「テンロクスポーツ」といえば、1.6リッターの可変バルブ機構付きDOHCエンジン搭載車が、リッター100馬力を超える高回転高出力競争で1990年代日本車黄金期を築きました。

しかし、ターボやスーパーチャージャーといった過給機の「テンロクスポーツ」も負けていません。

自然吸気スポーツエンジン車はレースで活躍しましたが、過給機版はジムカーナやダートトライアルなどで活躍しており、その大トルクにモノを言わせていたのです。

5代目トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノGT-Z(AE92・1987年)

トヨタAE92 カローラレビンGT-Z

ミッドシップのAW11型MR2ともども、スーパーチャージャー版テンロク過給機エンジンの4A-GZEを搭載したのがAE92型カローラレビン/スプリンタートレノ。カローラセダンやカローラFX、スプリンターシエロなどには搭載されない、FFでは専用エンジンでした。

まだ自然吸気20バルブ登場前でしたから、自然吸気版4A-GEより出力、トルクともに上回り、バブル時代の豪華仕様AE101型より軽かったのでモータースポーツでも活躍。

1990年代後半になってホンダ インテグラタイプR(初代)登場後も、ジムカーナでは手練れが操るレビン/トレノGT-Zが、まだ熟成が進まないタイプRを喰うほどの走りを魅せています。

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3代目三菱 ランサーGSR(1988年)

三菱C73A ランサーGSR

テンロク4WDターボの代表格で、先代のFR版(FF版はランサーフィオーレ)ランサーEXターボ、通称”ランタボ”国内仕様が1.8リッターSOHCターボなのに対し、1.6リッターDOHCターボ(145馬力、のちに160馬力)の5ドアセダン。

兄弟車・ミラージュサイボーグターボ(4ドアセダン)ともどもダートトライアルで活躍。1990年代にランエボやインプレッサWRXより1クラス下のランサーGSRで青春を過ごした、というドライバーは少なくありませんでした。

ランエボIIIなどの中古競技車が安く買えるようになると次第に消えていきましたが、定番マシンとして往時を懐かしむユーザーは今でもいるかもしれません。