本書は五感を刺激される。物語の設定も、行間が広めに空けられたページのつくりも、童話のような雰囲気を感じる。
Episode1 サラ(ローズ オイルトリートメント)
Episode2 薬草店の手伝い(ニオイスミレ サービスティー)
Episode3 不機嫌は負け(ミント ラベンダー パン酵母 由花のハーブティー)
Episode4 小林君という男子が来た(お守り)
Episode 緑
由花は「おばあちゃんの後を継ぎたい」と考えるようになり、薬草店の手伝いを始める。最初はお客さんに「サービスティーです、どうぞ」と言うだけで「心臓がばくばく」としていたが、しばらく経つとすっかり慣れ、充実した日々を送っていた。
そんなある日、店に同年代の男子がやって来た。その男子のまわりが光って見えた。つまりこれは、由花の初恋だった。
「男子がこんなふうに映るのは、由花にとって初めてのことだった。心臓がぱくぱくとして、息が浅くなる」
仕事を覚え、人間を学び、恋を経験した由花は、子供と大人の間にある違和感にどんな決着をつけるのか――。読者はハーブの香りを感じながら、一人の少女の成長を見守ることとなる。やさしい気持ちになれる物語だ。
本書は、「リンネル」(2019年9月号~2020年11月号)の人気連載を書籍化したもの。
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七月さんは大阪府生まれ。京都精華大学美術学部卒。ライトノベルから一般文芸まで幅広く活躍。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2014年、宝島社文庫)は口コミで広がり、160万部を超えるベストセラーに。16年映画化。
(BOOKウォッチ編集部 Yukako)
書名:
サラと魔女とハーブの庭
監修・編集・著者名: 七月 隆文 著
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年10月23日
定価: 本体1300円+税
判型・ページ数: 四六判・240ページ
ISBN: 9784299009630