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世界最大の辞典「オックスフォード英語大辞典」は、どのようにして生まれたのか?

キネマ旬報WEB

世界最大の辞典「オックスフォード英語大辞典」は、どのようにして生まれたのか?

天才学者×哀しき殺人犯が世紀のプロジェクトに挑む、驚きの実話を映像化した『博士と狂人』

41万語以上の収録語数を誇る世界最大の辞典「オックスフォード英語大辞典」は、どのようにして生まれたのか? その誕生秘話に迫ったノンフィクション小説に惚れ込んだ名優メル・ギブソンが、20年以上の歳月をかけて待望の映画化を実現させた渾身作『博士と狂人』。貧しい家に生まれ学士号を持たない天才学者マレーと、戦争でPTSD(外傷後ストレス障害)を患い誤殺事件を起こしてしまった優秀な従軍医のマイナーの運命が“世紀の辞典づくり”という一大プロジェクトによって引き寄せられていく。

しかし、辞書の編纂に殺人犯が関わっているという事実は世間の反感を買い、プロジェクトは中断。やがて内務大臣のウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込む事態へと発展していくのだが――。本作は、そんな一大プロジェクトに身を捧げた2人の男の固い絆を描いたヒューマン・ドラマである。

メル・ギブソンとショーン・ペン、ハリウッドの二大演技派俳優が初共演!

愛する家族との時間を犠牲にし、生活の全てを辞書づくりに費やす信念の男マレーを演じるのは、『ブレイブハート』(’95)や『ハクソー・リッジ』(’16)など映画監督としても高い評価を得るメル・ギブソン。戦争のPTSDで幻覚に悩み、誤殺事件を起こして精神科病院に収容される犯罪者マイナーを『ミスティック・リバー』(’03)と『ミルク』(’08)で二度アカデミー賞主演男優賞を獲得したショーン・ペンが熱演している。

また、マイナーに夫を殺されるも次第に心を許していく未亡人イライザ役に『ゲーム・オブ・スローンズ』(’12~’16)のナタリー・ドーマー、マイナーの良き理解者となる看守のマンシー役に『おみおくりの作法』(’13)のエディ・マーサンといった豪華実力派俳優が集結。マレーとマイナーの物語を軸に、それぞれの登場人物のドラマにもしっかりと焦点が当てられ、群像劇としての見どころも多い。

「言葉」を介して出会った男と男の強い絆を丁寧に描出

辞書をつくる人々を描いた映画というと、三浦しをんの小説を映像化した石井裕也監督作『舟を編む』(’13)を連想する人も多いだろう。言葉をひとつひとつ拾い集め、定義付けていくという気が遠くなるような作業。そんな辞書づくりの過程や苦労は本作でも十二分に描かれる。「英語を生活言語とする人」1,000人から、単語と、その単語が最初に使われた文献の引用文を送ってもらうというのだ。無謀な作業に行き詰まっていたマレー。そんな彼のボランティアを募る声明文を偶然目にしたマイナーは、辞典づくりこそが自らの病を改善させる糸口になるのではないかと協力を申し出る。何の接点もない2人が、それぞれの目的を胸に「言葉」という大海に舟を漕ぎ出した瞬間である。

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しかし、それ以上に観る者の胸を打つのは、マレーとマイナーの立場も境遇も超えた固い友情だ。無限の可能性を秘めた「言葉」を介して出会った2人の絆は、人生であり得ないことなど何ひとつないこと、愛することや許すことの大切さを私たちに教えてくれる。また、狂気を抱え贖罪に押しつぶされそうになりながら希望を捨てなかったマイナーを鬼気迫る演技で体現したショーン・ペンにも、心からの拍手を贈りたい。

文=原 真利子/制作=キネマ旬報社

『博士と狂人』
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