自動車メーカーが販売するクルマは、メーカーである以上は基本的に自社生産なのが建前ですが、そうではないケースも多々あり、クルマに詳しくないなら、どっちが本家ともわからず「ウチのと似たクルマが違うマークで走ってる」と思う人もいるかもしれません。

そうなる理由は売りたい車種を新開発するノウハウや余力がない、開発しても生産工場のアテがない、貿易摩擦で矢面に立たされ、売りたくもないクルマを売らされた…などさまざまな理由があります。

今回は、さまざまな理由から国内メーカーブランドで販売された、海外メーカー車を紹介しましょう。

ホンダ クロスロード(初代・1993年)

ランドローバー ディスカバリー(初代)OEM

ホンダ クロスロード(初代)

イギリスの自動車メーカー、ローバーグループがまだ純然たるイギリス資本で存続しており、特に日本のホンダとは提携関係も良好で、いずれ両社は合併するとすら思われていた頃に、グループ傘下のSUVメーカー、ランドローバーから供給されたのがディスカバリー。

初代CR-V(1995年)登場前のホンダは自社製SUVがなく、ミニバンもようやく初代オデッセイが立ち上がろうという頃でしたからRVブームへ完全に乗り遅れていました。

そこで提携相手からOEMを受け入れ、いすゞからのホライゾン(ビッグホーンOEM)、ジャズ(ミューOEM)に続き導入され、フラッグシップのレンジローバーほどではないものの、3.9リッターV8エンジンを搭載し、当時としては充分に国内最大級のSUVです。

ただし、それまでのホンダ車より大きすぎて取り扱いが困難なディーラーも多く、輸入もあくまでCR-Vなど自社製SUV登場までの短期間だけでした。

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トヨタ キャバリエ(1996年)

シボレー キャバリエ(3代目)OEM

トヨタ キャバリエ 4ドアセダン

当時既日本最大の自動車メーカーとして、北米に輸出して売りまくった結果、日米貿易摩擦で槍玉に上がり現地工場の建設やGMと提携せざるをえなくなり、さらに「シボレー」ブランドで売っていた大衆車を、トヨタ車として日本で売るようにと半ば強制されたクルマ。

セプターやアバロンのように、「北米で生産したトヨタ車」ならともかく、GM基準で開発・生産したクルマなのでトヨタが求める品質には全く届いておらず。

どうにか品質基準を引き上げ、CMに所ジョージを起用するなどイメージアップを図り、それでもダメならと2.4Lエンジンを積むセダン/クーペとは思えないほどの特価で販売したものの、全く鳴かず飛ばず。

セダンもクーペも売れなくなっていた時代にワゴンがなかったのも致命的で、ただひたすらトヨタが苦労させられるだけのクルマだったといえます。