目にすることになります。絶命寸前の弟、玄弥に「大丈夫だ 何とかしてやる 兄ちゃんがどうにかしてやる」と、「兄ちゃん」として向き合う実弥。やっと兄弟が素直な思いを伝え合えたのが死の直前とは悲しすぎます。実弥の手から、また大切な人の命が零れ落ちていってしまいました。

すべてが終わって…

 無惨との戦いが終わり、蝶屋敷で禰豆子とバッタリ出会った実弥は、思春期の少年のように目を逸らし、言葉をにごしますが、屈託のない禰豆子明るさと笑顔についに心を開きます。そして、禰豆子の言葉に弟・玄弥を思い出し、禰豆子の頭をなでるのでした。

 ちょっとすねたような謝り方も、寂しさと愛おしさを含む禰豆子を見る目も、傷を負った大きな手も、すべてがキュンキュンポイントになっています。

 死にかけた実弥があの世の手前で自分が手にかけた母親に出会い、「お袋 背負って地獄を歩くよ」と笑顔で母の手を取るシーンや、最後の最後の戦いの時に「スウ スウ」寝ている姿もグッときますね。あなたの心に残る実弥のギャップ萌えはどんなシーンですか?

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記