
男性だけ指紋のないバングラディシュの家族 image credit:Pradip Kumar Nath/Facebook
人間には生まれた時からほぼ例外なくそれぞれ異なった指紋を持つ。それゆえに指紋は犯罪捜査や押印、現代にいたっては指紋認証などに利用されている。
ところが、わずかごく一部、例外的に指紋のない家系があるという。バングラデシュにすむある一家の男性たちは、数世代にわたり指紋がないという。
これはDNAの変異が原因とみられているが、運転免許証を発行してもらえなかったり、SIMカードを購入できなかったりと日常生活に不便を強いられているという。『Oddity Central』などが伝えている。
হাত-পায়ের আঙুলের ছাপ নেই অমল পরিবারের; বিড়ম্বনা পদে পদে | Adermatoglyphia
男性のみ指紋がない状態で生まれる一家
バングラデシュ北部ラジシャヒ地区に住むサーカーさん一家に代々生まれた男性は、指紋が全くない状態で生まれてくるという。
一家によると、数世代にわたりこの疾患がみられ、特に指紋をID認証として使うことが多い現代では、何かと不便を強いられているという。
アマル・サーカーさんは、これまでに経験した出来事をこのように語っている。
指紋が無いと、運転免許証を取得することができません。交付には指紋登録が必須だからです。私の場合、費用を払って試験に合格したにもかかわらず、指紋を提供できなかったため免許証を発行してもらえませんでした。
バイク運転時には、いつも領収書を携帯していますが、警察に止められた時に事情を説明して、滑らかな指先を見せても、彼らは罰金を免除することはなく、私にとってはとても恥ずかしい経験となりました。
更には、バングラデシュ政府が指紋を国のデータベースと照合することによりSIMカードの購入を条件付ける法律を導入。こちらも、サーカーさん一家の男性にとっては不便となった。
指紋がないサーカー兄弟はSIMカードを購入することができないからだ。結局、2人は母親の携帯電話を使用しているという。
このように、指紋がないために日常生活に支障をきたしているアプ・サーカーさん(22歳)は、次のように話している。
何度も何度も、生まれつき指紋がないという状況を説明することにうんざりしています。多くの人にアドバイスを求めても、誰も明確な答えを与えてくれません。
DNA変異で起こる先天性指紋欠如疾患
実はサーカーさん一家の男性陣が抱える指紋の無い疾患は、非常に稀なもので、DNA変異で先天的に指紋が欠如する「adermatoglyphia(アデルマトグリフィア)」という疾患なのだそうだ。
初の症例が報告されたのは2007年と新しく、2011年時点で世界に4家系の症例報告がなされていただけだという。
研究者は、この疾患は発汗機能が多少低下する以外の副症状はなく、特に健康上の問題はないと述べている。
しかし、指紋登録が一般化している現代社会では、サーカーさん一家の男性たちは何かと苦労をしているようだ。
とはいえ、全く解決法がないわけでもなく、スマートカードを入手する際には網膜スキャンで身分証明をすることができたとか。技術の進歩に不便さを強いられる一方で、別の技術に救われたというわけだ。
なお、バングラデシュ当局によると、指紋がない場合は網膜スキャンや顔認識で身分を証明することで、必要な書類を入手できる可能性もあるということだ。
written by Scarlet / edited by parumo