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リス監視ミステリーADV『NUTS』―『Return of the Obra Dinn』などのようにゲームプレイに直結するようなストーリーが描かれるゲームを目指した【開発者インタビュー】【UPDATE】

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リス監視ミステリーADV『NUTS』―『Return of the Obra Dinn』などのようにゲームプレイに直結するようなストーリーが描かれるゲームを目指した【開発者インタビュー】【UPDATE】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Joon、Pol、Muutsch、Char、Torfi開発、スイッチ/PC/Mac向けに2月5日にリリース(Apple Arcade版は1月22日)されたリス監視ミステリーアドベンチャー『NUTS』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、新人調査員として「メルモスの森」を調査する監視ミステリーアドベンチャー。森の中にカメラを配置して、そこに録画されたリスの映像を見ることで森に起こっていることを調査していきます。リス達の奇妙な行動を監視するカメラは自由に配置することが可能。昼の間に神秘的な森の中を探索しながら適した配置場所を探っていきます。そして夜になると録画したビデオを確認・分析し、情報を研究所の上司に送ることでゲームは進行していきます。日本語にも対応済み。

『NUTS』は、2,050円で配信中。



――まずは自己紹介をお願いします。

Joon:こんにちは、Joonです。Pol、Muuutsch、Char、そしてTorfiと一緒に本作を作りました。私はベルギー生まれですが、今はアイスランドに住んでいます。ゲーム開発は10年ほどの経験があり、デザイナー兼プログラマーとして活動してきました。

本作を開発したのはスタジオではなく、本プロジェクトのために集まったアーティスト集団です。中心となるチームには開発のために高い自由度が与えられ、ストレスフリーの開発環境を目指しました。また、私たち全員が本作のために出資をしており、メンバーはアイスランド、カナダ、デンマーク、ドイツに住んでいます。私たちの目標はクリエイティブなビジョンを共有し、それぞれの個性を尊重しつつも、一つのゲームにまとめ上げるということでした。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?

Joon:数年前、親友のTorfiと二人で楽しい趣味のプロジェクトをやろうということになりました。まずは実験として、主観視点を採用し、ゲームの中にカメラとテレビをそれぞれ数台置いてみたのです。不思議と同じゲームの世界でも、「様々な視点から同時に見る」というのがとても魅力的だったのです。しかしこのアイデアはとても抽象的であり、これをどのようにしてゲームに落とし込むのかというのが困難でした。私はゲームジャムで、この「ゲーム内でカメラを使う」というシステムを試してみることにしたのです。

すぐに森が舞台となることは決まりました。次にいくつかのビジュアルエフェクトを取り入れ、プレイヤーは動き回り、カメラをいろいろな方向に向けられるようにしました。それから「何を被写体にすれば良いだろう」と考え始めたのです。正直、リスは完璧な被写体でした。リスは木の間や、岩の上、茂みの中を跳び回るので、それを追ってその姿をカメラで捉える、というのが魅力的だと思ったのです。私はこのプロトタイプを作ると、itch.ioで無料でリリースしました。すると多くの人が気に入ってくれたことから、それから長い間、今後の展開について考え始めたのです。

私はデザイナー兼プログラマーなので、アート、サウンド、ストーリーと言った面で手助けが必要でした。私は知り合いに声をかけ、興味がないか聞いてみたのです。チームメンバーは全員、私が昔から大好きなアーティストたちで、AMAZE、Playful Arts Festival、Zoo Machinesと言ったヨーロッパの様々なインディーイベントで実際に会うことができました。

Pol、Muutsch、Charは開発の早い段階からアート、サウンド、ストーリー面で協力してくれました。開発が難航し始めてからは、Torfiに共同デザイナー兼プログラマーとして参加してもらっています。

NoodlecakeとApple Arcadeと契約できたのは幸運でした。彼らのサポートで、作りたい作品を作ることができたのです。


――本作の特徴を教えてください。

Joon:本作において一番の特徴は、その中心となるシステムだと思います。本作において上達するためには、プレイヤーはリスの気持ちにならなくてはいけません。それに、森の中の動き方も習得する必要があります。

本作は森の中でリスたちを監視するゲームです。昼間には三脚を立てて角度を調整し、カメラを設置します。夜には設置したカメラの映像を確認するのです。もし正しい位置と角度に設置をしていれば、走り回るリスの姿を画面で見ることができます。プレイヤーの任務は、この小さな動物がどこに行くのか突き止めることなのです。

