
風船の空気が抜けるとドレスになるとか、多様化が加速するファッション業界でまたしても奇抜なデザインが誕生。人々の度肝を抜いている。
立体的な建物だらけのこの衣装は、驚くなかれあのルイヴィトンが先日公開した2021年秋冬メンズコレクションの一つで、建築群がひしめく都市をイメージしたジャケットだという。
トレンドの発信源という立場から常に型破りなデザインが求められる業界にしても、こいつはかなりの冒険ではあるまいか?素人目にはそんな予感が先走る3D建造物アウターをご覧いただこう。
注目のダウンジャケットは10:28あたりから
ルイヴィトンから建物をまとうメンズアウター爆誕!
上の動画は今年1月21日にストリーム配信されたルイヴィトンの2021年秋冬メンズコレクション。

その中でも、一風変わったこのジャケットは、2018年からルイヴィトンのメンズコレクションのアーティスティックディレクターを務めるヴァージル・アブローがデザインしたもの。
パリで撮影された映像内では、緑色の大理石でできた街を歩くアメリカのラッパーで俳優のソウル・ウィリアムズが、このコレクションをまとったモデルと共演している。
ウィリアムズがのぞいた部屋の奥に…

立体的なビル付きジャケットをまとったモデルが。

パリとニューヨーク。2種類の建物ジャケット
このジャケットにはパリとニューヨークバージョンの2種類がある。見た目から無意識に合体や変形を期待する人もいそうだがそれ系の仕様はなさそう。

image credit:Louis Vuitton
via dezeen
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こちらはパリバージョン。パリで最も有名な建物で飾り立てられている。

image credit:Louis Vuitton
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近代建築以外にも、ノートルダム大聖堂や赤いエッフェル塔、凱旋門やパンテオンなど歴史的建造物やランドマークが含まれている。
一方こちらはニューヨークバージョン。よく見るとニューヨーク以外の建物もあるが、今回のショーにおいてはニューヨークの高層ビル群を表すジャケットという扱いになってるもよう。

その中には、設計事務所スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルが手がけたシカゴのジョン・ハンコック・センターなども含まれている。
モダニズム建築に魅せられたデザイナー、ヴァージル・アブロー
ヴァージル・アブローはデザイナーになる前にシカゴのイリノイ工科大学で建築を学んだ。
そのキャンパスは20世紀のモダニズム建築家、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)が設計した建物が多数あり、在学中のアブローも革新的と名高いその構造に刺激を受けた。
当時の経験はファッション業界に身を置く彼に今もひらめきをもたらしている。
例えば今回のショーの舞台である緑の大理石の壁なども、1929年のバルセロナ万国博覧会でミース・ファン・デル・ローエとリリー・ライクが設計した施設を想起させるものだ。また、モデルが座っていた白い椅子も万博の際にミースが設計した「バルセロナチェア」を意識したという。
ちなみにアブローの職場はルイ・ヴィトンだけではない。ストリート系高級ファッションブランドOff-White(オフホワイト)の創業者でもある彼は、ルーブル美術館とコラボしたストリートウェアコレクションや雑貨なども制作。ファッションとアートの融合でも話題を呼んでいる。
というかいくら近代建築に情熱があるとはいえ、ビルだらけのデザインにGOサイン出したヴィトンもある意味すごい。奇想天外な発想でトレンドに新風を吹き込みそうなアブローの活躍に今後も目が離せないぞ。
References:dezeenなど /written by D/ edited by parumo