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地球の生命体の起源は火星にある説。そう考えるべき科学的根拠(米研究)

カラパイア

地球人の先祖が火星人であるという説
Pixabay

 NASAのこれまでの探査機でもっとも生命探査に特化したパーサヴィアランスが、まもなく火星に到着しようとしている。

 予定通り2月18日に着陸したらすぐさま干上がった川底に穴を掘り、「火星には生命がいるのか?(いたのか?)」に答えるべく調査を開始する。

 すぐに結論が出ることはないだろう。だがその成り行きは、一部の研究者にとっては絶対に目を離すことができないものだ。

 というのも彼らの仮説によると、地球の生命は火星に起源があるというのだ。しかもその説には科学的根拠があるという。

生命の最終共通祖先「LUCA」


 ここ数十年、これまでに知られてきた全生物が連なる巨大な系統樹が着々と作成されてきた。

 化石から推測すると、ヒトと類人猿の共通祖先は1300万年前に存在した。6500万年もさかのぼれば、ヒトはクジラやコウモリともつながる。

 また遺伝子の分析からは、「LUCA」と呼ばれる地球に存在するあらゆる生命の最終共通祖先が、およそ40億年前に海底の熱水噴出孔で生きていたらしいことが分かっている。

 しかし系統樹の根元へ向かうほどに、生命の起源を探る手がかりは乏しくなる。LUCAの競争相手が化石になっていたとしても、そうした最初期の痕跡を残す岩石は、プレートの動きによって壊れてしまっているだろう。

 はっきりと分かっているのは、地球がおよそ45億年前に形成され、それから5億年が経過した頃にはLUCAがいたということだ。それがどのように進化し、その祖先がどこからきたのかといったことについては諸説あり、統一された見解はない。


What Was The Last Common Ancestor of all Life on Earth?


初期の火星は地球よりも生命に優しかった


 米ジョージア工科大学の惑星学者クリストファー・カー氏らの考えでは、LUCAの祖先は小惑星に乗って火星からやってきた微生物だという。

 カー氏が『arXiv』(2月4日投稿)で発表した論文では、そう考えるべき科学的理由が述べられている。

 それよると、基本的にこの宇宙のどこでも有機分子が降り注いでいるのだという。しかしどのような化学反応によってそうした有機分子が細胞に不可欠な構成単位に変化するのか、一切分かっていない。

 有望なものの1つは、浅い水たまりのような環境だ。そこでは紫外線、蒸発と降雨、火山や小惑星衝突の熱などによって、うまい具合に材料が調理される可能性がある。

 しかし初期の地球は水にどっぷりと浸かっていた。35億年前の地球は、ほんの数パーセントを除けば、深い水におおわれていたと推定されているのだ。

 一方、初期の火星もまた水が豊富だったが、水にひたる程度で、生命が誕生するにはずっと都合が良かっただろうと考えられるという。

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image credit:NASA / JPL-Caltech / MSSS / JHU-APL

火星の環境はLUCAの誕生に最適だった


 もう1つの手がかりは、アミノ酸(細胞がタンパク質を作るために使う部品)のレパートリーだ。

 我々も含め、LUCAの子孫はみな同じおよそ20個のアミノ酸からタンパク質を作っている。ただし新しいタンパク質の多くは、そうしたレパートリーの半分もあればおそらくは十分だと考えられている。

 このことについて、ある研究によれば、不可欠なアミノ酸が少ないほど、生物は酸化に対応しやすい可能性があるという。

 しかし地球が誕生してから最初の20億年は酸素がなかった。となると、LUCAのアミノ酸が酸化に対処しやすい構成だったのはどうしたわけだろうか?

 そこで系統樹の根元は火星にまで続いていると考えるとつじつまが合ってくる。火星では、地球より早い段階で酸化する環境が作られていたからだ。

 もし本当に火星でLUCAの祖先が誕生していたとしたら、それは両惑星間を行き交ういくつもの小惑星に乗って地球にやってくることができる。

火星には地球生命体の起源が?
iStock

この仮説に反論の声も


 もちろん、カー氏の仮説には反論もある。

 ジョージア工科大学の生化学者ニコラス・ハッド氏は第三者の立場から、初期の地球に大陸はなかっただろうが、生命を宿すには十分なハワイのような島ならあったと主張する。また余分なアミノ酸がある理由は、酸化とは関係ないのではとも述べている。

 火星には地球よりも生命が誕生しやすい環境があったという説はさまざまな研究者から主張されているが、ハッド氏はそこに有無を言わせぬ説得力があるとまでは考えていないとのことだ。

 パーサヴィアランスが調査する予定である「ジェゼロ・クレーター」は、かつて周辺から泥水が流れ込んでいた場所だ。そこにある堆積物を分析することで、火星が酸化し始めた時期についてより詳しいことが明らかになるはずだ。

References:arxiv / popsci/ written by hiroching / edited by parumo

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