本作はまた、ユニークで実験的なビジュアルスタイルを採用しています。白黒や極端に暗い色や明るい色(『Return of the Obra Dinn』『Hidden Folks』『The Unfinished Swan』など)を採用したゲームは多くありますが、私たちは今までの常識に囚われず、カラーパレットのコントラストを使ってみてはどうかと思ったのです。私たちはまず霧で実験を行い、光ではなく距離をベースにしたレンダリング(本作では光や影は存在しません)を採用した結果、今のような不気味な見た目が出来上がりました。まるでどこから光がさしているのかわからない、黄昏時を歩いているように感じるかもしれません。しかし歩くのにはほとんど困らないでしょう。リスは時に霧の中に隠れてしまうこともあるので、この雰囲気がリスを監視するというのにぴったり合いました。

また、本作ではサウンドがとても効果的に働いていると思います。私たちは小道具を使って音を出すフォーリーアーティストと一緒に作業をしたので、抽象的なビジュアルとは反対に、すべてがとてもリアルな音なのです。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Joon:私たちが影響を受けたゲームだと、長いリストになるでしょう。『Firewatch』『Portal』『Gone Home』『Return of the Obra Dinn』『Quadrilateral Cowboy』などです。これらのゲームはどれも長い映画ほどの長さで、面白い手法でとても素晴らしいストーリーを描いています。私たちはこれらのゲームのように、ゲームプレイに直結するようなストーリーが描かれるゲームを作りたいと思いました。

私はLucas Popeがゲームジャムで作った小さなゲーム『The Sea Has No Claim』にとても影響を受けました。この作品は、難破船の生き残りを探して救出するというゲームです。プレイヤーは様々な使い方ができる道具をマップ上に配置し、その結果を注視することになります。私たちの作品における昼と夜のサイクルは、これに大きく影響を受けており、ある時突然すべてのピースがピタッとはまるのです。

本作の雰囲気で大きな影響を受けたのは、Boards of Canadaの音楽です。私は静かになりすぎず、どうやってリラックスしたゲームを作ることができるか、たくさん考えました。

――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?

Joon:コロナ禍での生活が心理的に与える影響について言葉にするのが難しいですが、私たちも何らかの影響は確かに受けたと思います。幸運にも、私たちはリモートのチームとして活動を開始しましたし、私とTorfiが作業をするアイスランドのオフィスは最初のロックダウンで2週間ほど閉鎖しただけでしたので、開発は継続できました。また、私たちは「出来る人が、出来る時に、出来るところで、出来ることをやる」という手法をとりましたので、これがお互いを助け合うというチーム内の良い雰囲気に繋がったと思っています。

ゲーム開発をしてストレスを感じないようにする、というのは不可能だと思いますが、それでも可能な限り本プロジェクトにおけるストレスを最小化するように努めました。具体的に言うと、例えば各自が「今月は何日間作業をする」という大雑把な目標を設定し、他のメンバーはそれが可能な限り実現できるように信じるということです。私たちの開発資金はすべてチーム内で透明化していましたし、チーム全員が意思決定に参加しました。おかげで私一人が背負わなくてはいけない責任の重さも緩和されましたし、全員にとってそれが正しいことだと思いました。完璧に成し遂げたとは思いませんが、公平で思いやりのあるプロジェクト体制を作るため、全力で取り組めたと思っています。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?

Joon:はい。実は私たちのホームページにこの許可について記載しています。本作はとても短いゲームなので、配信を見てしまうとネタバレになってしまうというのが少し悲しいのですが、それでも本作を誰かに見せるためにプレイしてもらえるというのは嬉しいです。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Joon:日本の方、そして世界の方達が私たちのゲームをプレイしてくれているというのは、本当に嬉しいことです。本作の世界は私たちの文化や体験を基にしていますので、私たちにとってとても「近しい」ゲームでもあるのです。

私は本作を遊んでくれる日本のプレイヤーのことを考える時、お気に入りのアルバムである、MONOの「For My Parents」を思い出します。このアルバムを聴いたりそのジャケットを見る時に溢れ出る感情が、私がこのゲームで届けたいと思った感情の一つでもあるのです。そんなことに気づいてくれる人がいると嬉しいです。

――ありがとうございました。

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