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絶滅危機種のクロアシイタチに新型コロナワクチン接種(アメリカ)

カラパイア

クロアシイタチ
クロアシイタチに新型コロナワクチン接種 Ryan Moehring | US Fish and Wildlife Service

 年末から開始された新型コロナのワクチン接種だが、日本は2月下旬にも開始される予定となっている。だが、一足先に予防接種を受けていた動物がいると『ars TECHNICA』で伝えられている。

 その対象は北米でもっとも絶滅が危惧されている哺乳類「クロアシイタチ」だ。

 米コロラド州の専門家グループは、彼らが感染症によって死に絶えてしまわぬよう、まだ開発段階にあったワクチン候補を接種してきたそうだ。

新型コロナで大打撃を受けたミンク


 こうした取り組みは、米農務省がミンク向けワクチンの使用許可申請を受け付ける数か月前から行われてきた。

 イタチ科のミンクはクロアシイタチの親戚だ。美しい毛皮が重宝されるために飼育されている彼らだが、人間からうつされた新型コロナのおかげで北米で数万匹が死に、ヨーロッパでは数百万匹が殺処分された。

 こうした感染症に弱い動物への予防接種は、その種を守るという意味で大切なばかりでなく、私たち人間自身を守ることにもつながる。

 というのも、たとえばコウモリが本来の宿主だったのではと疑われている今回の新型コロナをはじめ、もともと動物の感染症だった病気が人間に広まって大きな被害をもたらすことが実際にあるからだ。

 ミンクについて言えば、人間からコロナウイルスをうつされた飼育下のミンクの体内でウイルスが突然変異し、それが再び人間に感染した事例が200件以上あるとデンマーク当局が報告している(なおこの変異種はほぼ消失した模様)。

ミンク
ミンク / Pixabay

コロナによる絶滅が懸念されるクロアシイタチ


 コロラド州にある全米クロアシイタチ保全センター(National Black-footed Ferret Conservation Center)で、あえてリスクを冒して飼育中のクロアシイタチに新型コロナの予防接種が行われているのは、彼らが絶滅寸前でありながら、ウイルスに非常に弱い恐れがあるからだ。

 クロアシイタチは、アメリカ西部の固有種としてかつては広い範囲に生息していた。しかし農業や牧畜などのための開発によって主な餌であるプレーリードッグが激減し、さらに生息域が奪われたために、ほぼ絶滅寸前にまで追い込まれた。

 1979年に絶滅が宣言されたが、後にワイオミング州にまだ生き残りがいることが判明。そのほとんども梨鼠ペストによって死んでしまい、どうにか生き残ったのは繁殖プログラムのために保護されたたった18匹のみだった。

 このように今のクロアシイタチは小さな集団から繁殖されているために、どれも遺伝的に似ており、そのために免疫系が弱くなっている。さらに新型コロナに弱いミンクに近いことも気がかりだ。

クロアシイタチ
クロアシイタチ/iStock

クロアシイタチに試験段階のワクチンを投与


 そこでクロアシイタチ保全センターは、かつて梨鼠ペストのワクチンを開発したことがある国立野生動物健康センター(National Wildlife Health Center)の科学者に協力を仰ぎ、危険を承知で新型コロナの予防接種に踏み切った。

 業者から入手した新型コロナウイルスの精製タンパク質を免疫補助剤とまぜ、昨年春にクロアシイタチ18匹に注射。さらに数週が経過したところで、よりいっそう効果的にするため二度目の接種が行われた。

 それから数週間後に血液検査をしてみると、幸いなことにウイルスへの抗体ができていることが確認されたという。

 秋までにはセンター内にいる180匹中120匹が予防接種を受け、残りはワクチンに副作用があった場合のことを考慮して、そのままにされた。

 これまでのところワクチンは安全であるようだが、それによって新型コロナに感染しなくなるかどうかまでは分からないという。

 こうした特定の動物に対して新型コロナの予防接種が試されたのは初めてであるとのこと。

 今回のパンデミックは人間社会だけの問題にとどまらず、種によっては存亡の危機であるということを示唆する事例だ。一刻も早い終息を願いたい。

References:At risk of extinction, black-footed ferrets get vaccinated for COVID-19 | Ars Technica/ written by hiroching / edited by parumo

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