TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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「遊郭」の世界は「鬼殺隊」より大変?

 多くのファンが放送を待ちわびているTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』。男と女の愛憎渦巻く夜の街・吉原の遊郭に、主人公・竈門炭治郎たちが潜入捜査するお話です。そのなかでは遊郭での階級など、いろいろな用語も登場します。今回は“これを知っておけば遊郭編をもっと楽しめる!”かもしれないアレコレをご紹介します。

※本記事は未アニメ化のネタバレを含みます。

「遊郭」は厳しい出世競争

 吉原の遊郭に潜入捜査をすることになった炭治郎たち。宇髄天元からは、遊女として先に潜入捜査をさせていた自分の3人の妻……雛鶴・まきを・須磨に会って情報を聞き出せと言われます。

 しかし、宇随の適当な女装メイクをされた炭治郎たちでは雇ってもらうだけでも大苦戦。それもそのはず、当時の吉原は1000人以上が働くほど栄えていた激戦区。遊女の階級も多くあり……容姿、教養、人気などによって「太夫」「格子」「端女郎」などに分かれていたそうです。そして一番位の高い「太夫」が後に「花魁」と呼ばれ、人々から憧れの存在として見られるようになったそうです。

「花魁」にもなると、ほかの遊女が身の回りの世話をしてくれるようになり、彼女たちと一緒に歩く様子は「花魁道中」として、多くの人が一目見ようと集まりました。客は会うことだけでも大変で、2回目までは口も利けず、3回目にしてようやく“ちゃんとした客”という扱いになるとのこと。常連になるには、城(国)が傾くほどのお金がかかると言われています。

 ただし、最高ステータスとも言える「花魁」となっても、さらに「呼び出し」「昼三」「付廻し」などの階級に分かれていたそうで、とにかく遊郭の世界でのし上がるのがいかに大変かということがわかります。本編では宇随の妻である須磨は周りから“須磨花魁”と呼ばれているのですが、潜入捜査で「花魁」まで出世できるのは、いくらくノ一とはいえ、かなりすごいことだと言えます。須磨は自分のことを戦いが苦手な“味噌っかす”と言うシーンがあるのですが、出世能力で言えば、実は柱の夫(宇随)よりもすごいかもしれません。



善逸が“芸者”として覚醒、著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第9巻(集英社)

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「芸者」として天下を取れたかもしれない我妻善逸

 真面目な炭治郎や、実は美男子な伊之助が潜入に成功するなか、宇随の適当女装メイクのせいもあり、店に雇われずに苦戦していた善逸も、宇随のゴリ押しによってなんとか店に雇ってもらえます。そこで善逸は持ち前の耳の良さを活かして演奏の才能を開花。一度音を聞いたら三味線でも琴でも何でも弾けてしまうほどのセンスを見せつけ、ベテランの遊女から「あの子はのし上がるね」と評されます。

「遊女」と「芸者」は違う?

「芸者」として才能の片鱗を見せた善逸。吉原では、「遊女(花魁)」を迎えるとき、「芸者」を呼んでお座敷を盛り上げ、客をもてなすのが通例だったそうで……客の相手をする「遊女」と、芸を売る「芸者」は別の職として分かれていたそうです。特に三味線の奏者は、音楽機器もなかった当時では、すぐにその場を盛り上げられる貴重な存在だったとのこと。

 遊郭編では幸いにも比較的早く鬼を見つけるのに成功しますが、この潜入捜査が長く続くようであったならば、最後は善逸が一番出世していたかもしれません。

 ちなみに「遊女」か「芸者」かを一目で見分けられるように、服装などを変えるルールもあったそうです。例えば「遊女」は帯の結び目が前側で、「芸者」は帯を背面に回して垂らした状態とのこと。確かにマンガ版『鬼滅の刃』を読むと、「遊女(花魁)」の帯の結び目は前になっており、時折、帯の結び目が後ろに垂らした状態の女の子たちも描かれています。

 ただ、この点で言うと善逸の帯は前で結ばれているので、本人としては、あくまでも「遊女」として生きていくという固い決意があったのかもしれません。

善逸は女装しなくても良かった?

 最後に……「芸者」はもともと男性がやっていたという話もあります。そして現代でも男性の芸者は存在しているとのこと。つまり善逸の三味線の腕前があれば、そもそも女装する必要はなかったかもしれません。

 華やかさと厳しさが混在する遊郭。女性たちの着物や花魁道中のシーンなどがアニメでどのように描かれるのかにも、注目しても面白いかもしれません。