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大学日本一を目指す早大の主務、新人監督を務める早稲田佐賀高出身コンビの覚悟と責任

週刊ベースボールONLINE

同学年から全幅の信頼を得ることが必要



2021年、早大の主務(マネジャー)と新人監督(学生コーチ)は、早稲田佐賀高出身の2人が務める(左は鈴木隆太マネジャー、右は占部晃太朗学生コーチ)

 高校と大学、野球部の活動の大きな違いとは何か。部長と監督が前面に立つ高校野球に対して、大学野球は学生が主体で進められるケースが多い。早大においても部運営の中枢を担う主務(マネジャー)と新人監督(学生コーチ)の働きが、チームの浮沈を左右する。この裏方2人と主将が連携を取って野球部を動かす。部長、監督と部員の橋渡し役に加え、選手が思う存分、プレーできる環境を整える。

 2021年、主務と新人監督を務めるのは早稲田佐賀高出身コンビだ。早大では両役職とも、同学年の部員間の話し合いによって決められる。入学時は全員、選手として入部する。活動を重ねていく中で、スタッフとしてふさわしい人材を学年ミーティングで選出していく。自薦ではなく、他薦でないと、両ポストに就くことはできない。つまり、同学年からの全幅の信頼を得ることが必要となってくるのだ。

 早稲田佐賀高は2017年夏、創部8年目にして初の甲子園出場を決めた。「八番・二塁」で先発した聖心ウルスラ高(宮崎)との1回戦で2安打1打点の鈴木隆太(新4年)は、2年生になる前にマネジャーへと転身した。当然、選手への未練はあったというが「自分にしかできない仕事。大きな組織を動かすことは、人生のプラスになる」と覚悟を決めた。

 鈴木の父・伸彦さんは青学大でマネジャーを務めた。ロッテ・井口資仁監督と同級生で、4年時には全日本大学選手権で優勝。大学卒業後はダイエー・ソフトバンクで広報やマネジャーを歴任し、現在は福岡工大に勤務し野球部アドバイザーとして統括担当を務めている。息子も父と同じ道を歩むことになったわけだ。昨年11月の新チームから主務となり「窓口である主務の言動で、野球部の資質が判断される。真摯に仕事へ当たっていきたいと思います」と背筋を伸ばした。

 鈴木がマネジャーとなってから8カ月後、新人監督補佐に就任したのが占部晃太朗(新4年)だった。学生コーチは2年秋のリーグ戦が終わるまでに決めないといけない。7月から35人の学年ミーティングが始まり、9月に投票すると、34票の「満票」だった。過去にないケースであった(占部は別の部員へ投票)。

 占部は早稲田佐賀高で主将。「四番・三塁」の精神的支柱として、甲子園出場の原動力となった。聖心ウルスラ高(宮崎)との1回戦で初戦敗退も、1安打を放ち意地を見せた。早大では2年生以下のフレッシュリーグ(トーナメント)に出場。大学でもWASEDAのユニフォームに袖を通すために努力を重ねてきただけに、学生コーチへの転身は簡単に受け入れられるものではなかった。鈴木も気持ちが分かるだけに、涙ながらに占部へ訴えたという。

「学生コーチとは、グラウンドで意見を言える人でないと務まりません。チームの士気を上げ、良い方向へ導くリーダーシップ。取り組む姿勢に的確な声かけ。占部以外に選択肢はなかった。他の部員も同じ思いだったらからこそ、34票が集まったと思います」(鈴木)

今後へ続く後輩のためにも


 占部は1カ月後、新人監督補佐への転身を決断した。1年間、1学年上の新人監督・杉浦啓斗(早実)の下で学び、昨年11月に新人監督となった。昨秋、早大は10季ぶり46度目のリーグ優勝。コロナ禍で活動が制限される厳しい環境下で、どのような取り組みをすれば結果につながるのかを、間近で見てきた。

「昨年のチームは杉浦さんが作り上げたもの、と言っていいと思います。コミュニケーションをしっかり取り、意思疎通を図っていく。『強い早稲田』を継承していきたいです」

 この2人に加え、プレーで引っ張る主将・丸山壮史(新4年・広陵高)、副将・岩本久重(新4年・大阪桐蔭高)に、副務・藤内裕夢(新4年・大分上野丘高)、投手コーチ・須永賢也(新4年・前橋高)の新体制は一致団結。今春のリーグ連覇、大学日本一を目指していく。

 鈴木と占部は、早稲田佐賀高出身としての「責任」も背負う。

「甲子園に初出場して以降は、それまでと異なるほど、大きな期待を感じてきました。鈴木とともに、早稲田佐賀の卒業生として、いままで以上に、自覚ある行動を取っていきたいです」(占部)

 同校OBが早稲田大学野球部の幹部となるのは初だという。今後へと続いていく後輩につないでいく意味でも2021年は日々、歴史の一歩を記していくことになる。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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