軽ホットハッチの頂点に立ったアルトワークスの初代モデル

スズキ アルトワークス RS-R(初代4WDターボ)

8代目アルトで復活した時は、「MTに乗ろう」と呼びかけるCMで話題となったものの、その後は特徴を活かしたイベント開催やテコ入れが続かず尻すぼみ、2021年にアルトが9代目へとモデルチェンジした際に再び廃止された、スズキの軽ホットハッチ、アルトワークス。

1987年の初代登場時は軽自動車初のDOHCターボ車として、さらに軽自動車の64馬力自主規制を生む原点となった、当時のライバルとはケタ違いの動力性能を誇り、1998年の新規格以降で大きく重くなった軽スポーツ市場が冷え込むまで、人気車種であり続けました。

今回は2代目アルトのモデル末期、1987年2月に派生車としてデビューし、販売期間は短かったものの鮮烈な印象を残した、初代アルトワークスを紹介します。

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「アルト47万円」の衝撃から、軽ボンバンは豪華高性能志向へ

初代アルトワークスRS-X/RS-Rで特徴の1つ、専用エアロバンパーと大型フォグランプ

1979年、厳しい排ガス規制やオイルショックの影響を受けた省エネ・環境対策と、パワーダウンを補う360ccから550ccへの排気量上限緩和によって、コンパクトカーとの価格差が埋まってしまい、すっかり冷え込んでいた軽自動車市場へ救世主が現れます。

軽自動車の定員は4名まで許されるとはいえ、実際には1~2名乗車がメイン、それなら後席は補助的なものにしたぶん荷室を広げ、税金が安い軽商用車登録(4ナンバー)としたうえで簡素化も徹底、47万円という格安で売り出した、初代スズキ アルトです。

従来から存在した軽ボンネットバンと異なり、軽商用車登録でも貨物車ではなく、実質的に「安い軽乗用車」だった初代アルトは大ヒットとなり、ライバル各社も追従。

そうなると今度は、「安いベース車に対し、どれだけ付加価値をつけて魅力ある商品にするか」という勝負になり、豊富なオプション、最初から豪華装備の上級グレードに加え、4WDやターボといった当時の最新技術を注ぎ込む、デラックス路線が始まります。

最初は安さで売れても、結局は「コストパフォーマンス重視のお買い得仕様が好まれる」のは必然でしたが、軽ボンバンブームの立て役者だったスズキは初代アルトに4WDを設定する程度で、デラックス路線からは少々距離を取りました。

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