霧で前が全然わからない!
天気はゲーム内でいつでも変更可能です。リアルスケールベルリン満喫!森鴎外「舞姫」を訪ねてさて、本作は「1:1のリアルスケールで再現されたドイツの首都・ベルリン」が舞台。具体的にはベルリンほぼ中央部・ミッテ区付近をメインに作られています。ミッテとは「中央」を意味する言葉で、歴史的な建築物と最新の建築物が同居している歴史的な地域です。ミッテ区は、かつて森鴎外がドイツに留学中に住んでいた地区。そのため、現地には「森鴎外記念館」が建てられています。ゲーム内でも記念館は再現されており、建物に大きく「鴎外」と書かれているのが確認できます。森鴎外の代表作「舞姫」をご存知でしょうか。1890年に発表された短編小説で、ドイツに留学した主人公・太田豊太郎と現地の少女エリスとの出会いと別れを中心とした物語が描かれます。本作に登場するのは、森鴎外の留学経験に基づいたベルリンの風景と言われています。こちらは森鴎外の「舞姫」にも登場しているブランデンブルグ門です。胸張り肩聳えたる士官の、まだ維廉一世の街に臨めるまどに倚り玉ふ頃なりければ、様々の色に飾り成したる礼装をなしたる、妍き少女の巴里まねびの粧したる、彼も此も目を驚かさぬはなきに、車道の土瀝青の上を音もせで走るいろいろの馬車、雲に聳ゆる楼閣の少しとぎれたる処には、晴れたる空に夕立の音を聞かせて漲り落つる噴井の水、遠く望めばブランデンブルク門を隔てゝ緑樹枝をさし交はしたる中より、半天に浮び出でたる凱旋塔の神女の像、この許多の景物目睫の間に聚りたれば、始めてこゝに来しものゝ応接に遑なきも宜なり。 青空文庫「舞姫」より引用この後ろには同じく小説内に登場している大通り「ウンテル・デン・リンデン」も存在しています。ここはバスで走れる部分ですね。或る日の夕暮なりしが、余は獣苑を漫歩して、ウンテル、デン、リンデンを過ぎ、我がモンビシユウ街の僑居に帰らんと、クロステル巷の古寺の前に来ぬ。 青空文庫「舞姫」より引用豊太郎のモデルの一人とされている武島務が通っていたフンボルト大学です。後述していますが、一部の像などは再現されず。豊太郎とエリスが出会った古寺(教会)のモデルの可能性が高いとされる場所の聖マリア教会。現在の研究では、ガルニゾン教会(現存せず)の方が有力とも言われます。なお、本作では美術品などの多くが再現されていません。このあたりは権利関係の問題なのでしょう。画像はフリードリヒ大王騎馬像のある場所です。とはいえ、実際の写真と見比べる限り、本作の再現度はかなり高め。ベルリン観光ソフトとしても面白いですね。参考用の実際のベルリンの風景。PDXCON2019の際にGame*Spark編集部で撮影したもの
参考用の実際のベルリンの風景。PDXCON2019の際にGame*Spark編集部で撮影したものここまで紹介してきた『The Bus』。現在プレイ可能なのがフリープレイだけのため、ほぼドライブ専用のゲームです。しかし、作り込まれた街の風景や細かい操作系統で行う"仕事感"は高い満足を得られます。エディット機能については、説明不足とロードの遅さで正直使用しづらい状態。今後わかりやすいチュートリアルが実装されることで、より遊びやすくなることを期待したいところです。本作の早期アクセスはおおよそ一年から一年半の期間を予定。製品版ではバス種類を増やすほか、マルチプレイモードやバス会社運営モードなどを実装予定です。また、Steamワークショップへの対応も行われます。タイトル:The Bus
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2021年3月25日
記事執筆時の著者プレイ時間:7時間
価格:3,000円
「爆速プレイレポ」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、新作タイトルの生の内容を伝えるプレイレポートをお届けします。対象となるタイトルは、執筆時点で発売48時間内の新作、かつAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「読者が気になるだろうゲーム」もしくは「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。性質上、本企画においてはゲームの評価や採点は行いません。ストーリーなどの「ネタバレ」も軽度な内容に留まることが殆どです。また、記事執筆にはデベロッパー/パブリッシャーからプレイレポート用として提供されたゲームソフトが含まれる場合もあります。プレイ時間自体も基本的には短い段階での執筆となります。なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイしています。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。