新型コロナの感染者もだんだんと減ってきて、政権を責められる話題がなくなったところで、この発言が出てきた。そこで野党が『五輪を滅茶苦茶にできるぞ』と嬉々としているのに、怒りを感じています。
それに今、白い服を着てパフォーマンスしたり、ひとつの発言を追及している場合ではないです。『IOC』という組織と、どう対峙しなくてはならないかを考えるべきだと思うんです」
東京都知事就任から2年間、舛添氏も五輪開催都市の代表として、IOCと折衝をこなしてきた経験がある。
広告の後にも続きます
「綺麗ごとなしで言えば、五輪は『政治とカネ』の産物です。莫大なカネが集まるから、国内でもいろんなスポーツ団体同士で、カネの奪い合いがある。そして、国外のスポンサーやIOCからも、『どれだけカネが拾えるか』という介入があるわけです。
この状況を唯一、取り仕切れたのが森さんだった。国内では、政治、スポーツ、経済の3方向に顔が利くし、国外でも『元首相』の肩書で、対等に渡り合えた。IOCにとって『大国の総理』をやった重みは強いんです。それがなければ、卓越したコミュニケーション能力を持っているか、長い年月を費やして仲を深めるかしかない。
僕はIOCやバッハ会長としょっちゅう喧嘩して交渉してきたから、わかります。今回、国会に白い服を着て出て来て、いい加減なことを言っている人たちが、もしIOCとの交渉の場に就いたとしても、なめられて話にならないですよ」
舛添氏は、森氏が去ったあとの東京五輪組織委員会は、非常に厳しい立場になると考える。
「森さんがいなかったら、2020年10月には東京五輪の完全中止が決まっていたと僕は思っています。それをIOCは、2020年12月に一度延ばし、それを今度は2021年3月まで延ばしている。
その3月の議論に、IOCに顔が利く森さんがいない。たとえば、IOCから『もう東京五輪はやめよう』と言われたときに、日本は開催を押しきれないですよ。小池百合子都知事も、IOCにまったく信頼されていない。「ほかに誰が信頼を勝ち取れるんだ?』と言われても、誰もいないんですから」
やはり五輪中止しか、道はないのか……。