
人間に助けを求めた猫の保護物語 image credit:One cat at a time/Facebook
とても寒い日のカナダでの出来事だ。その猫は寒さに凍えながらボロボロの状態で、ある家の窓を必死で叩いて人間に助けを求めた。
その家に住んでいたのは猫の保護団体でボランティアをしていた女性だ。女性に保護された猫は手厚く看護され、ついに幸せを手に入れた。
雪の凍える日に人間に助けを求めてきた猫
カナダのケベック州に住むジャエルさんが、茶トラのオス猫“アスラン”に出会ったのは、2019年2月14日の寒い日のことだった。
この日、自宅裏庭の方から奇妙な物音を聞いたジャエルさんは、窓の外に1匹の猫がいることに気付いた。
猫は、凍える寒さの中助けを求めるかのように、必死で前脚でガラス窓を引っ掻いていたのだ。
地元の子猫救済団体『Un chat a la fois / One cat at a time』でボランティアをしていたジャエルさんは、この猫を救うにはどうすればよいか?自分はまず何をすべきかを団体に問い合わせた。
代表のマリー・シマールさんは、ジャエルさんから送られてきた猫の写真を見て、その表情が全てを物語っていることを悟った。
ジャエルさんにすぐに猫を獣医院へ連れて行くようにアドバイスした。
ボロボロの状態で保護された人懐っこいアスラン
獣医院での検査の結果、猫は体に咬傷とノミ、ダニが見られた他、目が感染症になり歯も腐り、糖尿病と凍傷にかかっていた。
また、マイクロチップも埋め込まれておらず、去勢手術も受けていない状態だったことも判明。人に慣れていることから、おそらく無責任な飼い主が飼育放棄したのだろうと推測された。
保護しなければ、間違いなく猫は冬を過ごすことができない状態であることは、誰の目にも明らかだった。
獣医の診断で、6~7歳と推定された猫は、ナルニア国物語シリーズのライオンにちなんで「アスラン」と名付けられた。
アスランはとても人懐こく、獣医院で治療中も逃げようとする仕草を一切見せなかったという。
数日間、獣医院で治療を受けたアスランの健康状態は改善し、その後新しい飼い主が決まるまで仮里親のもとにアスランを預けることにした。
仮里親の家の猫と離れられない仲になりそのまま家族に
アスランが預けられた仮里親宅には、クレオとジャスミンという先住の保護猫がいた。アスランは、里親宅で愛情を注がれ、2匹ともとても仲良くなった。
ようやく永遠の家を見つけるためにアスランの養子縁組先を探す準備がととのった。だがアスランは、仮里親宅の2匹と強い絆をすでに育んでいた。
このまま引き離してしまうのを気の毒に思った里親は、シマールさんに「この家をアスランの永遠の家にしてやりたい」と飼い主になることを願い出た。
命の灯が消えかけた状態だったアスランは、やさしい人々や猫たちのおかげで、永遠の家族に巡り合えることができたのだ。
その後、ジャスミンは虹の橋を渡ったそうだが、アスランは親友クレオと絆を育み続け、飼い主から日々愛情を注がれて幸せに暮らしているという。
シマールさんは、アスランの話を団体のFacebookでシェアし、このように綴っている。
アスランはとても愛情深い猫です。糖尿病を患っているために、飼い主宅では特別な食事療法を行っていますが、とにかく食べることが大好きのようです。
ときおり盗み食いをしたりするので厳しく監視されていますが、可愛がられ愛されて暮らしており、たまにおやつも貰っています。
今ではすっかり室内猫になってしまって、全く外に出ようとはせず、飼い主の枕で寝ることや抱きしめてもらうのが大好きなようです。
アスランが偶然にもジャエルさんの家に助けを求めたことが幸運の始まりだったのかもしれない。手を差し伸べれば助けてくれる人がどこかにいる。それを探し当てたアスラン。辛い過去を乗り越えられるほどの幸せを手に入れることができたようだ。
written by Scarlet / edited by parumo