キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容はDRIMOからの引用・参照です
アルトピアーノは、トヨタタウンエースバンをベース車に使ったコンパクトなキャンピングカーです。
納車から1か月ほどが経過する中で時々聞かれるのは、どうしてキャンピングカーとしてはあまりメジャーな存在ではないアルトピアーノを選んだのかということです。
質問の意図を確かめると、「キャンピングカーって大きなシェルを積んでいて、車内でも立って歩けてシャワーやトイレなどを装備しているのではないの?」と、いわゆるモーターホームのイメージを持っている方が多いのですね。
確かにそういうイメージからすると、アルトピアーノは外見からは全くキャンピングカーには見えませんし、特別アピールポイントがある訳ではないので、「なぜ選んだ?」という事になるようです。
今回は、そんな「なぜアルトピアーノなのか」という疑問に対して、「自分的アルトピアーノの魅力」をお伝えできればと思います。
必要な装備・機能がコンパクトなボディに詰まっている
筆者にとってのキャンピングカーで重視する要素を挙げると以下の3点に集約されます。
(1) 大人2名がゆっくり足を伸ばして眠れるベッドスペース
(2) 「外メシ」をするために必要な調理器具や食器、タープや椅子・テーブルなどを運ぶ運搬能力
(3) キャンプを楽チンにする家電を使う事ができるサブバッテリーシステム、外部電源入力
使いもしない仕様や装備を備えていても無意味ですし、使わない装備にコストをかけるのも馬鹿らしいので、自分にとって必要な機能を絞り込んだ結果、この3点が重要だと気付きました。
キッチンや収納、FFヒーターなどのキャンピングカーらしい装備は何一つありませんが、筆者のキャンプスタイルにとっては、この3つさえ備えていてくれれば十分なのです。
簡単に言ってしまえば、アルトピアーノは「寝床」「道具」「電源」を運んでいるクルマと言う事になりそうです。
小さなボディなのに大人2人が手足を伸ばして寝られるREVOシート
最初にちょっと数字で驚かせてみようかと思います。
全長4,050mm×全幅1,695mm×全高1,455mm
この数値、何の大きさを表していると思いますか?ヒントは「クルマ」です。人気車の1つです。
全長4,050mmってかなりコンパクトな印象ですが、実はこの数値は「トヨタ・アクア」のボディサイズです。ちなみに、マツダのコンパクトカー「MAZDA2」では、全長4,065mm、全幅1,695mmとなっています。
全長4,040mm×全幅1,660mm×全高1,890mm
こちらは、アルトピアーノの車検証に記載されたボディサイズで、タウンエースの大きさも同じです。
そう、実はアルトピアーノは非常にコンパクトな印象のアクアやMAZDA2よりも小さいんです。
アクアやMAZDA2で車中泊をしようと思うと、スペース的にかなり厳しい事が想像できますが、アルトピアーノはこれらのコンパクトカーと同等の大きさながらREVOシートを展開する事で大人2名の就寝が可能なフルフラットなベッドを搭載しています。
手足を伸ばしてベッドに寝転んで、ふと目を開けると、木漏れ日や季節の花がウィンドウごしに見えたり、開け放したドアを吹き抜ける風を感じたりすると、「このクルマを買ってよかったなあ…」と感じます。
調理器具や食器、タープや寝袋、椅子・テーブルなどを運ぶ運搬能力
筆者のキャンプの食事は可能な限り「外メシ」です。
BBQコンロを真ん中に据えて、炉端焼きのように肉や野菜を焼いて、ガスやアルコールのバーナーを補助的に使ってご飯を炊いたり、スープを作ったりカレーを煮込んでおいたり…といったスタイルです。
「臭い」や「煙り」「油汚れ」等が嫌だという理由もあって、キャンピングカー車内での調理はお湯を沸かしてコーヒーを淹れたり、購入した弁当などを電子レンジでチンして食べる程度です。
そうなると、筆者にとってのキャンピングカーにはシンクやガスレンジなどのキッチン装備は必要ありませんし、車内で立てる車高も必要ありませんが、一方では「外メシ」を楽しむための、タープやテント、椅子・テーブル、調理器具・食器、炭や着火剤等、道具や消耗品などの大量の荷物を運搬する能力が重要です。
その点、アルトピアーノは元々が荷物を積むための商用バンをベース車にしているので、遠慮なくキャンプ道具を満載して出かける事ができるのです。荷物の積み下ろしで多少ぶつけても高級車ではないのでとても気が楽なんです。
ちなみに、バックモニターを装備しているので、上の写真のように荷物を積み上げてしまっても後方視界と後退時視界については問題ありません。
キャンプを楽チンにする家電が使えるサブバッテリーシステム
キャンプは不便で手間がかかるもの…、そうは思っていませんか?
