オービスは「何キロ」で光る? 必ず「赤く光る」の? 数々の気になるウワサ、真相は?

全国各地に点在する「速度違反自動取締装置(通称:オービス)」では、どのように取り締まりがおこなわれているのでしょうか。

取り締まりの検挙状況はどんな感じ?

 速度違反を取り締まる通称オービスに関しては、「時速○km以上で反応する」「必ず赤く光る」といったウワサが聞かれます。
 
 では実際のところ、どのように取り締まりがおこなわれているのでしょうか。

 日々、全国のあらゆる場所で交通違反の取り締まりが実施されています。

 警察庁の統計によると、2022年中、交通違反は614万1535件検挙され、1日当たり約1万6800件もの取り締まりがおこなわれている計算です。

 なお、検挙件数は多い順に「指定場所一時不停止等違反」の146万6131件、「最高速度違反」の93万2260件、「放置違反金納付命令件数」(駐車違反関係)の69万8533件でした。

 その中でも、最高速度違反に関しては警察官による取り締まりに加え、速度違反自動取締装置(通称:オービス)を利用して取り締まりをおこなうのが特徴です。

 このオービスについて、巷では「一般道路なら制限速度+時速30km、高速道路なら+時速40km以上で反応する」や「速度違反のクルマが通過すると必ず赤く光る」といったウワサが聞かれます。では、実際のところはどうなのでしょうか。

 そもそもオービスとは、一定の速度以上で走る車両を速度違反車両として検知し、自動で写真撮影・記録化する装置のことをいい、基本的に「固定式」と「移動式(可搬式)」に分類されます。

 固定式オービスはその名称のとおり、交通事故の多発している高速道路や国道などの上部にカメラやストロボを固定するタイプのものであり、設置場所が変わらないことから運転中に発見しやすいといえます。

 一方、移動式オービスは箱状の装置の下に三脚が付いたタイプのものが一般的で、部品を分解できるため簡単に持ち運べます。

 その特性を活かし、現在はこれまでに取り締まりが難しかった狭い通学路や生活道路などで多く使用されるようになっています。

 実は、これらのオービスが「時速何km以上」の速度超過で反応するかについては明確に公表されていません。

 過去には警察に対し、速度違反の取り締まり方法について情報開示請求が度々行われてきましたが、具体的な方法についてはいずれも非開示となっています。

 その理由としては、いつ、どこで、どのように取り締まりが実施されるか明らかになると「時速○km以上のスピードなら出しても良い」といった誤った認識が広まるおそれや、適正な取り締まりに支障が出る可能性があるためです。

 とはいえ、警察庁が公表している資料から検挙されやすい速度はある程度推測できます。

 たとえば警察庁の統計資料「道路交通法違反の取締り状況」では、速度別の検挙件数が明らかにされています。

 具体的には、速度超過が「時速50km以上」では1万2396件、「時速30km以上50km未満」は12万7370件。

「時速25km以上30km未満」は19万2311件、「時速20km以上25km未満」は31万7498件。

「時速15km以上20km未満」は28万2555件、「時速15km未満」は130件でした。

「時速15km以上時速50km未満」の検挙件数は比較的多いのに対し「時速15km未満」は検挙件数全体の0.002%程度と、ほとんど取り締まりが行われていない状況がうかがえます。

 この統計は覆面パトカーや白バイなど警察官による取り締まりと、オービスによる取り締まりを合わせた検挙件数ではあるものの、取り締まり傾向の目安になるといえるでしょう。

 またSNS上では、一般道路において「20数キロオーバーで移動式オービスに捕まった」という実体験が寄せられています。

 その他、動画配信サイトにおいても有料道路で時速30km以上の速度違反車両が移動式オービスによって検挙される様子が投稿されています。

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赤く光る…そのウワサは本当?

 さらに「必ず赤く光る」というウワサでは、オービスの発光は赤色が主流であるものの、機種によっては白色に光るタイプも存在します。

 ストロボが赤色に発光するタイプは白黒写真、白色はカラー写真を撮影できるという違いがあります。

 オービスは違反車両の車種やナンバー、運転手の表情などを撮影しますが、カラーであればより鮮明な写真が撮影できます。

 運転手が違反を否認することは、これまで以上に難しくなるといえるでしょう。

※ ※ ※

 オービスがどの程度の速度超過で反応するかは明らかにされていません。

 しかし、移動式オービスについては通学路や生活道路などで多く活用されることもあり、比較的厳しい取り締まりがおこなわれている状況がみられます。

 事故を防止するためにも、運転中のスピードには十分留意しましょう。