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どう防ぐ? 上司と部下の「正義」が対立しがちな職場のハラスメント(前川孝雄)

J-CAST会社ウォッチ

パワハラを根絶するうえで難しいのは、「何がパワハラか」が必ずしも判然としないことです。法律によるパワハラの三要件は、上司の部下に対する「優越的な関係を背景とした」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」「労働者の就業環境が害される」言動だとされますが、いかがでしょうか。

厚生労働省の指針や資料には、主な言動の類型や例が示されてはいますが、明らかな暴力や暴言を除けば、パワハラか否かの線引きの基準は明瞭とは言えません。

上司のアンコンシャス・バイアスがハラスメントの温床になる

上司にとっては日常の声掛けや、良かれと思った行動でも、部下がパワハラの三要件に当てはまると感じれば、訴えられる可能性もあります。愛情をもって育てようと熱心に接したつもりが、パワハラと指摘されてはたまりません。

そう考える上司が、部下とのコミュニケーションを回避したい気持ちもわかります。悩ましいのは、「上司の正義」と「部下の正義」が対立する事態です。

人は一人ひとり違う価値観や感性を持つ生きものであり、環境や状況によっても変わります。百人百様同士のコミュニケーションの問題を法律で細かくすべて規定することは不可能ですし、万一規定できたとしてもすべての人がそれを暗記するのは現実的ではありません。つまり、法整備だけでパワハラの根絶は困難なのです。

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多くの企業で人材育成を支援する中で感じるのは、上司側にアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、固定観念)が強い場合や、上司と部下とのコミュニケーションが希薄な職場で、ハラスメントが生じやすいことです。上司の「仕事には多少の困難や不条理はつきものだ」、「部下は上司の指示命令に従うべきだ」といった固定観念が強い場合は、要注意です。上司の思い込みで一方的に評価したり、叱責しがちで、部下を傷つける言葉を発してしまう可能性が高いからです。

異性の部下に対しても、良かれと思ったコミュニケーションが、相手に不快な思いをさせる場合もあります。若い世代ほど、不条理なことを我慢し強要されることはおかしいという意識に変わってきています。まず、相手への理解に努めることが大切です。

傾聴の姿勢を欠かさない

上司がいつも忙しそうにしていたり、不機嫌そうにしていたりすれば、部下は上司に話しかけにくいものです。また、ハラスメントのリスクを恐れて、部下とのコミュニケーションを避けてしまっては逆効果です。

職場でお互いに気持ちよく仕事ができる環境をつくるためには、上司からコミュニケーションしやすい環境をつくることです。ハラスメントを予防する職場づくりのために、次の二点を提案します。

第一は、上司が部下に対する傾聴の姿勢と方法を身につけることです。ミーティングや面談で沈黙に耐えられず、自分から発言し指示しがちな上司も多いでしょう。しかし、沈黙を受けいれることもコミュニケーションです。部下の意見や気持ちを丁寧に聴き、ありのままに共感的に受け止めるのです。そして、部下がなぜそうした考えや気持ちを持っているのか、正確に理解するように努めます。そのうえで、相談やアドバイスをすることです。

第二は、双方向のコミュニケーションを心がけることです。厳しい経営のなか、これまで以上の高い業績目標を掲げる必要があるとします。あるいは、本部など上層部から非常に高い目標を指示されたとします。ありがちなのは、組織命令なのでやむなしとし、そのまま部下に割り振るトップダウンです。しかし、現場の部下の実状に配慮せず目標を強いることは、「過大な仕事の要求」となるリスクがあります。まず、現状の仕事の負担感をよく聴く必要がります。

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