筆者のキャンプスタイルは「外メシ」が基本だというのは確かですが、一方では、電子レンジや電気ケトル、IHヒーターなど家電をフル活用して、キャンプを「安楽に」したいとも思っています。
2名就寝ベッド以外にはキャンパーとしての装備は特に必要とは思っていませんが、電装系だけは最大限に強化しておきたいと考え、「100Ahサブバッテリー」に「正弦波1500Wインバーター」を組み込んでいますし、さらに、電源供給が可能な場所では「外部電源」から電力を得られる機能を備えています。
このシステムなら、外部電源なしでも1晩なら充分に電力を供給できますし、外部電源接続時には家電使い放題の「無双状態」となり、筆者の軟弱なキャンプスタイルがますます軟弱化すると言う訳です。
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キャンパーとは分からない普通過ぎる外観が意外に高ポイント
アルトピアーノと言えば、車体の上部が白く、下半分をグリーンやブルー等に塗装したツートンボディをイメージされる方も多いと思いますが、我が家のアルトピアーノはオプションであるツートン塗装をキャンセルしたため「まんま商用バン」です。
街中に止まっていてもどこかの業者さんのクルマにしか見えないので、荷物の上げ下ろしをしているのかな…程度で、特に注目を集める事がなく、何気なくそこに存在し、風景に溶け込んでしまうのが得意です。
この目立たない外見が役立つシーンは多々あります。
例えば道の駅や高速SAなどにアルトピアーノを止め、車内でお茶を飲んだり、地元めしを買ってランチする場合がありますが、止まっているだけで注目されてしまいう大型モーターホームと違って、如何にも商用車然とした白いタウンエースに特別な目を向ける人はまずいません。
これが良いんです。
商用バンの車内で何をしているかなんて誰も気にしないので、人の目を意識せずにかなり自由にふるまう事ができます。我が家のアルトピアーノには、目隠し用のカーテンさえ取り付けていませんが、車内を覗き込まれた事は一度もありません。
あえての「白い商用バン」スタイルがお気に入りです。
ちょっと昭和のレトロを感じさせる愛嬌のある顔つき
現行のタウンエースは、トヨタ傘下のダイハツのインドネシア子会社で生産されている「輸入車」で、最新鋭の車種のようなトップデザインが与えられているクルマではありません。
何の変哲もなくデザイン性も高いとは言えないタウンエースですが、どこかレトロ感があって愛嬌のある顔つきは、昭和生まれの筆者の琴線に触れるものがあります。
このファニーフェイスは少々いかつい顔をしたハイエースにはないタウンエースの特徴と言えます。先日、近所の公園でサクラをバックに写真撮影をしたのですが、なんとも可愛いと思うのですが如何でしょう。
さらにレトロ感があるのはデザインばかりではありません。
動力性能も低めですし、走りも乗り心地も全然良くなくスピードを出すとうるさいので、アルトピアーノに乗ると必然的にゆっくり走る事になり、ゆったりした気分で運転する事にならざるを得ません。
筆者のファーストカーである「MAZDA CX-5」は最新技術を盛り込んだトップモデルです。運転する際にもテキパキ・機敏に動いてくれますのでそれに応えるような運転になりますが、アルトピアーノの場合は「他車に勝つ」などハナから無理な相談なので、他車に抜かれても気になりませんし、遅い車がいても余程でない限り車線を変えても追い抜こうと言う気にもなりません。
高速でも100km/hなんてうるさくて走っていられないので80kmでトロトロ走るのですが、せっかちな筆者でも焦れてイライラすることがないのは不思議です。
アルトピアーノに乗ると、どこかのんびり、おおらかな気持ちで運転できるところも気に入っているポイントです。