
image credit:docteur_peyo/Instagram
動物好きな人にとって動物との触れ合いは大きな癒しになる。近年、人の心を癒すセラピーアニマルは犬や猫、牛や馬や豚に鳥など様々な種がいる。
フランス北部には、すぐにでも自分の助けを必要としている人間を察知する不思議な能力を持った馬が存在するそうだ。
元々は競走馬だったその馬は、現在「ドクター・ペヨ」として緩和ケアの病棟で末期の患者を癒し続けている。
助けを必要としている人を察知、不思議な能力を持つ馬のペヨ
ペヨはオスで元競走馬だ。ペヨを飼育しているアセン・ブシャクールさんは、長い間ペヨと一緒に乗馬ショーに参加してきた。
その時から、ペヨはショーの後、いつも観客の中にいる特定の人を選び、近付いて傍に寄り添う仕草を見せていた。
そんなペヨの姿を見たアセンさんは、ペヨは人の感情を察知する不思議な力があるのではと思い始めた。
特に、精神的にも肉体的にも弱っている人にシンパシーを感じるようで、近づいてその人を癒そうとする仕草をみせるのだ。
もしかしたらペヨの一番やりたいことは、自分の助けが必要な人を癒すことなのでは?そう考えたアセンさんは、ペヨがしたいことをさせてあげるため、2016年からフランスの病院や介護施設をペヨと一緒に訪問し始めた。
現在15歳になるペヨは、今ではセラピー馬として「ドクター・ペヨ」と呼ばれ、カレーにある緩和ケア施設で末期の病気に苦しむ患者に癒しを与える日々を送っている。
ペヨが自ら会いたい人を選ぶ
ペヨは、施設や病院を訪問する際には、時間をかけて消毒を行う。そしてペヨはその不思議な能力で、自分を必要としている人の部屋へ自ら出向く。
アセンさんによると、ペヨは癌や腫瘍を持つ人を見分けることができ、これまでペヨは1000人もの末期患者を看取って来たそうだ。
私は、ペヨに人と深く接するよう特別に訓練したわけでもないですし、人に寄り添う行為を求めたことは一度もありません。
でもペヨは、自分を必要としている人を察知でき、人の苦しみを理解できる能力があるようです。訪問先の病院でも、入りたい病室の前で前脚を上げて、「この人に会いたい」と私に伝えてきます。
ペヨが、自らこのライフスタイルを選んだ時、正直受け入れるのに時間がかかりました。競走馬として訓練し育ててきたペヨを諦め、私自身もスポーツマンやショーマンとしてのキャリアに終止符を打たなければなりませんでしたから。
今、私がペヨをコントロールしているわけではありません。ペヨが誰かの心を察知した時、そしてその人に寄り添うことを決めた時、私はただ見守っているだけです。(アセンさん)
更新日:2021年4月7日