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佐藤弘道、「体操のおにいさん」時代を回顧…厳しかったNHK3禁

SmartFLASH

「親子体操がご縁で広島県北広島町の観光大使にも任命され、多くの方から刺激をいただけることで若さをキープできているのかもしれません。

 

 だけど無理が利かないと感じることも多くなりました。一昨年、左膝の調子が悪かったので病院でMRIを撮ったら、左膝内側の半月板が割れていました」

 

 怪我のことさえも明るく語るが、挫折を多く経験した。

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「体操に興味を持ったきっかけは1976年のモントリオール五輪で日本男子が団体総合金メダルを獲ったことでした。塚原光男さん、監物永三さんたちの演技がカッコよくて、中学から体操を始めました。

 

 高校は日本体育大学荏原高校に進学して、器械体操部に入りました。練習はとにかく厳しかったですけど、3年生のときには種目別のつり輪で東京都6位になりました。

 

 しかし故障も多くて頸椎を亜脱臼。ワイヤーで固定する手術を受けたこともあります。そんな怪我が重なり、体操競技にはドクターストップがかかってしまったんです」

 

 大学は日本体育大学へ進んだ。保健体育の教員を目指して勉強する決意をしたが、体操競技を離れたことから虚無感に襲われてもいた。

 

「そのときに友人から、『日体大でなんの運動もしないわけにはいかないだろ』と、体への負担が小さい、器械を使わず体を動かす体操部に誘われました」

 

 そして4年生のときに教員採用試験を受けるも不合格。翌年の受験に備え、世田谷区教育委員会で非常勤職員として働くことになった。

 

「その後、やきとり屋を営んでいた父が病に倒れ、僕も手伝うことにしました。『このまま店を継ごうかな』と漠然と考えていたときに『おかあさんといっしょ』のオーディションがあることを知り、母の『受けてみれば』の声に背中を押されて人生初のオーディションを受けました」

 

 NHKのリハーサル室での一次審査。佐藤は若手俳優たち12人と、指示された『ぞうさんのあくび』などの振付をしたが、思うようにできず「落ちた」と思った。

 

「しばらくして店にいたとき、『二次審査に来てください』と電話がありました。驚くとともに嬉しかったですが、まだ一次通過(笑)。二次はカメラテストもあり、初めてメイクをしてもらいました」

 

 二次審査に進んだのは3人だった。ほかの2人とは表現力などの差は歴然。佐藤は「これで終わった」と思った。

 

「あきらめて店で仕込みをしていたら合格の電話がありました。喜びより、戸惑いを感じましたね。『僕でいいんですか?』って尋ねたほどです」

 

 佐藤は人生の転機になる知らせを、「やきとり屋」の実家で聞いた。

 

「幸や」に足繁く通う理由を「肉、魚、野菜、どの料理もすごく美味しいから」と言うが、そこには未知の芸能界へ踏み出す前に抱いた「不安と期待」を思い起こす「実家と同じ空気感」があるからではないだろうか。尋ねると、佐藤は「そうかもしれません」と店内を見回した。

 

 合格後は苦難が待っていた。番組はスタジオでの公開収録。相手は行動が予測不能な子供たちである。

 

「先輩お兄さんとバトンタッチする前に研修で地方収録に同行するんですが、いきなり泣きだす子、お母さんのところに行ってしまう子、セットの陰に隠れてしまう子。その光景を見て『どうやって接すればいいんだ』と悩みました」

 

「体操のお兄さん」になりたてのころ。「子供への接し方がわからなくて大変でした」

 

「体操のお兄さん」として独り立ちをした佐藤。だが、初収録日の朝に不幸に見舞われてしまう。

 

「父が亡くなったんです。ガンでした。よく『テレビや映画の仕事をしていると親の死に目に会えない』っていうじゃないですか。それにしても『まさか初日に』です。だけど今は、この仕事をする厳しさをあのときに父が教えてくれたと思っています」

 

 芸能関係者はよく、「NHKの縛り(規則)は厳しい」と言う。本当なのだろうか。

 

「規則はありました。いわゆる『3禁』です。『車の運転をしてはいけない』『海外旅行、激しいスポーツをしてはいけない』そして『恋愛をしてはいけない』です(笑)。

 

『お兄さんの代役はいないのだから、怪我をしたり交通事故で皆さんに迷惑をかけてはいけない』ということです。恋愛禁止については、『子供たちの夢やお兄さんのイメージを壊さないように』ということのようです。もっとも僕は大学生のころからつき合っていた奥さんと26歳で結婚しちゃいましたけど(笑)。

 

 それと『教育番組に出演しているのだから、信号無視などは絶対にダメです。いつも見られていると思って24時間365日、体操のお兄さんでいてください』と言われました」

 

 下世話ながら、ギャラはどうだったのだろう。
「同世代の会社員より少し多いくらいです。休みはほとんどなかったですね。甲子園の開催中はテレビのオンエアはありませんが、全国を回ってイベントをしていました。

 

 番組を卒業してからのほうが収入はよくなりました。CMの契約も10本くらいいただけましたし、日本にいながら時差ボケになるほど番組出演や講演で忙しくなりました」

 

 あるバラエティ番組で「年収は3億円だった」と仰天告白をしていたが。

 

「そんなことも言わされましたね」と佐藤は苦笑する。「お兄さん」就任から12年がたった2005年、バトンを第11代の小林よしひさに渡した。

 

「振り返ってみると、病気になったときに休めなかったり、収録中に宙返りで膝の靭帯を伸ばしたり、腓骨を骨折したりと大変でした。

 

 だけど『体操のお兄さん』という“看板”をいただけたことは本当に感謝しています。今でも健康に関わる仕事ができますし、ライフワークにしている校庭の天然芝生化の活動にも『体操のお兄さん』がすごく役に立っています。

 

 今後は僕が各地に出向いて体操のよさを教えるのではなく、どこかに広々とした体育館やスタジオなどを作って、そこで全国から来た子供たちに指導したいです。そのためには『体操のおじいちゃん』になっても頑張ります(笑)」

 

上から反時計回りに、「レバーたたき」(660円)、「マグロユッケ」(715円)、「煮込み」(550円)、「ねぎま、ささみ、ハツ元」(各242円)、「ヌカづけ」(495円、いずれも税込み)

 

「幸や」でいつも注文するのは「マグロユッケ」と「煮込み」。
「美味しい料理をいただくと元気が出るんです(笑)」
 豪快に食べる姿も若い!

 

さとうひろみち
1968年7月14日生まれ NHK『おかあさんといっしょ』第10代体操のお兄さん。日本体育大学体育学部体育学科卒業。弘前大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。趣味・特技は、ゴルフ、ドライブ、水泳、スキー(SAJ1級)、スカッシュ、空中ブランコ、スポーツ全般

 

【SHOP DATA/幸や】
・住所/東京都豊島区南池袋2-41-19(東京メトロ有楽町線「東池袋駅」から徒歩1分)
・営業時間/17:00~24:00
・休み/日曜・祝日
※現在は緊急事態宣言下のため要確認

 

写真・野澤亘伸

 

(週刊FLASH 2021年2月9日号)

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