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信じ込んでいた偽の記憶を嘘だと気が付かせる方法(ドイツ研究)

カラパイア

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 記憶はあまり当てにならないものだ。人はいとも容易く偽の記憶を埋め込まれ、ありもしない出来事を自分の体験だと思い込んでしまう。

 偽りの記憶が、昨晩のおかずといった他愛のないものならば、さして問題はないだろう。だが、これが裁判のような場所では深刻な事態になる恐れがある。

 もし、取調べで偽の記憶が埋め込まれ、それを法廷で証言として用いられてしまったら? これは司法システムの正当性を揺るがしかねない由々しき問題なのである。

 これまでの研究で、人に偽の記憶を植え付けることが容易にできることはわかっている。そして今回の研究では、信じてしまった偽の記憶を嘘だと気が付かせることが可能であることがわかったという。

人はありもしない出来事を簡単に信じ込む


 ドイツ、ハーゲン大学の心理学者アイリーン・オーバースト氏らは、被験者52名(平均23歳)に複数回の面接を行なった。

 研究グループは面接に先立ち、彼らの両親から被験者の過去に関するエピソードを4つほど教えてもらっていた。そのうちの2つは本当にあったことだが、もう2つはいかにもありそうな偽のエピソードを作ってもらった(交通事故にあった、迷子になった、ペットが死んだなど)。

 そして最初の面接で、「ご両親によると、こんなことがあったそうですね」といった具合に質問してみる。

 すると被験者の27~56%(質問の仕方によって異なる)が、ありもしない偽のエピソードを実際に起きたことだと信じ込んでしまったのだ。

 ここまでは過去の研究でも行われてきたことだ。だが今回の研究で画期的なのは、そうやって信じ込んでしまった偽の記憶を偽であると気づかせることに成功している点だ。

偽の記憶を信じ込んでしまう
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植え付けた偽の記憶が誤りであることに気が付かせる方法


 その記憶が偽であることを気が付かせるために使用された方法は以下の2つである。

 1つは「情報源の鋭敏化(source sensitization)」という方法だ。これは被験者に記憶は必ずしも自分自身の経験ではなく、たとえば写真を見たなど、何か外部の情報源に基づくものである可能性があると注意をうながすやり方だ。

 もう1つは「虚偽記憶の鋭敏化(false memory sensitization)」。こちらでは、被験者に対して、インタビュアーが意図的に偽の記憶を作り出そうとしている可能性があることに注意を促す。

 すると、どちらの方法も効果を発揮し、面接を繰り返すうちに、虚偽記憶を信じた人たちの人数が最初の面接のときと同じくらいまで減ったのだ。

 3週間後の面接では、虚偽記憶を信じ込んでいる被験者は15~20%にまで減り、1年後の面接では5%だけだった(ただし、後者の場合は被験者が両親と会話するチャンスがあったからである可能性が高い)。

 被験者は、その出来事が実際に起きたことではない、あるいはその出来事についての記憶がないことを、きちんと認識していたとのことだ。

偽の記憶を信じていても嘘だと気が付かせる方法がある
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その記憶は本物か?


 このような実験を知ると、人は普段の生活の中でも勝手に記憶を改ざんし、偽の記憶を本物だと信じている場合が結構多いことに気が付く。

 改めて思い返してみよう。あなたが大切にしているその記憶は本当にあったことだろうか? よくよく考えてみてほしい。もしかしたらその記憶は、過去についた嘘や誰かから聞いた話を自分の体験と思い込んでいるだけかもしれない。

 この研究は 『PNAS』(3月30日付)に掲載された。

References:inverse / academictimes/ written by hiroching / edited by parumo

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