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マラドーナはなぜヒーローであり続けたのか?「最後まで貫いた」生き方とは

テレビドガッチ


昨年11月、60歳でこの世を去った“神の子”ディエゴ・マラドーナを、1月9日(土)24時50分から放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系)で追悼特集。その素顔に迫った。

“神の手ゴール”や“伝説の5人抜きドリブル”など、人々の記憶に残るプレーの数々でサッカーファンを虜にし、そのスキャンダラスな私生活で話題を振りまいてきたマラドーナ。番組では、マラドーナに関わる貴重な映像を交えながら、番組MCの勝村政信と片渕茜アナウンサー、番組アナリストの名波浩、そして、アルゼンチンのボカ・ジュニアーズで一緒にプレーした経験を持つ亘崇詞(岡山湯郷Belle監督)と共に、マラドーナの人物像に迫った。

日本でもマラドーナの影響力は大きく、勝村は、1978年のアルゼンチンワールドカップではマリオ・ケンペスが話題の中心だったが、1979年にマラドーナを観てからというもの、その視線はマラドーナに移ったと懐かしみ、名波も「マラドーナは右足を殆ど使わないけど、ステップワークとかフェイクで使うこともある。同じ左利きだったので、それだけで十分だと教えてもらった感じがある。子供たちにサッカー選手としてのあこがれを持たせてくれるスーパーヒーローですよね」と大絶賛した。

そして、高校3年でアルゼンチンに渡った亘は「ユース時代から何度か会って、子供みたいに練習しているのを見ていた。マラドーナさんがヨーロッパからボカに帰ってきたときは毎日のようにお祭り騒ぎで、マラドーナさんがいるとコレだけ違うのかと感じた」と当時のアルゼンチンの様子を伝えた。

さらに、亘がマラドーナの凄さを改めて感じたのが、ペルーのスポルティング・クリスタルでチームメイトになった時のこと。たまたまクラブの50周年記念の試合にマラドーナが来ることになり、そこで同じチームでプレーすることができた。「持っているオーラが違いました。“相手はマラドーナのチームに一泡吹かせてやろうと思っている。君たちプロフェッショナルだよね?”と目を見て言われるんですよ。彼の熱い言葉や雰囲気に乗せられて円陣を組んで、こんな風に86年と90年のワールドカップを戦っていたのかと思いましたし、キャプテンシーの凄さを感じました」と、ピッチに向かうまでのエピソードを披露した。

今なお人々を夢中にさせるマラドーナ。2月5日(金)にはドキュメンタリー映画『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』が公開される予定で、少年時代の映像をはじめ、約500時間もの未発表映像を編集。スーパープレーの数々とあわせて、弱小だったクラブを、初のセリエA優勝に導いたナポリ時代を中心に、全盛期の姿が紡がれている。そして、サッカー選手としての光の部分だけでなく、ドラッグに溺れていく闇の部分にも焦点が当てられ、カンヌ映画祭での上映後、マラドーナ本人が「観に行かないでほしい」と訴えた作品だ。

勝村は「彼の人生が詰まっていて、二つの顔っていうのは、悪魔に天使が飲み込まれてしまったような。すべてを手にしているのだけど、何も手にしていない。僕なんかは子供の頃から見ていたからか、なんか知らないけど観終わった後に涙が流れていた」と映画の感想を語った。

そして亘は「何度目かに会ったときには、いちサッカー選手を超えた存在になっていた」と述べ、「彼がイベントに出ればすごいお金が動いていた。それでも愛されたのは、本当に気まぐれで、“近所の人が大変だから”と言って、すごい契約のモノをドタキャンしてしまう。そういう生き方を最後まで貫いた人だった」と話した。

闇を抱えながらも愛される。その理由は生まれ育った環境にもある。サッカーと社会の関係に詳しいライターの清義明は「マラドーナのポイントは弱者の側についていたこと。貧困地域に生まれ育ち、父親はインディオの血筋、母親はイタリア移民、アルゼンチンでは完全なマイノリティだった」とマラドーナの出自を紹介。そしてマラドーナは、とりわけ社会的に弱立場にある人々の思いを代弁し続けたという。その思想は所属クラブにも現れており、「アルヘンティノスはもともと社会主義運動をしていた人が作り、ボカ・ジュニアーズはイタリア移民が作った。そして、バルセロナはカタルーニャ地方でスペインからの独立を叫んだマイノリティ。そして、南イタリアのナポリでは、北イタリアの人々に南部は下に見られていた」と足跡を紹介。マラドーナは虐げられたナポリをイタリアの頂点に導いた、まさに救世主だった。

さらに清は「サッカーというのはピッチだけではない。その外側に広がる部分も含めてサッカー。人種、階級、民族、政治、思想、すべてをひっくるめてしまうスポーツ。マラドーナはそのことを教えてくれた。マラドーナが不世出の天才だとしたら、そういうところも含めて天才だった」と話した。

最後に亘は「サッカーのおかげで世界中に行けたことは彼の自慢だったと思う。世界中の子どもたちが彼のようになりたい。身長がそんなに高くなくても、ああいう風になれるんだって思わせてくれた。すごく夢を与えてくれた方だったと思う」と語り、勝村も「ヒーロー観っていうのは色々あると思うけれど、やっぱり人間なんですよね。それがマラドーナの全てなんじゃないかなと思いました」と感慨深く話していた。

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